【給付付き税額控除】結局「現金給付」に一本化へ?「減税+給付」の新しい支援の形 もし「10万円」ならどうなる? 3つのケースをシミュレーション

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【給付付き税額控除】結局「現金給付」に一本化へ?「減税+給付」の新しい支援の形 もし「10万円」ならどうなる?3つのケースをシミュレーション

5月も下旬に入り、日によっては汗ばむほどの陽気も感じられるようになりました。

まもなく迎える梅雨や衣替えの季節を前に、日々の生活費や将来設計について考える機会も増えるかもしれません。

こうした中、政府では働く現役世代の「手取り」を増やすことを目的とした「給付付き税額控除」の導入に向けた議論が本格化しています。

この制度は、本来「減税」と「現金給付」を組み合わせたものですが、政府の最新の方針では、早期の実現や事務手続きの簡素化を優先し、当面は「現金給付」に一本化する方向で検討が進められています。

今回は内閣官房などが公表した最新の資料を基に、この新しい制度の基本的な内容から、今後の見通しまでをわかりやすく解説していきます。

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「給付付き税額控除」とは?減税と給付を組み合わせた制度の基本を解説

税額控除=納税額から一定額を減らす

給付付き税額控除は、所得税などの納税額から一定額を差し引く「税額控除」と、引ききれなかった差額を現金で支給する「給付」を組み合わせた制度です。

これまでの「税額控除(減税)」のみの仕組みでは、納税額が少ない低所得世帯が十分に恩恵を受けられないという課題がありました。

しかし、この新しい制度では、「減税」または「現金給付」のいずれかの形で、すべての対象者がメリットを享受できる点が特徴です。

所得格差の是正や再分配を目的として、アメリカやフランスをはじめとする多くの先進国ですでに導入されています。

諸外国の制度における支援の単位

海外で実際に運用されている事例を確認すると、結婚している場合は夫婦の所得を合算して給付額を計算したり、所得制限を設けたりするなど、各家庭の状況に合わせた柔軟な制度設計が一般的です。

もし「10万円」の給付付き税額控除が導入されたら?3つのケースでシミュレーション

もし「10万円」の給付付き税額控除が実施された場合、どのように受け取ることになるのか、3つの具体的なケースを想定して見ていきましょう。

※ここからのシミュレーションは、給付付き税額控除が持つ「本来の制度設計」を理解していただくためのものです。

ケース1:所得税額が10万円のパターン

所得税の納税額が10万円の方は、その全額が税額控除の対象となり、結果として納税額は0円になります。

この場合、控除しきれない金額はないため、現金での給付は行われません。

ケース2:所得税額が5万円のパターン

所得税の納税額が5万円の方は、まず納税額と同額の5万円が税額控除されます。

そして、控除しきれなかった残りの5万円が、現金で給付されることになります。

ケース3:所得税が非課税のパターン

所得税が非課税で納税額が0円の方は、控除すべき税金がないため税額控除は適用されません。

この場合、10万円が全額現金として給付されます。

このように、納税額の大小にかかわらず、対象となるすべての人に支援が行き渡るように設計されている点が、この制度の本来の大きなメリットです。

最新の動向:給付付き税額控除は「現金給付」に一本化か。背景にある社会保険料の負担とは

政府が公表した「中間とりまとめに向けた議論の整理(給付付き税額控除)」によれば、事務手続きの効率化と制度の早期実現を重視し、当面は税額控除(減税)の実施を見送り、「現金給付」という形で先行して導入する方針が示されています。

この背景には、イギリスやフランスが過去に「減税+給付」の複雑さから給付のみに移行した経緯や、日本の自治体や企業の事務的な負担を軽減する狙いがあると考えられます。

この方針の背景には、日本の現役世代、特に子育てをしている中低所得層の世帯が、他国と比較して負担が重いという現状があります。

また、今回の制度設計では、子育て世帯に限らず、単身者や個人事業主なども含めた幅広い層を支援の対象とすることが検討されています。

子育て世帯の純負担率(現金給付・国際比較(G3))

手取り額が伸び悩む問題や、「年収の壁」を意識した働き控えを解消するために、次のような支援策もあわせて検討されています。

所得の正確な把握が難しい非課税世帯には一律で「定額」を給付します。

一方で課税世帯には、就労意欲を高めるため、収入が増えるほど手取りも増えるように、一定の所得水準まで支援額を段階的に引き上げる(逓増させる)仕組みが考えられています。

さらに、社会保険料の負担で手取りが逆転する「年収の壁」を超える際には、「一時的な加算」を行い、手取りの減少を補います。

そして、所得が一定額を超えた高所得層に対しては、支援額を緩やかに減らしていく(逓減・消失させる)設計です。

加えて、この制度は世帯単位ではなく、原則として「個人単位」で給付額が計算される見込みです。

これにより、配偶者の収入を気にして働く時間を調整するといった、既婚女性などの働き控えを緩和する効果が期待されています。

まとめ

この記事では、政府の最新の議論を踏まえ、注目されている「給付付き税額控除」の基本的な仕組みと最近の動向について解説しました。

本来は減税と給付を組み合わせた制度ですが、日本では早期導入と事務負担の軽減を優先し、当面は「現金給付に一本化」する方針が示されています。

この制度が議論される背景には、日本の働く世帯(例:世帯年収375万円の共働き子育て世帯)の負担が、海外の同等の世帯に比べて年間で約27万円も重いという試算結果があります。

このデータは、多くの人にとって身近な問題といえるでしょう。

だからこそ、この新しい制度が「年収の壁」を気にせずに働け、労働に見合った手取り収入を確保できる社会的な基盤となることが期待されています。

「勤務時間を延ばして収入を増やしたい」「手取りをもう少し増やして家計にゆとりを持たせたい」と考えている人々にとって、この制度の動向は、今後の働き方や生活設計に大きな影響を与える可能性があります。

一時的な支援策にとどまらず、将来の日本を支える持続的な制度となるのか、今後の国会での議論に注目していきたいところです。

※当記事は再編集記事です。

参考資料

・内閣官房「社会保障国民会議 給付付き税額控除等に関する実務者会議(第11回) 議事次第」

・内閣官房「資料2給付付き税額控除の制度設計に向けて③」

・内閣官房「資料6これまでの有識者会議及び実務者会議における主な意見(給付付き税額控除)」

・内閣官房「資料7中間とりまとめに向けた議論の整理(給付付き税額控除)」

・国税庁「No.1200 税額控除」

・財務省「資料(諸外国の制度について)」

・国税庁「消費税のしくみ」

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