【米国市況】S&P500種は最高値を更新、イラン和平への期待根強く
(ブルームバーグ): 連休明け26日の米金融市場は、株式と米国債が上昇した。米国とイランがホルムズ海峡付近で衝突したものの、中東紛争の終結に向けた交渉に影響しないと、投資家は楽観を維持している。
| S&P500種株価指数 | 7519.12 | 45.65 | 0.61% |
| ダウ工業株30種平均 | 50461.68 | -118.02 | -0.23% |
| ナスダック総合指数 | 26656.18 | 312.21 | 1.19% |
S&P500種株価指数は和平合意期待に支えられ、過去最高値を更新した。半導体銘柄が上昇を率いた。米国債利回りは低下。インフレ再燃への懸念が和らいだことを反映し、目先の利上げ観測が後退した。原油相場は中東情勢の展開に合わせて変動した。前日7%余り下げていたブレント原油は、この日は一時、1バレル=100ドルを超えた。

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約3カ月に及ぶ戦争の終結に向け、米国は交渉の進展を強調しており、トランプ大統領は停戦延長とホルムズ海峡再開に向けた協議は順調だと述べた。一方でルビオ国務長官は、いかなる合意も最終決定までに数日を要する可能性が高いと慎重な見方を示している。
キャピタル・ドットコムのカイル・ロッダ氏は「市場参加者は和平成立に賭けると決めた後、非常に好調な株式のファンダメンタルズを信じて買いを入れている」と述べた。

S&P500種株価指数は過去最高値を更新へ、和平期待が押し上げ
セブンズ・リポートのトム・エッセイ氏は、和平合意が成立しても直ちにS&P500種が8000に上昇するわけではないが、障害が取り除かれれば、投資家は強い企業業績と安定した成長に集中することができ、相場上昇の潜在性は高まるというのが現実だと説明する。
「従って停戦すなわち相場上昇とはならなくても、株式と債券には安定した強気材料となるだろう。ただし、経済がしっかりと成長し、インフレが急伸しないことが前提だ」と述べた。
5月の米消費者信頼感指数は小幅に低下した。イラン戦争に伴う物価上昇を受け、現況指数が悪化した。消費者信頼感指数は93.1に低下。ブルームバーグ調査のエコノミスト予想中央値は92.0だった。
LPLファイナンシャルのジェフリー・ローチ氏は「今の物価圧力を考慮し、もっと劇的な信頼感低下を予想していた」と語る。「しかし消費者の感触は、雇用環境は年末までに改善するというものだ」と述べた。
個別企業のニュースでは、クアルコムが動画投稿アプリ「TikTok」の親会社である中国の字節跳動(バイトダンス)に、人工知能(AI)データセンター用チップを供給する。事情に詳しい関係者が、両社の契約を明らかにした。
マイクロン・テクノロジーの株価が急伸し、時価総額が1兆ドル(約159兆3000億円)を突破した。AIインフラ整備でメモリー半導体が不可欠な存在となっている構図が改めて浮き彫りとなった。
イーライリリーはワクチンを開発する企業3社を最大38億ドル(約6050億円)で買収する。肥満症治療薬での優位性を足がかりに、他分野でもリーダーとしての地位を確立するとともに、感染症分野の主要プレーヤーになることを目指す。
イーロン・マスク氏のスペースXが先週、新規株式公開(IPO)を申請したことを受け、宇宙・衛星関連株が上昇した。業界に対する投資家の熱狂が反映された。
米国債
米国債相場は上昇。中東情勢の緊張は依然高いものの、トランプ氏はイランとの和平交渉が順調に進んでいると述べた。原油価格はこの1カ月での安値付近にある。
| 米30年債利回り | 5.02% | -4.4 | -0.87% |
| 米10年債利回り | 4.49% | -7.1 | -1.56% |
| 米2年債利回り | 4.03% | -8.9 | -2.17% |
| 米東部時間 | 16時57分 |
米国と一部の欧州諸国では、前日の金融市場は休場だった。この日の米国債市場では、10年債利回りが一時8ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)余り低下し、30年債利回りは5%を割り込む場面もあった。
トロント・ドミニオン銀行の英国・欧州金利担当シニアストラテジスト、プージャ・クムラ氏は「実際の合意というより、合意という概念で米国債への買いが続いている」と指摘。「とはいえ、現実に合意が成立するまでは、今の安心感に基づく相場上昇が長期的に続くかは疑わしい」と続けた。

米国債利回りはおおむね原油価格に追随
イラン戦争に起因する原油高は、2023年以来となる急激なインフレ高進につながり、米国債利回りは今月大きく上昇した。ケビン・ウォーシュ氏が議長に就任した連邦準備制度理事会(FRB)に対し、トレーダーは現在の高金利が長期化するとの見方を強めている。
米・イラン交渉の展開を追う市場では、目先の金融引き締め観測が後退した。金融政策見通しを反映するオーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)は、2027年3月までに1回の利上げが完全に織り込まれている。先週末の時点では、2026年12月までの利上げを織り込んでいた。
今週予定されている入札3本のうち、第1弾となったこの日の2年債入札(発行額690億ドル)では、相場上昇を背景に最高落札利回りが4.071%に切り詰められた。それでも2025年2月以来の高水準だった。
外為
外国為替市場では、円が対ドルで下落し、一時159円38銭まで下げた。1週間のボラティリティーは2021年12月以来の低水準となった。
| ブルームバーグ・ドル指数 | 1201.21 | 1.62 | 0.14% |
| ドル/円 | ¥159.31 | ¥0.40 | 0.25% |
| ユーロ/ドル | $1.1631 | -$0.0013 | -0.11% |
| 米東部時間 | 16時57分 |
日本銀行の氷見野良三副総裁は26日の参院財政金融委員会で、利上げのタイミングやペースについて、中東情勢が国内経済・物価に及ぼす影響を分析し、中心的見通しの実現確度やリスクを点検して検討する考えを示した。
主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル・スポット指数は、一時0.2%上昇した。
バンク・オブ・ナッソー1982のチーフエコノミスト、ウィン・シン氏は「合意がまとまるとすれば、ホルムズ海峡の再開に焦点を絞ったものになりそうだ。イランへの戦争被害補償や核開発プログラム、制裁など難しい問題は当面は後回しになるだろう」と述べた。
マネックスの為替トレーダー、アンドルー・ハズレット氏は「夜間に起きた衝突は投資家の信頼感に良い影響は与えないものの、かといって停戦崩壊という結果には至っていない」と指摘する。「自分は様子見の姿勢をかなり強めている。進展に関する話は多く聞かれるが、双方とも譲歩の意欲をあまり見せていない」と述べた。
「全ての問題をきちんと一つにまとめた合意が成立するとは、まったく予想していない。しかし問題を先送りすれば、紛争再燃の可能性はその分高まる」と続けた。
原油
北海ブレントが反発。米国とイランが再びペルシャ湾で衝突し、海上輸送の要衝であるホルムズ海峡の再開に向けた暫定合意の先行きが不透明になった。
ブレント先物7月限は約3.6%上昇し、1バレル=99.58ドルで終えた。前日は、米国とイランの合意期待が高まったことで7%余り下げていた。
一方、ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物7月限は前営業日比2.71ドル(2.8%)安の1バレル=93.89ドルで終えたが、これは前週末22日との比較だ。25日は米国が祝日だったため、清算値は算出されなかった。
米軍はイラン南部で自衛目的の攻撃を実施し、ミサイル発射施設や機雷敷設を試みていた船舶を標的にした。一方、イスラム革命防衛隊(IRGC)はイラン領空に侵入した米軍のF35戦闘機1機と複数のドローン(無人機)に向けて発砲したと明らかにした。
両国は約2カ月間の停戦延長と、米国による海上封鎖解除、およびイランによるホルムズ海峡再開を柱とする合意に向けて協議を続けている。ただ、争点はなお未解決のままだ。イランは海峡を通過する船舶の管理権限を主張しているが、自由な船舶の航行を求める米国やアラブ諸国、欧州は容認できないとの立場を示している。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は、米国がホルムズ海峡で船舶航行を誘導する取り組みを再開しようとしていると報じた。その後、米軍は同報道を否定した。
MSTマーキーの上級エネルギーアナリスト、ソール・カボニック氏は、「現時点では、和平合意が成立する、まして順守されると考えるのは時期尚早だ」と指摘。
その上で「双方はここ数カ月間、交渉の進展や海峡再開の見込みについて繰り返し触れてきたが、実現には至っていない」と述べた。
金
金相場は下落。米国とイランがホルムズ海峡付近で衝突したことで和平合意への期待が後退し、インフレ長期化に伴う金利高止まりが改めて意識された。ドル高も重しとなった。
TDセキュリティーズのシニア・コモディティー・ストラテジスト、ライアン・マッケイ氏は、「米・イラン合意への期待は一定の支援材料となっているものの、状況は依然として不安定で緊張が続いている。インフレ懸念も引き続き逆風となっている」と指摘した。
また同氏によると、トレンドフォロー型投資家は金の売り手に回っており、金価格は上昇よりも下落する可能性のほうが依然として高いという。

金相場の戻り鈍く、インフレリスク高止まりで | イラン戦争開始以降、金価格は下げ基調
金価格は、イラン戦争が始まった2月下旬以降、14%余り下落している。戦争によってエネルギー価格が高騰し、インフレ懸念が強まったことで、市場では利上げ観測が強まっている。利息を生まない金にとって、金利の上昇は逆風となる。
ワールドゴールドカウンシル(WGC)のチーフストラテジスト、ジョン・リード氏は、「金相場が持続的に回復するには、リスク資産との相関関係を断ち切る必要がある」と指摘する。
また、たとえ戦争が今すぐ終結したとしても、エネルギー需給の均衡回復には時間がかかるため、金相場は年末にかけて持ち直す公算が大きいとの見方を示した。
スポット相場はニューヨーク時間午後2時19分現在、前営業日比80.72ドル下落し、1オンス=4489.78ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物8月限は21.40ドル(0.5%)安の4535.00ドルで引けた。
欧州
欧州株式市場では、指標のストックス欧州600指数が7営業日ぶりに下落。イランと米国との間で再び軍事衝突があったと報じられ、北海ブレント原油は反発した。
ストックス600は0.6%安で取引を終了した。トランプ米大統領は停戦交渉が「順調に進んでいる」と述べたが、その数時間後にホルムズ海峡での衝突が伝えられ、なおも緊張が続いていることを浮き彫りにした。
一方、イスラエルのネタニヤフ首相は、レバノンを拠点とする親イラン武装組織ヒズボラへの攻撃強化を示唆した。ブレント原油は一時4.2%高の100.19ドルに達し、前日に7%下げた分を一部取り戻した。
業種別では、自動車やテクノロジー、ヘルスケアが大きく売られた。鉱業は堅調。中国山西省の炭鉱で大規模な爆発が発生し、109の炭鉱が操業停止に追い込まれたことを受けて同国の石炭価格が急騰した。
前日が祝日で休場明けとなった英国の株式は、他市場の前日の上昇に追い付く格好で米S&Pとともに上昇した。
債券は英国債が米国債とともに上昇。英2年債利回りは3ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下して4.30%と、4月22日以来の低水準を付けた。
短期金融市場が織り込むイングランド銀行(英中央銀行)の年内利上げ見通しは44bpと、前週末の49bpから後退した。
ユーロ圏国債は反落。前日に11bp低下したドイツ2年債利回りは6bp上昇し、2.59%となった。
原題:S&P 500 Hits Record High as Iran Peace Hopes Hold: Markets Wrap(抜粋)
原題:US Bonds Gain in Catch-Up Trade as Trump Sees Iran Progress(抜粋)
原題:Dollar Advances as Kiwi Lags Peers Ahead of RBNZ: Inside G10(抜粋)
原題:Oil Climbs as US-Iran Clashes Muddy Outlook for Peace Deal(抜粋)
原題:Gold Declines as Gulf Strikes Cloud Interest Rate Outlook(抜粋)
原題:European Stocks End Six-Day Winning Run; BP Falls as Chair Fired(抜粋)
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