636兆円の対外純資産で日本を抜き世界2位もその実態は「赤字」…そして中国がひた走るデフレ経済への道

前編記事『民間AI人材には海外渡航制限、富裕層の資金移転にも規制…それでも止まらぬ「中国脱出」のワケ』で見てきたように、富裕層を中心に中国マネーの海外流出が続いている。背景には不景気がある。だが、中国当局は抜本的な改革ではなく、国民の締め付けに躍起になっているようで、規制強化が進むばかりだ。

安い税負担は過去のものに

金融当局の取り締まり強化には「地方政府の財源確保」という別の狙いもある。

地方政府の不動産関連収入は昨年までの5年間で48%減少し、新たな財源確保が急務だ。このような状況下で、違法な海外取引で利益を上げていた富裕層は地方政府にとって格好の標的となる。

関係者によれば、当局から接触を受けた富裕層は、投資利益に対して最大20%の課税を求められており、追徴課税の可能性も指摘されたという。

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「中国の税負担は海外より安い」との評価も過去のものになりつつある。

中国政府は課税基盤を拡大しており、昨年の個人所得税収は前年比11.5%増の1兆6200億元(約35兆円)と過去最高となった。

だが、中国政府の思いとは裏腹に、今回の規制強化で資金の海外流出はさらに加速するのではないかとの不安が頭をよぎる。

世界2位、喜んで良いのか…

中国経済の行く末に注目が集まる中、財務省は26日、「中国の昨年の対外純資産は約636兆円となり、日本(約562兆円)を抜き、世界第2位となった」と発表した。

世界第2位の経済大国の面目躍如と言いたいところだが、「対外純資産の積み上がりは中国経済にとって大きなマイナスだ」と筆者は考えている。

海外資産を大量に保有すれば、それに応じて利子・配当などの所得が増える。日本の2024年の第1次所得収支(金融債権から生じる利子や配当などの収支)は約2700億ドルの黒字だったのに対し、中国の第1次所得収支は約130億ドルの赤字だ。

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その原因は海外資産の活用の仕方にある。中国では貿易によって得られた外貨のうち収益が見込める投資に回る比率は低く、相当部分が国家管理の下で外貨準備や預金などで運用されているからだ。

デフレの罠に陥る恐れも

中国政府は3兆ドル(約480兆円)を超える外貨準備を保有しているが、その目的は人民元の価値を安定させることにある。貿易黒字が増えるにつれて通貨高になるのが通例だが、中国政府が市場介入などで通貨高を防ぐ努力を続けており、そのためには大量の資金(外貨準備)が必要というわけだ。

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通貨安により、中国は輸出の好調さを維持できているが、生産年齢人口(15歳から64歳までの人口)が2015年にピークを迎えており、中国がこれまでのようにモノを売って稼ぐことができなくなるのは時間の問題に違いない。総人口も減り始めており、「デフレの罠」に陥るリスクも高まる一方だ。

これを回避するためには、海外資産から相応の利益が得られる先進国型経済への転換が不可欠だが、中国政府は自らその道を閉ざしているのが実情なのだ。

残念ながら、中国経済の衰退化は避けられないのではないだろうか。

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