厚生年金+国民年金で「月15万円」をもらえるのは全体の何パーセント? 2026年度の最新支給額と夫婦のモデルケースを紹介
基礎年金満額・厚生年金モデル夫婦の支給額は月いくらか

厚生年金+国民年金で「月15万円」をもらえるのは全体の何パーセント?2026年度の最新支給額と夫婦のモデルケースを紹介
初夏の爽やかな風とともに、梅雨の足音が近づく6月となりました。自宅で過ごす時間が増えるこの時期は、これからの生活や将来の家計について落ち着いて見直す良い機会です。
総務省の「家計調査報告 家計収支編 2025年」によると、65歳以上の単身無職世帯では、1カ月の生活費(消費支出)が可処分所得を上回り、平均で毎月約3万円の赤字が生じている状況です。
この不足分は、多くの場合、これまでの貯蓄を取り崩して補われています。
老後の生活を支える重要な柱である公的年金ですが、実際に十分な額を受け取れている人はどのくらいいるのでしょうか。
年金だけで安定した生活を送ることは、現代において容易ではないのかもしれません。
この記事では、厚生労働省の資料を基に、現在のシニア世代が受け取る年金のリアルな金額や、生活に対する意識について詳しく見ていきます。

出所:総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」
※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
日本の公的年金制度「国民年金」と「厚生年金」の基本構造
日本の公的年金制度は、「国民年金(基礎年金)」を基礎として、その上に「厚生年金」が上乗せされる形で成り立っています。
この構造は、しばしば「2階建て」に例えられます。
ここでは、それぞれの制度が持つ基本的な特徴について確認していきましょう。

1階部分:国民年金(基礎年金)
・加入対象:日本国内に居住する20歳以上60歳未満のすべての人が原則として加入します。
・保険料:所得にかかわらず一律の金額で、年度ごとに見直されます。(※1)
・受給額:保険料の納付期間が40年(480カ月)に達すると、65歳から満額の老齢基礎年金を受け取れます。未納期間がある場合は、その期間に応じて年金額が減額されます。(※2)
※1 2025年度の国民年金保険料は、月額1万7510円です。
※2 2025年度の国民年金(老齢基礎年金)の満額は、月額6万9308円です。
2階部分:厚生年金
・加入対象:会社員や公務員のほか、一定の要件を満たすパートタイム労働者などが、国民年金に上乗せして加入します。
・保険料:給与や賞与といった収入に応じて金額が決まります(上限あり)。(※4)
・受給額:加入していた期間や納めた保険料の総額によって、個人ごとに異なります。
厚生年金は2階部分に相当し、主に会社員や公務員が国民年金とあわせて加入する制度です。
国民年金と厚生年金とでは、加入対象者や保険料の決定方法、受給額の計算式などがそれぞれ異なっています。
このため、将来受け取る年金額は、現役時代の働き方や収入状況によって個人差が生じることになります。
また、公的年金の支給額は、物価や現役世代の賃金の変動に応じて毎年改定される仕組みであることも、知っておきたいポイントです。
※3 特定適用事業所とは、厚生年金保険の被保険者数が常時51人以上の企業などを指します。
※4 厚生年金の保険料は、標準報酬月額(上限65万円)と標準賞与額(上限150万円)に保険料率を乗じて算出されます。
2026年度の年金額はいくら?厚生年金・国民年金の支給額モデルケース
公的年金の支給額は、物価や現役世代の賃金の動きに合わせて、毎年度見直されることになっています。
2026年1月23日に厚生労働省が公表した資料によると、2026年度(令和8年度)の年金額の目安が示されました。
新しい年度の4月分から適用される年金額の改定率は、国民年金(基礎年金)で+1.9%、厚生年金(報酬比例部分)で+2.0%です。

2026年度(4月分~)の年金額
・国民年金(老齢基礎年金・満額):月額7万608円(1人分 ※1)
・厚生年金(夫婦2人分のモデルケース):月額23万7279円(夫婦2人分※2)
※1 昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金(満額1人分)は、月額6万9108円(前年度比+1300円)となります。
※2 平均的な収入(賞与込みで月額45万5000円)を得ていた夫が40年間就業し、妻がその期間すべて国民年金に加入していた場合のモデル世帯が受け取る年金額です。老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額)を合計した給付水準を示しています。
国民年金のみの受給となる場合、保険料を40年間すべて納付して満額(※3)を受け取ったとしても、月額は約7万円です。
仮に、受給開始を75歳まで遅らせる「繰下げ受給」(※4)を選択したとしても、月額は13万円に満たない水準となります。
※3 65歳から受け取れる満額の年金額は、国民年金の保険料を40年間(480カ月)納付した場合を指します。
※4 繰下げ受給は、年金の受給開始時期を66歳から75歳までの間で遅らせることができる制度です。1カ月遅らせるごとに受給率が0.7%ずつ増え、75歳で受給を開始すると最大で84%増額されます。
さらに、ここで紹介した金額は、あくまでモデルケースに基づいたものです。
実際の受給額は個人の働き方や収入によって大きく変動するため、「ねんきんネット」などを活用してご自身の年金見込額を確認しておくことが重要です。
厚生年金と国民年金の合計で「月15万円」もらえる人はどのくらい?受給者の割合を解説
厚生労働省年金局が公表した「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、厚生年金受給者(男女計)の平均受給月額は15万289円でした。
この金額には、1階部分である国民年金(老齢基礎年金)も含まれています。
受給額別の人数分布は、以下のようになっています。
厚生年金の受給額別に見る受給権者の分布

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
・1万円未満:4万3399人
・1万円以上~2万円未満:1万4137人
・2万円以上~3万円未満:3万5397人
・3万円以上~4万円未満:6万8210人
・4万円以上~5万円未満:7万6692人
・5万円以上~6万円未満:10万8447人
・6万円以上~7万円未満:31万5106人
・7万円以上~8万円未満:57万8950人
・8万円以上~9万円未満:80万2179人
・9万円以上~10万円未満:101万1457人
・10万円以上~11万円未満:111万2828人
・11万円以上~12万円未満:107万1485人
・12万円以上~13万円未満:97万9155人
・13万円以上~14万円未満:92万3506人
・14万円以上~15万円未満:92万9264人
・15万円以上~16万円未満:96万5035人
・16万円以上~17万円未満:100万1322人
・17万円以上~18万円未満:103万1951人
・18万円以上~19万円未満:102万6888人
・19万円以上~20万円未満:96万2615人
・20万円以上~21万円未満:85万3591人
・21万円以上~22万円未満:70万4633人
・22万円以上~23万円未満:52万3958人
・23万円以上~24万円未満:35万4人
・24万円以上~25万円未満:23万211人
・25万円以上~26万円未満:15万796人
・26万円以上~27万円未満:9万4667人
・27万円以上~28万円未満:5万5083人
・28万円以上~29万円未満:3万289人
・29万円以上~30万円未満:1万5158人
・30万円以上~:1万9283人
厚生年金の受給額が月額15万円以上の人は全体の49.8%で、半数にわずかに届いていないことがわかります。
このデータは厚生年金受給者に限られるため、国民年金のみを受給している人も含めると、月15万円以上を受け取る人の割合はさらに低くなると考えられます。
60歳代単身世帯の半数が「年金だけでは生活が厳しい」と回答
実際に年金を受給しているシニア世代は、日々の生活費についてどのように感じているのでしょうか。
J-FLEC(金融経済教育推進機構)の「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」を見ると、シニア世代が直面する厳しい実情が明らかになります。

出所:J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」をもとにLIMO編集部作成
「年金だけで不自由なく暮らせる」と感じるシニアは少数派
60歳代と70歳代の回答を見ると、「年金収入だけで特に不自由なく暮らせる」と答えた人の割合は、二人以上世帯・単身世帯ともに8%~12%台にとどまっています。
単身世帯で「日常生活費も厳しい」と感じる割合は高い傾向に
一方で、「年金だけでは日常生活費をまかなうのも難しい」と回答した人の割合は、二人以上世帯では26%~33%台でした。
しかし、単身世帯では60歳代で50.7%、70歳代で35.5%と、より高い水準になっています。
生活にゆとりがない最大の要因は「物価上昇」
年金生活にゆとりを感じられない理由を尋ねたところ、年代や世帯の形にかかわらず「物価上昇等」が最も多く、いずれの層でも50%を超えました。
次いで「医療費の個人負担増」や「年金支給額の切り下げ」といった理由が挙げられています。
この調査結果からは、多くのシニア世帯が物価高騰によって家計が圧迫されていると感じており、年金収入のみでゆとりのある生活を送ることが困難になっている実態がうかがえます。
年金制度改正の動向:「年収106万円の壁」撤廃への動き
2025年6月13日には、「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案」が参議院本会議で可決・成立しました。
この法改正は、働き方や家族構成、ライフスタイルの多様化に対応した年金制度を整備することを目的としています。
同時に、私的年金制度の充実や所得再分配機能の強化を図り、高齢期の経済的な安定を目指すことも重要な目的です。
ここでは、今回の改正における全体像を見ていきましょう。
年金制度改正の主なポイントを確認

出所:厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」
社会保険の適用拡大
・中小企業で働く短時間労働者などが厚生年金や健康保険に加入しやすくなり、将来の年金増額といった恩恵を受けられるようになります。
在職老齢年金制度の見直し
・年金を受給しながら働く高齢者が、年金の減額を気にせず、より意欲的に働ける環境を整えます。
遺族年金制度の見直し
・遺族厚生年金における男女間の差をなくし、子どもがいる場合に遺族基礎年金を受け取りやすくします。
保険料・年金額計算における賃金上限の引き上げ
・高所得者が収入に応じた年金保険料を負担し、現役時代の賃金に見合った年金を受け取れるようにします。
その他の改正点
・子の加算や脱退一時金制度の見直しも行われます。
・私的年金制度も見直され、iDeCo(個人型確定拠出年金)の加入可能年齢が引き上げられるなどの変更があります。
今回の改正内容が示すように、公的年金は単に「老後に受け取るお金」というだけでなく、現役時代の働き方やキャリアプラン、ひいては人生設計そのものと深く関わる制度といえるでしょう。
まとめ:これからの老後資金対策で大切なこと
物価の上昇が続く現代において、毎月の家計が赤字となり、生活にゆとりを持てないシニア世帯が増えているのが実情です。
インフレが進む時代では、預貯金の額面が変わらなくても、実質的に購入できるモノやサービスの量は減ってしまうリスクがあります。
また、2026年度(令和8年度)からは、働きながら年金を受け取る際の「在職老齢年金」における支給停止調整額が65万円に引き上げられることになりました。
この変更によって、一定の給与収入があっても年金が減額されにくくなり、シニア世代が働き続ける上での選択肢が広がります。
これからの時代は、長く働き続けて安定した収入を得るとともに、手元にある資産を「働かせる」という視点も重要になるでしょう。
NISAやiDeCoのような税制優遇制度をうまく活用しながら、ご自身の資産を守り、育てていく工夫を始めてみてはいかがでしょうか。
※当記事は再編集記事です。
参考資料
・総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」
・厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
・日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
・日本年金機構「令和7年4月分からの年金額等について」
・J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」
・厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」
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