炊き込みごはんだけじゃもったいない! 生産者に聞いた「たけのこのおいしい食べ方」
たけのこの食べ方といえば、炊き込みごはんに、若竹汁、土佐煮が定番。けれど、産地の人ならもっといろんな食べ方を知っているはず。たけのこを味わい尽くすおいしい食べ方を、生産者から教わった。

※料理のつくり方における「茹でたけのこ」は、下茹でしてアク抜きを済ませたたけのこのことです。

生産者 長尾藤左衛門 長尾吉浩さん(中)、薫さん(右)、聡子さん(左)
広大な竹林を8代にわたって守る長尾さん一家。

長尾さんの竹林。高く盛った赤土の法面にはキツネの巣穴がいくつも見られた。
旬の時期には、掘りたてのたけのこを直売所で販売するほか、水煮に加工をしての販売や、地方発送、また長岡京市のふるさと納税の返礼品として提供をおこなう。

旬の時期になると、自宅の敷地に薪ストーブを出し、大釜でたけのこを茹でるのだそう。
収穫期は娘の聡子さん一家も総出でたけのこ掘り。大きなたけのこを傷つけることなく手際よく掘るには経験の積み重ねがモノをいうため、中学のころから家業を手伝っていた吉浩さんの手際には、家族の誰もかなわないとか。

玄関先に掛けられた歴史を感じる屋号札。
Info
長岡京市長法寺川原谷25-1
電話075-955-8716
営業時間:10:00~14:00
定休日:不定
たけのこ販売は3月下旬~5月中旬。米の販売は通年
加工法ごとの特徴
生
特徴:一般的に収穫から1~2日でえぐみが出るのですぐ水煮にする。
流通:旬の時期に、直売所、青果店、スーパーで扱う。
水煮
特徴:米糠や重曹などで茹でてアク抜きし、水につけた状態で冷蔵する。日がたつほど風味が流出する。
流通:食品加工メーカーによる真空パックの加工品は、流通範囲が広く賞味期限が長い。
塩漬け
特徴:アク抜き後に塩漬けし、食べるときに塩抜きする。メンマのコリコリとした食感は塩漬けの特徴。
流通:メンマは、業務用スーパーやネット販売などで扱われる。たけのこの塩漬けは流通しない。
冷凍茹でたけのこは、当社にしかつくれない特殊技術です
「たけのこは、新鮮さを保つため収穫後すぐに茹でてから保存しますが、茹でた後に家庭の冷蔵庫で冷凍すると食感が変わってしまうので、一般的には冷凍できない食材です。当社の冷凍茹でたけのこは、特許取得の特殊冷凍装置をつかって試作を重ね、冷凍前と遜色のない味わいを実現しました。旬の時期には、皮つきのまま茹でて氷詰めにしたものを販売していますので、おいしい白子たけのこを年間を通じてお楽しみください」
小川食品工業 立入絵理香さん
長岡京市でたけのこの缶詰製造から始まった食品加工メーカーで、主に広報を担当。たけのこの販売は、直営店とオンラインショップにて。
https://www.takenoko.co.jp/
新鮮なほどおいしい!「たけのこの刺身風」

採れたての香ばしさを味わう究極にシンプルな食べ方は産地ならでは。生たけのこをアク抜きしたら、昆布出汁の旨みをまとわせるだけ。
【つくり方】
食べやすい大きさに切った茹でたけのこ、昆布出汁、酒少々を鍋に入れ、中火にかけて沸騰したら弱火で5分ほど加熱する。そのまま冷まし、器に盛る。わさび醬油をつけて食す。

Point
昆布出汁は濃いめにつくると短時間の加熱でしっかり風味が入る。
贅沢に、まるごとつかって「たけのこ姿寿司」

節をくり抜いて下味をつけたたけのこにまぜ寿司を詰めた、乙訓地域の郷土料理。春の行楽弁当や祝いの席のごちそうとして親しまれている。
【つくり方】
〈たけのこ〉鍋に出汁2カップ、醬油、砂糖、みりんを大さじ2杯ずつ入れ、節をくり抜いた茹でたけのこを中火で10分ほど煮て、取り出す。
〈まぜ寿司〉ニンジン、戻した干しシイタケを粗みじん切りにし、たけのこの煮汁で10分ほど煮て取り出し、あらかじめつくっておいた酢飯に混ぜる。
〈仕上げ〉粗熱がとれたたけのこにまぜ寿司を詰め、幅2~3cmに切って器に盛る。

Point
1.たけのこの先端部はやわらかいので、くり抜く際はスプーンで慎重に。
2.くり抜いたたけのこの節は、まぜ寿司の具材としてつかってもよい。
3.たけのこに下味をつける際は、たけのこが煮汁に浸かるちょうどいい大きさの鍋をつかう。
4.余った煮汁はほかの料理に再利用を。たけのこきんぴら(ページ下)は、この煮汁を利用してつくれる。
すりゴマでアレンジ「たけのこきんぴら」

ゴボウやレンコンの調理法としておなじみのきんぴらをたけのこで。採れたての風味豊かなたけのこなら、すりゴマの香りに負けない春のきんぴらが完成。
【つくり方】
短冊切りにした茹でたけのこをゴマ油でさっと炒め、出汁、醬油、砂糖、みりんを同量ずつ加え、汁気がなくなるまで煮詰める。粗熱がとれたら、すりゴマであえて完成。

Point
通年入手できる真空パックの水煮たけのこでつくる場合は、すりゴマを控えると素材の味わいが際立つ。

生産者 石田ファーム 石田昌司さん(左)、薬膳食育指導士 弓倉靜英さん(右)
メーカーの技術職を早期退職し、実家のたけのこ農家を引き継いだ石田さんは、先代の反対を押し切り有機農法に取り組んできた。

伝統のたけのこ栽培につかう有機肥料も自家製。圧搾のゴマ油粕と国産大豆のおからを発酵させている。
一方、各地で問題となっている放置竹林対策の一環として、弓倉さんらとメンマづくりを人びとに広める〈竹乃舎〉を運営。

竹乃舎では、幼竹を塩漬けするメンマづくりを通して地域貢献や食育、食料寄贈などに取り組む。
材料の幼竹(伸びたたけのこ)は採取しやすく竹林の維持管理が簡単なことから、メンマのつくり方を広めることで幼竹の採取を促し、竹林の景観維持や、放置竹林の解消を目指す。

右からメンマ、皮つき、皮なしとさまざまな形で冷蔵保存しているたけのこ。
Info
石田さんのたけのこは、京都で有機野菜と食品の通販をおこなう〈坂ノ途中〉にて扱いあり。掘ったその日に発送するので鮮度抜群。オンラインショップで「石田さんのたけのこ」と検索して。
https://www.on-the-slope.com/
滋味深い採れたての風味を凝縮!「たけのこステーキ」

これも、採れたてのたけのこの風味を味わうシンプルな調理。オリーブオイルと塩はいいものをつかって、素材の味を引き立てよう。タルタルソースも合う。
【つくり方】1.5㎝幅ほどの輪切りにした茹でたけのこの株元を、オリーブオイルを引いたフライパンに並べ、中火で焼く。両面、焼き目がつけば塩をふり完成。お好みで、木の芽、アオサと味噌を混ぜたペースト、山椒の実などを添えて。

調和のとれた和の味わい「たけのことアオサのスープ」

アオサの香り、合わせ出汁と響き合う、採れたてのたけのこの豊かな風味。やさしく滋味深い味わいに合わせ、関西のうどん出汁よりも薄めに仕上げよう。
【つくり方】
合わせ出汁を火にかけ、醬油、みりんで味をつける。食べやすく切った茹でたけのこを入れ、沸騰直前に、アオサ、水溶き片栗粉を入れ、沸騰させないようにかきまぜて、とろみがつけば火を止める。器に盛り、千切りにしたユズの皮を載せる。
Point
1.出汁はお好みで。この日は、鰹、昆布、干しシイタケの合わせ出汁を使用。
2.ユズ皮の代わりに木の芽も合う。
油揚げと味噌で和風アレンジ「メンマとお揚げのピザ」

チーズのコクやメンマの塩気の奥に、隠し味の味噌マヨがしっかりと存在感を発揮する。咀嚼するほどに、味噌の旨み、マヨネーズのコクが広がる立体的な味わい。
【つくり方】
味噌、みりん、マヨネーズを混ぜて、油揚げの片面に塗り、食べやすく切ったメンマ、シメジ、シュレッドチーズをのせて、オーブントースターで焼く。チーズが溶け味噌マヨネーズが焦げ始めたら取り出し、食べやすく切って器に盛る。

Point
メンマは塩抜きしすぎないほうが具材の味にメリハリが感じられてよい。ない場合は、茹でたけのこや市販の味つきメンマで代用してもよい。
メンマの塩気がアクセント!「メンマとサバ缶のサラダ」

食べ応えたっぷりなのは、メンマの歯ごたえとサバの味噌煮の存在感のおかげ。メンマの代わりに、茹でたけのこや市販の味つきメンマをつかっても可。
【つくり方】
ボウルに、食べやすく切った水菜、玉ネギスライス、塩抜きして短冊切りにしたメンマ、サバの味噌煮の缶詰を汁ごと入れて、マヨネーズであえれば完成。器に盛り、大葉の千切りを添えて食す。

Point
切り干し大根を入れるのもおすすめ。風味とシャキシャキ食感がよく合う。
●情報は、『FRaU S-TRIP MOOK “ほんもん”の京都は「海」「森」「お茶と竹の里」にある!』発売時点のものです(2026年3月)。
Photo:Nobuki Kawaharazaki Illustration:Kida(Pixta) Text:Knax
S-TRIP MOOK
“ほんもん”の京都は「海」「森」「お茶と竹の里」にある!

2026年3月17日(火)発売 価格:1000円(税込)
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