「もう無理」 原英莉花は優勝前夜に歯痛で病院に駆け込んでいた

米国での競技生活は1年目。楽しいことも大変だったこともある

2025年を米女子下部エプソンツアーで戦ってきた原英莉花は8月、「ワイルドホースレディースゴルフクラシック」(オレゴン州)で待望の初優勝を飾った。初日、2日目と連日「67」で回って首位と1打差の3位で決勝に進むと、最終日に圧巻の10バーディ、2ボギー「64」をマーク。笑顔でトロフィーを手に写真に納まったが、最終日の前夜は、病院に駆け込む事態に見舞われていたという。

大会初日から口の中に“異変”を感じていた。「開幕前にマネジャーが『歯が痛い』って言うから『歯なんて痛くならないでしょ』とか笑っていたら、“あれ、なんか痛いかも”って」。急に襲ってきた痛みは初めこそ我慢できたものの、痛み止めを飲んでも痛みは引かず、ついに2日目のラウンド後に我慢の限界を迎えた。「もう無理、って」

優勝前日は「歯痛」に苦しんでいた

滞在場所の周辺を調べても近くに駆け込める歯科医院はなく、緊急対応可能な病院に向かった。幸いなことに、痛みは歯ぐきを傷めたことによる炎症に伴うもので、大事には至らなかった。「2日目のプレーが午前中だったので、なんとか痛みを感じる時間も短く済んだ」と、ハプニングも今となっては笑って振り返られる。

米国ならではのトラブル

不慣れな海外の地にトラブルはつきもの

昨年のQシリーズでエースパターが破損するというトラブルに見舞われた原だが、今年は広大な米国を渡り歩く中ならではのアクシデントも経験した。

3週間前のアラバマ州で開催された「ガーディアン選手権」(25位)を終えたその日、LPGAツアー(レギュラーツアー)の「ウォルマート NW アーカンソー選手権」(アーカンソー州)のマンデートーナメントに出場するため、日曜日の移動を試みた。飛行機の出発時刻をしっかりと確認して準備をしていたのにもかかわらず、「(滞在地と空港に)1時間の時差があるのを忘れていて、搭乗時刻の締め切り1分前に到着したけど間に合わなかった」。

米国本土には東から順に東部時間、中部時間、山岳部時間、太平洋時間の4つのタイムゾーンがあり、さらに3月から11月にかけて実施されるサマータイムもアリゾナ州とハワイ州では導入されていなかったりと、ああややこしい…。

「会場を出発して早い段階で、もう絶対に間に合わないと気付いた。しかも普段はシャワーを浴びたりしないのに、そういうときに限って全員シャワーを浴びて身支度して。すぐに向かっていれば」と後悔が募った。最終的に何とか会場に到着はしたものの、そこまでの道のりも長かった。

「時差が怖い」という原。携帯はミシガン州デトロイトの時間に合わせているそうな

「次の便のキャンセル待ちをしたら、『1人しか乗れない』ってアナウンスされて。マネジャーさんがお酒を飲んじゃったので先に行ってもレンタカーは借りられないとキャンセルして。次に私が乗れることになったけど私が一人で行っても移動手段がない。じゃあトレーナーさんを先に…」

そうこうしているうちに、英語での意思疎通がうまくできずに優先権がほかの乗客に移り、後回しに。「2人分の空席ができて、ほかの4人の乗客の方が譲ってくれて乗ることができた。本当に奇跡みたいな、良かった」。異国の地での経験はゴルフ人生に新たな深みをもたらしているに違いない。(カリフォルニア州インディアウェルズ/石井操)