火力もフライパンも家庭用でOK。思った以上に簡単だった中国の人が毎日食べる「家ごはん」

インスタグラムで中国の家庭料理を発信し、多くのフォロワーを集めている料理研究家がいる。中国福建省出身で日本在住の、りんさんだ。

彼女のレシピは中国の食卓に並ぶ、ありふれた「家ごはん」。日本のキッチンでも手軽に作れるレシピの数々が反響を呼び、初の著書『毎日食べたい中国の家ごはん 日本人もハマる!本場の味』(KADOKAWA)を出版した。出版を機に行ったインタビューでは、りんさんに家庭料理の魅力や、日本の家庭でも無理なく取り入れられるコツなどを聞いた。また、インタビューと併せて書籍から厳選したレシピを一品ずつ紹介していく。

中国の食卓に並ぶ、ありふれた「家ごはん」を

りんさんのレシピの特徴は、中国の「おうちごはん」ということ。そこには、いわゆる町中華とも中華レストランとも違う魅力があるという。

「中華料理というと、火力や大きな中華鍋をダイナミックに使うシーンを思い浮かべると思います。だから自宅で美味しく作れないのではないかと思うかもしれませんが、『家ごはん』の場合はそんなこともありません。揚げ物など、温度管理が必要なもの以外は、一般家庭のコンロとフライパンで十分です。段取りだけ押さえておけば、そんなに難しくありません。中華料理を初めて作る方にもおすすめします」(以下、りんさん)

家庭の数だけ味がある

『家ごはん』の最大の魅力は自由度の高さだと、りんさんは言う。

「和食も家庭の食卓に並ぶごはんは、料亭の味とは違うけど美味しいですよね。それは中国の『家ごはん』も同じこと。レシピ通りじゃなくても成立するのが、家庭料理のよさです。どんな料理も初めて作る場合、分量や工程など、レシピ本などを参考にすると思います。でも、次第になれてくると、ご自身でアレンジし始めるのではないでしょうか。例えば同じ料理名でも、家庭によって使う食材や味が違うことはありますよね。家庭によって違って当たり前で、正解はありません。多少失敗しても、それも家庭の味への道だと思います。『家ごはん』は、“これが正解”というものはなく、“これがうちの味”なのだと思います」

幼いころからりんさんが親しんできた思い出の味「豚バラ照り焼き」レシピのレシピを紹介する。

中国の食卓に並ぶ、ありふれた「家ごはん」を, 家庭の数だけ味がある, 「豚バラ照り焼き〜家常紅焼肉」, 箸が止まらない…罪なほどご飯に合う!

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「豚バラ照り焼き〜家常紅焼肉」

紅焼とは、赤茶色に煮込む調理法です。最初に砂糖をからめて炒め、キャラメリゼするようにコクを出し、色つやよく仕上げます。ビールで煮ると、肉がやわらかくなり、コクも生まれます。この煮汁だけでもご飯が美味しくなるので、子どものころは、煮汁かけご飯にして食べていました。

【材料(2〜3人分)】

豚バラかたまり肉……500g

長ねぎの青い部分……適量

しょうが(薄切り)……2かけ分

にんにく(つぶす)……3〜4かけ分

砂糖・しょうゆ……各大さじ21/2

紹興酒(または酒)……大さじ2

鶏ガラスープの素(顆粒)……小さじ1/2

ビール……250ml

ローリエ……1枚

五香粉……小さじ1

【作り方】

1 豚肉は3つくらいに切って鍋に入れる。たっぷりの水と料理酒大さじ2(分量外)と長ネギの青い部分を加えて中火にかける。沸いてきたら、沸騰させないよう弱めの中火で1〜2分ほど煮る(a)。湯を捨てて流しで洗う。水気を吹き、2cm角に切る。

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(a)豚肉の湯通しは臭みとアクを落とすため。中まで火を通す必要はない。肉がピンク色になるくらいでOK。

2 フライパンに豚肉を入れて中火にかける。油が出てきたら、余分な脂はペーパータオルでかるく吸い取り、砂糖を加え、全体がカラメル色になるまで炒める。途中色づいてきたら、焦げないよう火を弱める。しょうが、にんにくを加えて炒め、紹興酒を加え煮立たせる(b)

3 鶏ガラスープの素、しょうゆを加えて混ぜ、ビール、ローリエ、五香粉も加える(c)。煮立ったらふたをして、弱めの中火で20〜30分煮る。ふたを外し、時々混ぜながら煮詰め、煮汁がとろりとしてつやが出るまで煮る。

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(c)ビールを加えて煮ると、肉がやわらかくなり、深みのある味わいに。

箸が止まらない…罪なほどご飯に合う!

「これは昔から母がよく作ってくれていた思い出の一品です。母は、水と老酒を入れます。豚の角煮に近い料理ですが、もう少し香辛料を効かせて、甘辛く仕上げています。豚の脂と煮汁が、もう“罪”なくらいご飯に合うんですよ。一度食べると箸が止まらず、『これ以上は危険!半分残しておこう』と思っても、気づけば完食。男性にも人気のある一品です。

作り方のポイントは、下ゆでを丁寧にすること。とくに冷凍の豚バラは、においが気になることも多いので、しっかりと下ゆでをしてください。中まで完全に火を通す必要はなく、表面の汚れを落とし、アクが出れば十分です。その後は水できれいに洗い、食べやすいサイズに切ってから香ばしく焼き上げてください。あとは炒めて煮るだけ。とにかく下ゆでを怠らないことがおいしさの決め手です」

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【りん】

1990年福建省生まれ。7歳で家族と来日。高校卒業後に調理専門学校を卒業、調理師免許を取得。製菓の仕事、飲食店での勤務を経験し、2024年に中国の家庭料理を紹介するInstagramを開設。母から受け継いだ家庭の味をベースに、身近に楽しめる中国の料理を発信し、SNSの総フォロワー数14万人(2025年11月現在)と多くの支持を得ている。

書籍写真/難波雄史、レシピ原稿/岡村理恵

構成・インタビュー/笹本絵里(FRaUweb)