ダム無断放流に住民激怒…中国中南部で続く記録的豪雨に、有効な対策打てない習近平指導部の怠慢

前編記事『最大のエネルギー源を生み出す「石炭の郷」大事故が発生しハイテク株“7巨人”は低調気味…不況の中国で続く苦境』で見てきたように、石炭の郷とも言われる山西省の炭鉱で82名が亡くなる事故が起こった。

局地的な事故ではあるものの、中国最大の産炭地での事故ということもあり、エネルギー価格への影響が懸念されている。国内ではさらに追い打ちをかけるような事態も起こり始めている。

記録的な大雨が猛威を振るう

5月中旬から中国の中南部を襲っている記録的な大雨も気がかりだ。

豪雨は1000キロメートル以上と異例の広範囲に広がっており、多くの観測地点で5月としての降水量記録を更新している。専門家は「南シナ海や太平洋などから大量の湿った空気が流れ込み、雨雲の動きが遅く、降雨が長時間続いたため、総雨量が急激に増加している」と危機感を露にしている。

ネット上では「排水設備の未整備に加え、今回も当局が下流の住民への通知なしにダムの放流を行った」とする非難の声が相次いでいる。

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各地で学校や企業が閉鎖され、停電も発生している。豪雨災害も中国の消費の下押し圧力になるのは確実だ。

内需に期待できないからだろうか、中国政府は「外交努力で輸出が拡大する」との情報発信に躍起になっているようだ。

中国政府は20日、「14〜15日の米国との首脳会談で合意された貿易委員会の協議を通じて300億ドル(約4兆7000億円)以上の規模の関税が引き下げられる見込みだ」との見解を示した。米国側は関税引き下げの規模に言及しておらず、中国側の希望的な観測を表明したに過ぎない。

無断開催だと非難され…

中国政府の「独りよがり」はこれに限らない。

アジア太平洋経済協力会議(APEC)の議長国を務める中国は23日、閣僚会議に合わせ、自国が未加盟の環太平洋連携協定(TPP)の関連行事を開くという前代未聞の行動に出た。

中国政府は「TPPへの早期加盟で輸出が増える」とのメッセージを発信したかったのだろうが、TPP加盟国からは『無断開催だ』との反発が出ているとの報道も見られる。そもそも中国は2021年にTPP加盟申請を行ったものの、現段階で交渉入りすらできていないのが現状だ。

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中国政府のハイテク振興策は経済を成長させる効果が小さいこともわかってきている。

中国の不動産部門が国内総生産(GDP)に占める比率は、2023年の16%から昨年は11%と大幅に低下した。一方、ロボットなど6つの戦略産業の割合は、同期間に5.5%から6.3%へと小幅な増加にとどまった。

対策を取らない、習近平指導部

筆者は「社会主義を信奉し続ける中国政府の存在こそが経済低迷の元凶だ」と考えている。ともすれば忘れがちだが、中国は今でも社会主義国家を自称する数少ない国の一つだ。

旧ソ連を始め社会主義経済の失敗は、「消費」ではなく「生産」を重視したことが原因だ。これに対し、中国の場合、史上最大規模の不動産バブルが生み出す膨大な「需要」のおかげで生産の過剰を回避することができていた。

だが、不動産バブルが崩壊した今、旧ソ連と同様の危機に立たされており、一刻も早く消費重視に舵を切らなければならないが、習近平指導部はそのそぶりを全く見せていない。

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急速な技術革新が話題になることが多い昨今だが、中国経済に迫りつつある危機に備え、万全な対策を直ちに講ずるべきだ。

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