日本人ファンは「乞食」と暴言まで吐かれ…BTS釜山公演目前、熱狂の裏に噴き出した“負の側面”
BTSの釜山(プサン)公演が目前に迫っている。
世界中のファンにとっては、待ちに待った祝祭の時間だ。
6月12、13日に釜山アジアド主競技場で開催される「BTS WORLD TOUR 'ARIRANG' IN BUSAN」には、韓国国内だけでなく、世界各地から多くのファンが集まるとみられている。
BTSほどの世界的人気グループの公演となれば、都市にとっては大きな経済効果と広報効果を期待できる一大イベントだ。宿泊、飲食、交通、観光など、地域経済への波及効果は小さくない。
しかし、その熱狂の裏側では、すでにさまざまな問題が噴出している。
宿泊料金の高騰、予約の一方的なキャンセル、外国人観光客への不適切対応、公務員の大量投入案をめぐる反発、都市鉄道の特別運行まで。ファンにとっては待ち望んだ祝祭でも、会場に行かない人々にとっては、巨大K-POPイベントの“負の側面”として降りかかる。
苦情が釜山に集中、宿泊トラブルが最多

(写真提供=OSEN)3月に行われたBTSの光化門公演
まず目立っているのが、観光客からの不満の急増だ。
6月10日、韓国観光公社の「韓国観光データラボ」をもとにした集計によると、5月に全国で受け付けられた観光不便申告368件のうち、50.3%にあたる185件が釜山に集中した。
釜山を除いた全国の苦情より、釜山一都市の件数のほうが多かったことになる。しかも、昨年一年間に釜山で受け付けられた申告239件の77.4%に達する水準だった。
特に多かったのは宿泊関連のトラブルだ。
5月に釜山で寄せられた申告のうち、「一般宿泊」が133件で最多。内容は一方的な予約キャンセルや過度な違約金請求などだ。続いて、ホテル関連の申告も21件あった。
申告の大半が外国人観光客からだった点も見逃せない。
BTS公演の開催が発表された後、釜山では宿泊料金が10倍以上に跳ね上がったり、既存の予約を一方的にキャンセルしたうえで価格を上げて再販売したりする事例が問題になってきた。
そのなかで象徴的だったのが、日本人ファンへの暴言騒動だ。
複数の韓国メディアによると、BTSファンだという日本人観光客は、釜山の宿泊施設を予約した後、チェックイン方法やエレベーターの位置、予約の自動キャンセルの有無などを問い合わせた。
ところが、宿泊業者から返ってきたのは案内ではなく、「乞食のようなやつ」といった趣旨の罵倒だったという。この日本人ファンは最終的に別の宿泊先を予約し、予約代行会社に関連事実を問い合わせた。
この騒動が大きく報じられたことで、釜山市は当該宿泊施設の名称を把握するなど、経緯の確認に乗り出している状況だ。
もちろん、これは一部業者の問題であり、釜山全体を一般化することはできない。ただ、世界中のファンが訪れる大型公演を前に、宿泊トラブルや暴言対応が都市イメージを傷つけかねない状況が生まれていることは重い。
釜山市は、宿泊施設の過度な料金請求や不当な予約キャンセルに対して断固対応する方針を示している。特に、一方的に予約を取り消した後、より高い価格で客室を再販売する行為については、警察の捜査にも協力する考えだという。
公務員915人動員案に反発、「誰が負担するのか」
もう一つの大きな論点が、行政負担だ。

(写真提供=OSEN)2022年にBTSのライブが行われた釜山アジアド主競技場
『ソウル新聞』などによると、釜山市は当初、BTS釜山公演に市職員ら公務員915人を投入する計画を検討していた。しかし、この方針が知られると、公職社会の内部から強い反発が起きた。
匿名掲示板には、BTS公演に公務員が無料で大量動員されるという趣旨の投稿が出た。投稿者は、今回の公演が無料イベントではなく、20万ウォン(約2万円)前後の入場料が発生する民間企業主催の有料公演である点を問題視した。
「(BTSの所属会社)HYBEが利益を得る商業コンサートなのに、なぜ釜山市の公務員が投入されるのか」という不満だ。
大規模イベントで安全管理が必要なことは否定できないだろう。数万人規模の観客が一度に移動すれば、交通混雑や事故リスクは避けられない。都市としても、混雑管理、交通対策、救急・消防・警察との連携を無視することはできない。
実際、釜山交通公社は公演期間中、都市鉄道の営業を1時間延長し、1~4号線で列車を計220回追加運行する特別輸送対策を発表している。公演期間中は一日あたり約5万5000人の観覧客が訪れると予想されており、会場に近い3号線の総合運動場駅では、利用可能な列車20本をすべて投入し、必要に応じて臨時列車も追加する計画だ。
さらに主要駅には安全支援人員210人を追加配置し、混雑が激しくなった場合には警察と協力して出入口や改札、ホームを段階的に統制するという。
つまりBTS釜山公演は、都市交通と安全管理を大きく動かすイベントになっている。それでも、民間企業の有料公演にどこまで公的資源を投入すべきなのかという問いは残る。
『MHNスポーツ』は、今回の公務員動員論争について、「大衆が驚いたのは915人という数字そのものではなく、その数字があまりにも自然に検討されたという事実だ」と指摘した。
続けて「民間の有料公演に数百人の公務員が投入される計画が、市民にどのような視線で映るのかという問題意識は共有されていたのか」と問いかけ、「大きな経済的価値があるからといって、原則まで変わってはならない。例外が必要なら、その理由を説明できなければならず、公共資源が投入されるなら、その基準もまた透明でなければならない」と問題提起している。
この見方は、今回の騒動の一つの本質を突いている。
BTSが韓国を代表するアーティストであり、世界的影響力を持つ存在であることは間違いない。釜山市が今回の公演を、単なる一企業のコンサートではなく、都市全体のイベントとして捉えたとしても不思議ではない。

(写真提供=OSEN)3月に行われたBTSの光化門公演
だが、だからといって行政の負担が当然のように膨らんでいいわけではない。
地域経済が潤うのであれば、行政が一定の支援を行うことには合理性がある。それでも、その費用や人員、責任の範囲が不透明なまま拡大すれば、「なぜ特定企業の収益事業を公務員が支えるのか」という批判は避けられない。
結局、釜山市は公務員の当初の動員方針を撤回し、志願者中心に人員を運用する方向に切り替えた。
この一連の騒動は、BTS公演がいかに巨大な影響力を持つかを示す一方で、その影響力を都市が受け止める難しさも物語っている。
BTSの公演は、今や音楽イベントの枠を超えている。世界中のファンを動かし、宿泊価格を変動させ、交通網を特別体制にし、行政の人員配置まで左右するからだ。
ただ、華やかなステージの裏側には、観光、治安、交通、公共資源をめぐる現実的な問題が横たわる。ファンにとっては祝祭でも、それに参加しない市民や観光客からすれば、混雑や交通規制、宿泊難、行政負担として受け止められかねない。
BTSの人気が大きいからこそ、問題もまた大きくなる。熱狂の外側にいる人々の負担まで含めて、巨大K-POPイベントのあり方が問われている。
BTSの釜山公演まで、残り2日。これ以上のトラブルが生じないことを願うばかりだ。
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