【老後資金の格差】65歳以上・ふたり以上世帯《貯蓄の平均・中央値》4000万円超が約2割?シニアのリアルな年金額と広がる「二極化」

厚生年金の平均は男性約17万円、女性約11万円。70歳代世帯の約3割が「年金だけでは厳しい」と回答するいま。シニア家計の実態と、老後を生き抜く備えとは

70歳代世帯、約3割が「年金だけでは生活費も厳しい」と回答, 年金への意識に関する調査結果, ゆとりを奪う最大の要因は「物価上昇」, 65歳以上・ふたり以上世帯《貯蓄の平均・中央値》4000万円超が約2割?, 貯蓄額ごとの世帯割合を一覧で確認, 働くシニアの実態:高齢者の就業率は年々上昇傾向, 【年金額のリアル】厚生年金・国民年金の平均受給月額はいくら?, 厚生年金の平均受給月額, 国民年金の平均受給月額, まとめ:老後の安心は「資産形成」と「健康」の両輪で

【老後資金の格差】65歳以上・ふたり以上世帯《貯蓄の平均・中央値》4000万円超が約2割?シニアのリアルな年金額と広がる「二極化」

6月に入り、自動車税や固定資産税、そして「住民税決定通知書」といった税金に関する通知が届く季節となりました。

長引く物価高に加え、まとまった税金の支払いが重なり、日々の家計管理に頭を悩ませている方も少なくないでしょう。

働き盛りの現役世代でさえやりくりが難しい現代において、定年退職を迎え、主な収入が年金のみとなるシニア世代の生活は、より一層厳しいものとなっています。

その一方で、計画的に準備を進め、4000万円を超える資産を築いている世帯も存在し、老後の経済状況には大きな格差が生まれているのが実情です。

「現役のうちに老後資金を」と考えてはいても、目の前の生活費や税金の支払いに追われ、貯蓄まで手が回らないという声も聞こえてきそうです。

この記事では、シニア世代の生活実感や貯蓄事情に焦点を当て、高齢者世帯の「生活意識」や「貯蓄・年金」に関する公的データをもとに、老後のお金と暮らしについて考えていきます。

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70歳代世帯、約3割が「年金だけでは生活費も厳しい」と回答

シニア世代は、年金を中心とした暮らしについて、実際にどのように感じているのでしょうか。

ここでは、J-FLEC(金融経済教育推進機構)の「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」から、60歳代と70歳代の「年金に対する意識」および「生活にゆとりがない理由」に関する調査結果を確認します。

年金への意識に関する調査結果

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「年金に対する意識と、年金にゆとりがない理由」

【二人以上世帯】

60歳代

・年金で特に不自由なく生活できる:12.9%

・ゆとりはないが、日々の生活費はまかなえる:53.5%

・日々の生活費をまかなうのも難しい:33.6%

70歳代

・年金で特に不自由なく生活できる:12.3%

・ゆとりはないが、日々の生活費はまかなえる:61.2%

・日々の生活費をまかなうのも難しい:26.5%

【単身世帯】

60歳代

・年金で特に不自由なく生活できる:8.6%

・ゆとりはないが、日々の生活費はまかなえる:40.7%

・日々の生活費をまかなうのも難しい:50.7%

70歳代

・年金で特に不自由なく生活できる:12.3%

・ゆとりはないが、日々の生活費はまかなえる:52.2%

・日々の生活費をまかなうのも難しい:35.5%

この調査結果を見ると、どの世帯タイプや年代でも「年金でさほど不自由なく暮らせる」と答えたのは、わずか1割程度であることが分かります。

特に注目すべきは60歳代の単身世帯で、「日常生活費程度もまかなうのが難しい」との回答が50.7%と半数を超えており、シニアの家計が直面する厳しい状況を物語っています。

ゆとりを奪う最大の要因は「物価上昇」

また、年金生活にゆとりを感じられない理由として、すべての世帯・年代で最も多かったのが「物価上昇等」(51.0%〜57.9%)でした。

これに「医療費の個人負担増」や「年金支給額の切り下げ」が続いており、長期化するインフレが年金生活者の家計を直接的に圧迫している実態がうかがえます。

年金収入だけでゆとりのある生活を送ることは難しく、日々の暮らしの安心感は、現役時代にどれだけの「貯蓄」を準備できたかに大きく影響されるといえるでしょう。

次の章では、高齢者世帯のリアルな「貯蓄額」について詳しく見ていきます。

65歳以上・ふたり以上世帯《貯蓄の平均・中央値》4000万円超が約2割?

総務省統計局が公表した「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」を基に、「世帯主が65歳以上」の二人以上世帯における貯蓄額の平均値、中央値、そして分布状況を確認してみましょう。

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二人以上世帯のうち「世帯主が65歳以上のシニア世帯」貯蓄額の平均・中央値

二人以上世帯のうち「世帯主が65歳以上のシニア世帯」の貯蓄額

平均値と中央値

・平均値:2564万円

・貯蓄保有世帯の中央値:1777万円

平均値である「2564万円」という数字だけを見ると、十分な額に思えるかもしれません。しかし、平均値は一部の富裕層が持つ極端に多い貯蓄額によって、全体の数値を引き上げる性質があります。

そのため、より実態に近いとされる、データを金額順に並べた際にちょうど真ん中に位置する「中央値(1777万円)」にも目を向けることが重要です。

では、実際に貯蓄が4000万円を超える世帯はどのくらい存在するのでしょうか。貯蓄額の分布から、その特徴的な割合を見ていきましょう。

貯蓄額ごとの世帯割合を一覧で確認

さらに詳細な貯蓄額の分布はどのようになっているのでしょうか。

ここでは、「貯蓄が4000万円以上ある」世帯の割合を含め、全体の分布を確認します。

・100万円未満:7.7%

・100万円~200万円未満:3.7%

・200万円~300万円未満:3.4%

・300万円~400万円未満:2.8%

・400万円~500万円未満:3.2%

・500万円~600万円未満:3.4%

・600万円~700万円未満:2.6%

・700万円~800万円未満:2.9%

・800万円~900万円未満:3.0%

・900万円~1000万円未満:2.3%

・1000万円~1200万円未満:5.6%

・1200万円~1400万円未満:3.9%

・1400万円~1600万円未満:4.4%

・1600万円~1800万円未満:3.1%

・1800万円~2000万円未満:3.3%

・2000万円~2500万円未満:8.2%

・2500万円~3000万円未満:6.2%

・3000万円~4000万円未満:9.0%

・4000万円以上:21.1%

データによると、「4000万円以上」の貯蓄を保有する世帯が全体の21.1%を占めており、これは「およそ5世帯に1世帯」に相当します。

目標としていた貯蓄額を確保できた世帯にとっては、老後への経済的な不安も大幅に和らぐことでしょう。

その一方で、貯蓄額が少ない層にも世帯が広く分布していることから、シニア世代の貯蓄状況には大きな個人差(二極化)が生じていることが見て取れます。

十分な老後資金を用意できなかった場合や、想定以上の物価高で貯蓄が早く減少してしまう場合には、現役時代と同様に「定年後も働き続けて収入を得る」という選択肢が、最も現実的な対策となります。

実際に、2021年4月に施行された改正高年齢者雇用安定法では、企業に対して「70歳までの就業機会を確保する努力義務」が課されており、シニア世代が長く活躍できる社会環境は少しずつ整備されつつあります。

それでは、現代のシニア世代は、実際に何歳頃まで働き続けているのでしょうか。次章では、「シニアの就業状況」について詳しく見ていきます。

働くシニアの実態:高齢者の就業率は年々上昇傾向

内閣府が公表した「令和7年版高齢社会白書」によると、高齢者の就業率は全体的に上昇傾向にあることが分かります。

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年齢階級別就業者数及び就業率の推移

75歳以上では大きな変動は見られませんが、65~69歳では前年比で1.6ポイント増の53.6%、70~74歳でも前年比1.1ポイント増の35.1%と、それぞれ上昇しています。

さらに、「何歳ごろまで収入を伴う仕事がしたいか」という問いに対しては、「65歳くらいまで」が23.7%で最も多く、次いで「働けるうちはいつまでも」が22.4%という結果でした。

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何歳ごろまで収入を伴う仕事をしたいか(択一回答)

また、現在収入のある仕事をしている人に絞ると、「働けるうちはいつまでも」と回答した人の割合は33.5%にまで増加します。

働く理由は人それぞれですが、今後もシニア層の就業率は高まっていくと予想されるでしょう。

続いて、高齢者世帯の生活意識に大きく関わる「年金の受給額」について見ていきましょう。

【年金額のリアル】厚生年金・国民年金の平均受給月額はいくら?

日本の公的年金制度は、国民年金と厚生年金から成る2階建て構造となっており、生涯にわたって受け取れる老後の重要な収入源です。

しかし、年金収入だけで生活を維持できている世帯は、決して多いわけではありません。

現在のシニア世代は、毎月いくらくらいの年金を受け取っているのでしょうか。

厚生年金の平均受給月額

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厚生年金《平均月額の男女差・個人差に着目》

〈全体〉平均年金月額:15万289円

・〈男性〉平均年金月額:16万9967円

・〈女性〉平均年金月額:11万1413円

※国民年金部分を含む

一方で、受給額は月1万円未満から30万円以上までと分布に大きな幅があり、個人差が大きいことも特徴の一つです。

では、国民年金のみを受給している場合は、どのような状況なのでしょうか。

国民年金の平均受給月額

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国民年金《平均月額の男女差・個人差に着目》

〈全体〉平均年金月額:5万9310円

・〈男性〉平均年金月額:6万1595円

・〈女性〉平均年金月額:5万7582円

国民年金の受給額で最もボリュームが大きいのは、「月額6万円以上~7万円未満」の層です。

受給額は月1万円未満から7万円以上まで幅がありますが、保険料が原則として一律で年度ごとに改定される仕組みであるため、厚生年金に比べると受給額のばらつきは比較的小さいといえます。

まとめ:老後の安心は「資産形成」と「健康」の両輪で

今回は、現在のシニア世代の暮らしを「生活意識」「貯蓄額」「就業率」「年金額」という4つのデータから見てきました。

調査結果からは、物価高騰の影響もあり、「年金だけでゆとりのある生活を送るのは難しい」と感じているシニア世帯が多いという現実が明らかになりました。

その一方で、4000万円以上の潤沢な貯蓄を持つ世帯が2割以上を占めるなど、現役時代の準備によって老後の安心度に大きな差が生まれていることも事実です。

年金の受給額には個人差があり、年金だけでは生活費をまかなえない場合、不足分は貯蓄を取り崩すか、働いて収入を得るかで補う必要があります。

実際に65歳以降も就労を続けるシニア層は年々増えており、「長く働く」ことは老後の家計を支える重要な選択肢として定着しつつあります。

しかし、健康や体力の問題から、誰もが希望通りに働き続けられるわけではありません。

安心して老後を迎えるためには、現役のうちから計画的な資産形成(貯蓄や投資)に地道に取り組むことと、長く働くための健康づくりという「両輪」で将来への準備を進めていくことが、不可欠といえるでしょう。

※当記事は再編集記事です。

参考資料

・J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」

・総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2025年(令和7年)平均結果-(二人以上の世帯)」

・内閣府「令和7年版高齢社会白書」

・厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

・厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」

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