【2026年】申請しないと0円のまま?60歳以上が「年金以外」に受け取れる公的給付5選|加給年金・雇用保険・支援給付を整理

加給年金や年金生活者支援給付金、高年齢雇用継続給付など“申請型”の制度を総点検|106万円の壁見直しによる社会保険拡大の影響も解説

【申請必須】公的給付の基本原則と手続きの重要性, 老齢年金に上乗せで受給できる2つの制度, 1. 加給年金:「年金の家族手当」の仕組み, 2. 老齢年金生活者支援給付金:所得に応じた上乗せ給付, 働く60歳代が対象となる雇用保険の3つの給付金, 1. 再就職手当:65歳未満の早期再就職を支援, 2. 高年齢雇用継続給付:60歳以降の賃金減少を補う, 3. 高年齢求職者給付金:65歳以上の失業時に支給, 2025年改正「社会保険の適用拡大」のポイント, 短時間労働者の社会保険加入要件の見直し内容, まとめ|申請型の公的給付と制度改正を理解し、老後の家計管理に役立てよう

【2026年】申請しないと0円のまま?60歳以上が「年金以外」に受け取れる公的給付5選|加給年金・雇用保険・支援給付を整理

6月を迎え、夏の賞与や年金支給日を前に「老後のお金」を見直している方も多いのではないでしょうか。

物価上昇が続くなか、年金だけでは家計に不安を感じるシニア世帯も少なくありません。

一方で、60歳以降に利用できる公的支援制度のなかには、「自動では支給されず、申請しないと受け取れないもの」が数多く存在します。

加給年金や年金生活者支援給付金のほか、働くシニア向けの雇用保険制度など、知っているかどうかで家計への影響が変わるケースもあります。

また、2025年以降は「106万円の壁」の見直しなど、社会保険制度にも大きな変更が進められています。本記事では、60歳・65歳以上が活用できる代表的な公的給付制度5つと、最新の制度改正ポイントをわかりやすく整理します。

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【申請必須】公的給付の基本原則と手続きの重要性

公的年金は生活を支える基盤ですが、受給要件を満たしても自動的には支給されません。年金を受け取るには、日本年金機構へ「年金請求書」を提出し、請求手続きを完了させる必要があります。

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年金請求書

同様に、国や自治体が提供する手当、給付金、補助金といった公的支援の多くも、原則として申請手続きが必須です。

申請には期限や必要書類が定められており、これらのルールを遵守しない場合、給付が減額されたり、受給資格を失ったりする可能性があります。

公的支援制度を確実に活用するためには、自身が対象となる制度を正確に把握し、定められた手続きを適切に行うことが不可欠です。

老齢年金に上乗せで受給できる2つの制度

老齢年金を受給している方が特定の要件を満たすと、基本の年金額に加えて支給される2つの制度について解説します。

1. 加給年金:「年金の家族手当」の仕組み

加給年金は、厚生年金に20年以上加入した方が、特定の要件を満たす年下の配偶者や子を扶養している場合に、老齢厚生年金に加算される制度で、「年金の家族手当」とも呼ばれます。

加給年金の支給要件

厚生年金の被保険者期間が20年(※)以上あり、65歳に到達した時点(または定額部分の支給開始年齢に到達した時点)

65歳到達後(または定額部分の支給開始年齢到達後)に被保険者期間が20年(※)以上となった場合、その時点(在職定時改定時、退職改定時、または70歳到達時)

(※)または、共済組合等の加入期間を除いた厚生年金の被保険者期間が40歳(女性と坑内員・船員は35歳)以降15年から19年

上記のいずれかの時点で、生計を維持している「65歳未満の配偶者」または「18歳に達する日以後の最初の3月31日までの子、もしくは1級・2級の障害状態にある20歳未満の子」がいる場合に加算対象となります。

ただし、対象の配偶者が被保険者期間20年以上の老齢厚生年金や退職共済年金、または障害年金などを受給している場合、配偶者加給年金額は支給停止となります。

2025年度の加給年金額

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加給年金の加給年金額

2025年度における加給年金の年額は、対象者に応じて以下の通りです。

・配偶者:23万9300円

・1人目・2人目の子:各23万9300円

・3人目以降の子:各7万9800円

また、老齢厚生年金受給者の生年月日に応じて、配偶者加給年金額には3万5400円から17万6600円の特別加算が上乗せされます。

振替加算の概要

加給年金の対象であった配偶者が65歳に達すると、加給年金は支給停止となります。しかし、その配偶者が自身の老齢基礎年金を受給する際、一定の要件を満たすことで、その老齢基礎年金に「振替加算」が上乗せされる仕組みです。

2. 老齢年金生活者支援給付金:所得に応じた上乗せ給付

年金生活者支援給付金は、公的年金等の収入額や所得額が一定基準以下の年金受給者の生活を支援する制度です。このうち、老齢基礎年金の受給者を対象とする「老齢年金生活者支援給付金」について解説します。

老齢年金生活者支援給付金の支給要件

【申請必須】公的給付の基本原則と手続きの重要性, 老齢年金に上乗せで受給できる2つの制度, 1. 加給年金:「年金の家族手当」の仕組み, 2. 老齢年金生活者支援給付金:所得に応じた上乗せ給付, 働く60歳代が対象となる雇用保険の3つの給付金, 1. 再就職手当:65歳未満の早期再就職を支援, 2. 高年齢雇用継続給付:60歳以降の賃金減少を補う, 3. 高年齢求職者給付金:65歳以上の失業時に支給, 2025年改正「社会保険の適用拡大」のポイント, 短時間労働者の社会保険加入要件の見直し内容, まとめ|申請型の公的給付と制度改正を理解し、老後の家計管理に役立てよう

年金生活者支援給付金制度について

・65歳以上で老齢基礎年金を受給していること

・同一世帯の全員が市町村民税非課税であること

・前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が、所得基準額(昭和31年4月2日以後生まれの方は80万9000円以下、昭和31年4月1日以前生まれの方は80万6700円以下(※2))であること

※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まれない

※2 昭和31年4月2日以後に生まれた方で80万9000円を超え90万9000円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で80万6700円を超え90万6700円以下である方には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給される

老齢年金生活者支援給付金の給付基準額

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老齢年金生活者支援給付金の給付基準額

2026年度の老齢年金生活者支援給付金は、月額5620円が給付基準額となります。実際の給付額は、この基準額を基に、国民年金の保険料納付状況に応じて算出されます(後述の①と②の合計)。

老齢年金生活者支援給付金の給付額算出方法

・①保険料納付済期間に基づく額(月額) = 5620円 × 保険料納付済期間 / 被保険者月数480月

・②保険料免除期間に基づく額(月額) = 1万1551円× 保険料免除期間 / 被保険者月数480月

例えば、国民年金保険料を40年間すべて納付した方は、2026年度において月額5620円(年額7万7440円)が支給されます。ただし、生年月日によって計算方法が異なる場合があります。

保険料免除期間に基づく額の計算に用いる金額は、毎年度の老齢基礎年金額の改定に連動して変動します。

働く60歳代が対象となる雇用保険の3つの給付金

60歳以降も就労を継続する方を対象に、雇用保険から支給される3つの給付制度を解説します。これらの制度は、賃金の減少や失業といった状況に対応し、シニア世代の雇用を支援するものです。

※国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」による年齢階層別の平均給与:50歳代後半男性735万円、女性356万円、60歳代前半男性604万円・女性294万円、60歳代後半男性472万円・女性240万円

1. 再就職手当:65歳未満の早期再就職を支援

再就職手当は、失業手当(基本手当)の受給資格がある方が早期に再就職した場合に支給される手当です。再就職までの期間が短いほど給付率が高くなる仕組みで、早期の雇用復帰を促すことを目的としています。

再就職手当の支給要件

・雇用保険の基本手当の受給資格があること。

・就職日の前日時点で、基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上あること。その他、安定した職業に就いたことなど、ハローワークが定める要件を満たすこと。

再就職手当の給付率

・支給額は、基本手当の支給残日数に応じて以下の給付率を乗じて計算されます(1円未満切り捨て)。

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再就職手当の額

さらに、再就職手当を受給し、その再就職先で6カ月以上勤務したものの、賃金が離職前より低下した場合は、「就業促進定着手当」の対象となる可能性があります。

2. 高年齢雇用継続給付:60歳以降の賃金減少を補う

高年齢雇用継続給付は、60歳以上65歳未満の雇用保険被保険者が、60歳時点に比べて賃金が75%未満に低下した状態で働き続ける場合に支給される給付金です。

高年齢雇用継続給付の支給要件

・60歳以上65歳未満の一般被保険者で、雇用保険の被保険者期間が5年以上あること。

・60歳時点の賃金と比較して、現在の賃金が75%未満に低下していること。

高年齢雇用継続給付の支給率

・支給額は、低下した賃金の最高10%(※)です。

※2025年3月31日以前に高年齢雇用継続給付の支給要件を満たす人は15%

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【早見表】高年齢雇用継続給付(2025年4月1日以降)

注意点として、老齢厚生年金を受給しながらこの給付金を受け取る場合、在職老齢年金制度による支給調整に加えて、さらに最大で標準報酬月額の4%(※)に相当する年金額が支給停止となります。

※2025年3月31日以前に高年齢雇用継続給付の支給要件を満たす人は6%

3. 高年齢求職者給付金:65歳以上の失業時に支給

高年齢求職者給付金は、65歳以上の雇用保険被保険者(高年齢被保険者)が失業した場合に支給される一時金です。

高年齢求職者給付金の支給要件

・65歳以上の高年齢被保険者が失業したこと。

・以下の要件をすべて満たす必要があります。

高年齢求職者給付金の給付金額

【申請必須】公的給付の基本原則と手続きの重要性, 老齢年金に上乗せで受給できる2つの制度, 1. 加給年金:「年金の家族手当」の仕組み, 2. 老齢年金生活者支援給付金:所得に応じた上乗せ給付, 働く60歳代が対象となる雇用保険の3つの給付金, 1. 再就職手当:65歳未満の早期再就職を支援, 2. 高年齢雇用継続給付:60歳以降の賃金減少を補う, 3. 高年齢求職者給付金:65歳以上の失業時に支給, 2025年改正「社会保険の適用拡大」のポイント, 短時間労働者の社会保険加入要件の見直し内容, まとめ|申請型の公的給付と制度改正を理解し、老後の家計管理に役立てよう

高年齢求職者給付金の額

給付額は、被保険者であった期間に応じて、基本手当に相当する額が一時金として支給されます。

・被保険者期間が1年未満の場合:基本手当日額の30日分

・被保険者期間が1年以上の場合:基本手当日額の50日分

この給付金は、65歳未満の基本手当のように分割ではなく、一括で支給される点が特徴です。

2025年改正「社会保険の適用拡大」のポイント

2025年6月13日に成立した年金制度改正法により、パート・アルバイトなど短時間労働者の社会保険(厚生年金・健康保険)の適用が拡大されることになりました。これは、いわゆる「106万円の壁」の見直しに直結する重要な改正です。

短時間労働者の社会保険加入要件の見直し内容

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出所:厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」

2025年6月時点において、短時間労働者が社会保険に加入するには、以下の5つの要件をすべて満たす必要があります。

・週の所定労働時間が20時間以上

・2カ月を超える雇用の見込みがある

・学生ではない

所定内賃金が月額8万8000円以上(←いわゆる「106万円の壁」に関連)

従業員数51人以上の企業で働いている

今回の法改正では、上記のうち「4. 賃金要件」と「5. 企業規模要件」が撤廃される方針です。これにより、いわゆる「106万円の壁」は、最低賃金の動向を踏まえつつ、3年以内に廃止される見込みです。

企業規模要件についても、10年をかけて段階的に緩和され、最終的には企業の規模を問わず、他の要件を満たす労働者は社会保険に加入することになります。

まとめ|申請型の公的給付と制度改正を理解し、老後の家計管理に役立てよう

2026年にかけて、年金制度や社会保険制度は大きな転換期を迎えています。

特に、加給年金や年金生活者支援給付金、高年齢雇用継続給付などは、「対象でも申請しなければ受け取れない」という点に注意が必要です。

また、働くシニアが増えるなかで、「106万円の壁」の見直しや社会保険の適用拡大も家計や将来の年金額に関わる重要なテーマとなっています。

6月は年金改定通知書や振込通知書など、お金に関する書類が届きやすい時期でもあります。受給中の年金額や利用できる制度を一度確認し、申請漏れがないか早めにチェックしてみてください。

※当記事は再編集記事です。

参考資料

・日本年金機構「初めて老齢年金を請求するとき」年金請求書(国民年金・厚生年金保険 老齢給付)様式第101号

・日本年金機構「か行 加給年金額」

・日本年金機構「加給年金額と振替加算」

・厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」

・日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」

・日本年金機構「令和7年4月分からの年金額等について」

・厚生労働省「Q&A~高年齢雇用継続給付~」

・厚生労働省「令和7年4月1日から高年齢雇用継続給付の支給率を変更します」

・日本年金機構「年金と雇用保険の高年齢雇用継続給付との調整」

・厚生労働省「再就職手当のご案内」

・厚生労働省「離職されたみなさまへ<高年齢求職者給付金のご案内>」

・国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」

・厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」

・厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」

・政府広報オンライン「パート・アルバイトの皆さんへ 社会保険の加入対象により手厚い保障が受けられます。」

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