【米国市況】S&P500は連日で最高値更新、中東巡る報道意識-原油上昇

(ブルームバーグ): 16日の米株式市場では、S&P500種株価指数が4日続伸。中東紛争を巡る相次ぐ報道を消化する展開となった。ペルシャ湾岸のアラブ諸国および欧州の一部指導者が、米国とイランの和平合意の成立には約6カ月を要するとの認識を示したと報じられたが、市場では特に大きく材料視されなかった。

株式終値前営業日比変化率
S&P500種株価指数7041.2818.330.26%
ダウ工業株30種平均48578.72115.000.24%
ナスダック総合指数24102.7086.680.36%

  S&P500種は小幅高となり、過去最高値を更新。前日には初めて7000の大台を上回って引けていた。トランプ米大統領は、イランとの合意見通しは「非常に良好」だと述べた。イランがこれまで抵抗してきた核兵器開発の放棄や核物質引き渡しなどの条件に合意したとの認識も示した。ただイランは、こうした譲歩を公には確認していない。

  トランプ氏はイスラエルとレバノンが10日間の停戦で合意したとも発表したが、親イラン民兵組織ヒズボラへの言及はなかった。イスラエルのネタニヤフ首相はビデオメッセージで、停戦に合意したことを確認した。これを受け、戦闘が広範な地域紛争へと広がり、ホルムズ海峡を通る原油輸送が脅かされるとの懸念が和らいだ。

ナスダック100、2017年以来の長期上昇局面 | ナスダック100は12営業日続伸

  ナスダック100指数は0.5%上昇し、最高値を更新。この日は台湾積体電路製造(TSMC)の売上高見通し引き上げで人工知能(AI)向け半導体需要の底堅さが示されたことを受け、テクノロジー株が大きく上昇した。

  BMOのイアン・リンジェン氏は「湾岸地域の戦争を巡っては、ニュース疲れの傾向が改めて浮き彫りになっている」と指摘。「こうしたもみ合いのパターンは、地政学に関する新たなニュースの影響力が弱まりつつあることを示唆している」と述べた。

  ワシントンで開かれている国際通貨基金(IMF)と世界銀行の会合で、当局者らは、戦争による経済的損失を市場が過小評価していると警告している。

  RBCブルーベイ・アセット・マネジメントの市場戦略責任者、マイケル・ベル氏は「投資家はあらゆる押し目で買うという習慣が身についてしまっている」と指摘。「見通しはホルムズ海峡が近く再開するのか、しないのかのどちらかだ。株式市場はすでに再開を織り込んでいるため、上昇余地は限定的かもしれない」と述べた。

  大型テクノロジー銘柄で構成するマグニフィセント・セブンの中では、マイクロソフトが2%高とアウトパフォーム。一方でテスラは下落。ピックアップトラック「サイバートラック」の販売がスペースXなどイーロン・マスク氏の他企業によって下支えされているとの報道に反応した。

  UBSグローバル・ウェルス・マネジメントのクラウディア・パンセリ氏は、ブルームバーグテレビジョンで、人工知能(AI)関連株への投資について、米国と中国に重点を置きつつ、2年前よりも「選別的」になっていると述べた。また「社債を発行する企業よりも、手元資金を活用して投資を続けている企業を選好している」と語った。

  経済指標では、4月11日終了週の新規失業保険申請件数が予想以上に減少し、米経済の底堅さに対する投資家の信頼感を強めた。

国債

  米国債は長期債を中心に下落(利回り上昇)。朝方は堅調に推移していたが、原油が上げを拡大する中で下落に転じた。

国債直近値前営業日比(bp)変化率  
米30年債利回り4.93%3.60.73%
米10年債利回り4.31%3.00.70%
米2年債利回り3.78%1.60.44%
米東部時間16時49分

  ポールソン元米財務長官は、31兆ドル(約4900兆円)規模の米国債市場における需要崩壊を回避するため、当局にバックアップ計画を準備するよう求めた。そうした事態は「甚大な」影響をもたらすと警告した。

為替

  外国為替市場では、ドルが9営業日ぶりに上昇。来週期限を迎える米国とイランの停戦延長に向けた交渉努力が続く中での動きとなった。

為替直近値前営業日比変化率  
ブルームバーグ・ドル指数1193.541.150.10%
ドル/円¥159.17¥0.170.11%
ユーロ/ドル$1.1783-$0.0016-0.14%
米東部時間16時49分

  ブルームバーグ・ドル・スポット指数は、アジア時間には下げていたが、米国時間は原油価格と米国債利回りが上昇する中で堅調に推移した。

  円は対ドルで小幅安。米国時間は1ドル=159円台前半で推移した。

原油

  原油相場は上昇。米国とイランの停戦延長の可能性を示唆する兆候が意識される一方、ホルムズ海峡の事実上封鎖で引き続き供給が妨げられている。

  米国とイランが和平交渉の時間を確保するため、2週間の停戦の延長を検討しているとされる中、トランプ米大統領はイランとの合意見通しは「非常に良好」だと述べた。

  一方、ペルシャ湾岸のアラブ諸国および欧州の一部指導者は、米国とイランの和平合意の成立には約6カ月を要するとの認識を示している。

  米国とイスラエルによるイラン攻撃開始から約7週間が経とうとする中、ペルシャ湾と世界市場を結ぶホルムズ海峡では、船舶の動きがほぼまひした状態が続いている。米国はイランの船舶の通行を遮断するための海上封鎖を行い、イランも大半の他国船舶の通航を妨げている。

  イラン統合軍司令部の司令官は、米国の封鎖が長期化すれば、ペルシャ湾、オマーン湾、紅海において「いかなる輸出入も認めない」と警告した。ヘグセス米国防長官は、トランプ大統領が命令を下せば米軍はいつでも戦闘を再開する準備ができていると述べ、イラン指導部に対応を促した。

  原油は一時上げ幅を縮小する場面もあった。イスラエルとレバノンが10日間の停戦に合意したとするトランプ氏のSNS投稿に反応した。同氏は両国の停戦がニューヨーク時間午後5時に始まると説明した。レバノン南部では親イラン民兵組織ヒズボラとイスラエルが戦闘を繰り広げており、米・イラン間の2週間の停戦が頓挫する恐れがあった。

ホルムズ海峡を通過する商船の数

  バークレイズのアナリスト、リディア・レインフォース氏は、ブルームバーグテレビジョンのインタビューで「現物市場は実際にははるかに高い価格を求めている。日量1000万バレル以上の供給が失われており、これは非常に大きな規模だ」と強調した。

  ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物5月限は、前日比3.40ドル(3.7%)高の1バレル=94.69ドルで取引を終了。北海ブレント先物6月限は4.46ドル(4.7%)高の99.39ドルで引けた。

金   

  金スポット相場は上げを消す展開。ホルムズ海峡の事実上封鎖は続いているが、米国とイランの停戦合意に向けた進展が意識された。

  イランが計画するホルムズ海峡通航料はイランの銀行を通じて支払われると、準国営のイラン学生通信(ISNA)が報じた。これを受けて、中東情勢への不透明感は一段と強まった。この日は米国債利回りが上昇したことも金を圧迫した。金利上昇は利回りを生まない金にとってマイナスとなる。

金価格、対イラン戦争開始以降に9%下落 | 市場は停戦協議巡る進展を見極め

  ACGメタルズのアルテム・ボリネッツ会長兼最高経営責任者(CEO)は、トランプ大統領が在任する限り、金は市場のボラティリティーに支えられると、ブルームバーグテレビジョンで指摘。最近の地政学情勢は、各国・地域の中央銀行が米ドルからの分散を進める中で、金の購入を促す可能性があるとも述べた。

  スポット価格はニューヨーク時間午後2時46分現在、前日比1.31ドル(0.1%未満)安の1オンス=4789.73ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物6月限は、同15.30ドル(0.3%)安の4808.30ドルで引けた。

原題:Stocks Eke Out a Record as Mideast Tensions Linger: Markets Wrap(抜粋)

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