【ユニクロ株】コロナショックから株価3倍超え。「単純な割高ではない」と元機関投資家が決算から読み解く
投資家として見るべき3つの視点とマクロリスク

【ユニクロ株】コロナショックから株価3倍超え。「単純な割高ではない」と元機関投資家が決算から読み解く
アパレル業界において国内ダントツの規模を誇り、いまや世界的なブランドとなったファーストリテイリング(ユニクロ)。
株式市場では日経平均株価を牽引する「値がさ株」として知られ、株価はコロナ禍の安値から3倍以上に急騰しています。
しかし、すでに時価総額が巨大に膨れ上がり、一部の投資家からは「これ以上の上昇余地はあるのか」「PER(株価収益率)が高すぎて割高ではないか」という警戒の声も聞かれます。
なぜ、これほどまでに株価が上昇し続け、高い期待を集めているのでしょうか。この理由について、元機関投資家の泉田良輔氏がYouTubeチャンネル「イズミダイズム」にて同社の最新決算を読み解き、株価の動きと会社からのメッセージをプロの視点で解説します。
この記事のポイント
・コロナ禍から株価は3倍超に上昇し、TOPIXを大きく上回るパフォーマンスを記録
・上期は売上・利益ともに2桁成長を達成し、通期の営業利益予想を7,000億円に上方修正
・会社発表の利益予想が市場の予測(コンセンサス)を上回る「ポジティブサプライズ」が発生
・割高に見えるPERの背景には「国を代表する銘柄」としてのプレミアムと海外成長への期待がある
・投資判断には、企業単体の分析だけでなく、地政学リスクなどマクロ的な視点が不可欠
※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
コロナショックから株価3倍超え。TOPIXを圧倒するユニクロの強さ
ファーストリテイリングの株価は、ここ数年で驚異的な上昇を見せています。インタビュワーから日本を代表する株価指数である「TOPIX」と比較したチャートを提示されると、泉田氏はその圧倒的なパフォーマンスに注目しました。

ファーストリテイリングの株価推移
コロナ禍で一時2万円台まで落ち込んだ株価は、現在では7万円を超える水準にまで達しており、その上昇幅は3倍を超えています。TOPIXが横ばいのように見えてしまうほど、ファーストリテイリングの株価は力強く右肩上がりを続けているのです。
泉田氏は、2017年頃には株価がまだ1万円台だったことを振り返り、消費者としての視点と投資家としての視点の違いをユーモアを交えて語ります。
「ダウンジャケットを買うんじゃなくて、ユニクロ株を買っといた方が700万円になってるからね」
株式投資において、ファーストリテイリングは100株単位で購入するためまとまった資金が必要な「値がさ株」の代表格です。
日経平均株価に与える影響(ウェイト)も非常に大きいため、個人のみならず世界中の機関投資家から常に熱い視線を注がれる存在となっています。
驚異の「増収増益」を叩き出した上期決算と通期予想の上方修正
株価上昇の裏付けとなるのが、同社の圧倒的な稼ぐ力です。2026年8月期の上期(第2四半期)決算では、その強さが数字として如実に表れました。

上期業績ハイライトと通期予想の修正
上期の売上収益は2兆552億円(前年同期比+14.8%)、本業の儲けを示す営業利益は4,006億円(同+31.7%)と、見事な2桁成長を記録しました。
ここで注目すべきは、売上の伸び(15%弱)に対して、利益の伸び(30%超)が圧倒的に大きいという点です。泉田氏も、この利益率の向上を「すごく健全な事業体質」と高く評価しています。
さらに、この好調な上期業績と足元の販売状況を踏まえ、会社側は通期の業績予想を上方修正しました。修正後の通期予想は、売上収益が3兆9,000億円(前期比+14.7%)、営業利益が7,000億円(同+24.1%)に引き上げられています。
泉田氏は、この利益水準の桁違いな規模感について、驚きをもってこう語ります。
「アパレルで7000億稼ぐんだよ」
日本の枠を超え、世界的なアパレル企業へと変貌を遂げたファーストリテイリングの稼ぐ力は、もはや想像を超える領域に達していると言えます。
なぜ株価は上昇したのか?「ポジティブサプライズ」の正体
決算発表後、ファーストリテイリングの株価はさらに上昇基調を強めました。
すでに好業績が期待されていた中で、なぜ市場はこれほど素直に好感したのでしょうか。その理由を解き明かす鍵が「コンセンサス」との関係です。

会社予想とコンセンサスの乖離(ポジティブサプライズ)
株式市場では、企業の決算が発表される前に、証券会社のアナリストたちが業績を予測し、その平均値である「コンセンサス」が形成されます。
株価はあらかじめこのコンセンサスを織り込んで動くため、企業が単に「増益」を発表しただけでは株価は上がりません。市場の期待値(コンセンサス)を上回るかどうかが重要なのです。
今回の決算において、会社側が発表した通期の税引前利益予想は7,400億円でした。これに対し、事前のコンセンサスは7,200億円にとどまっていました。つまり、会社側が市場の予測よりも強気な数字を出してきたことになります。
泉田氏は、この状況が株価に与える影響について次のように解説します。
「これは『ポジティブサプライズ』ってやつなんですよね」
市場の期待を上回る良い知らせ(ポジティブサプライズ)が出たことで、投資家の買いが集まりました。
さらに泉田氏は、コンセンサス自体が4週間前の約7,065億円から直近の約7,226億円へと後追いで上昇している点にも着目し、会社の計画通りに業績が推移すれば、株価にはまだ上昇の余地があるとの見方を示しています。
現在のPERは割高か?プロが考える「プレミアム」の理由
一方で、株価が上昇し続ける中で投資家から投げかけられるのが「現在の株価は割高ではないのか」という疑問です。株価の割安・割高を測る代表的な指標にPER(株価収益率)がありますが、ファーストリテイリングのPERは一般的な日本企業と比べて高い水準にあります。
利益成長率を考慮した指標(PEGレシオ)などを用いても割高に見えるという意見に対し、泉田氏は機関投資家ならではの視点で「単純に割高とは言えない理由」を紐解きます。
第一の理由は、同社が「国を代表する銘柄」であるという点です。海外の投資家が日本株に投資しようと考えた際、真っ先に資金が向かうのがファーストリテイリングのような知名度と流動性の高い企業です。
「日本株を買うならどれって言った時に1番買われるので、PERは高くなりがち」
このように、市場全体から資金が集まりやすい銘柄には「プレミアム(上乗せ評価)」がつきやすく、結果としてPERが高く維持される傾向があります。

国内・海外ユニクロの売上収益比較
第二の理由は、海外市場での圧倒的な成長余地です。上期の実績を見ると、国内ユニクロの売上収益5,817億円に対し、海外ユニクロは1兆2,413億円とすでに倍以上の規模に達しています。
売上の成長率も国内が+7.4%であるのに対し、海外は+22.4%と力強い伸びを示しています。
中国市場はもちろんのこと、北米や欧州といった巨大市場でどれだけ店舗を拡大し、ブランドを浸透させられるか。泉田氏は、この将来への期待値が株価評価の分水嶺になると指摘します。
「海外での成長余地をどこまで織り込むかなんですよね」
投資家が「まだまだ世界で成長できる」と信じる限り、高いPERは正当化され続けるというわけです。
投資家として見るべき3つの視点とマクロリスク
ファーストリテイリングが日本企業から真のグローバル企業へと変貌を遂げたことで、投資家が分析すべき対象も大きく広がりました。
株式投資の分析には、大きく分けて3つの視点があります。
1つ目は、その企業自体の業績や戦略を見る「ミクロ(ボトムアップ)」の視点。2つ目は、アパレル業界全体の動向を見る「セミマクロ」の視点。そして3つ目が、世界経済や為替、地政学的なリスクを見る「マクロ」の視点です。
世界中で事業を展開し、素材の調達から製造、販売までをグローバルに行う同社にとって、各国の経済状況や為替の変動、そして地政学的な問題によるサプライチェーンの分断リスクは、業績に直結する重大な要素となります。
泉田氏は、現在のファーストリテイリングに投資する上での心構えを次のように総括しています。
「もはやこの会社分析するのは『ボトムアップ』っていう会社だけの分析じゃなくて、マクロの分析もしないといけない会社になっちゃった」
単に「ユニクロの服が売れているか」という身近な視点だけでなく、世界情勢という大きな視点を持たなければ、同社の株価の行方を正確に見通すことはできません。それほどまでに、ファーストリテイリングは巨大で影響力のある企業へと成長したのです。
まとめ
ファーストリテイリングの最新決算からは、圧倒的な稼ぐ力と、世界市場でさらなる成長を目指す力強い姿勢が読み取れました。株価の上昇や高いPERの背景には、市場のコンセンサスを上回る好業績と、グローバル企業としてのプレミアムが存在しています。
一方で、投資判断においては、企業単体の業績だけでなく、世界情勢や為替といったマクロ的なリスクにも目を配る必要があります。
泉田氏の解説は、私たちが普段利用している身近な企業が、株式市場においてどのようなメカニズムで評価されているのかを学ぶ絶好の教材と言えるでしょう。
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。
参考資料
・ファーストリテイリング「2026年8月期 第2四半期決算短信」(2026年4月9日)
・ファーストリテイリング「2026年8月期 上期業績および通期業績予想 説明会資料」(2026年4月9日)
・Youtubeチャンネル「イズミダイズム」
※リンクは記事作成時点のものです。
関連記事
【動画あり】【ユニクロ株】コロナショックから株価3倍超え。「単純な割高ではない」と元機関投資家が決算から読み解く
【富士通】株価急落の裏で起きた利益倍増の謎。AIを逆手にとる「SIerの逆襲」と投資の勝機を元機関投資家が解説
ヤマハ発動機の強気すぎる計画。”巨額R&D”の謎を元機関投資家が分析