オリエンタルランドとサンリオが株価低迷、「いつか上がる」は報われるのか

増収も減益予想のオリエンタルランド, ガバナンス問題で決算発表延期のサンリオ, 両社に共通する問題は「成熟化」, その「信じる」は「執着」という心のワナではないか?

オリエンタルランドとサンリオが株価低迷、「いつか上がる」は報われるのか

2026年5月現在、オリエンタルランド(4661)の株価は2,223円、サンリオ(8136)は909円で推移しています。どちらも高値から大幅に下落した水準です。

増収も減益予想のオリエンタルランド, ガバナンス問題で決算発表延期のサンリオ, 両社に共通する問題は「成熟化」, その「信じる」は「執着」という心のワナではないか?

オリエンタルランドは2024年につけた高値5,700円台から約60%下落し、明確な下降トレンドが続いています。一方のサンリオも、2025年8月の高値1,700円台から実に47%もの下落となっており、どちらも「いよいよ反転か?」と期待させるような動きが何度かあったものの、いまだ明確な上昇トレンドへの転換は見えていません。

筆者の周りでは、両社の株を「いつか上がる」と信じてホールドし続けている投資家がたくさんいます。本当に報われるのでしょうか? 冷静に分析したいと思います。

増収も減益予想のオリエンタルランド

まずはオリエンタルランドから。

4月28日に発表された2026年3月期決算は、投資家にとって非常に厳しい内容でした。売上高は7,045億円(前年比+3.7%)と増収を確保したものの、営業利益は1,684億円(同-2.1%)の減益。さらに来期2027年3月期の業績予想では、営業利益1,607億円(-4.5%)と減益が続く見通しです。最も深刻なのは、投資負担の重さです。ファンタジースプリングス関連の償却負担やスペース・マウンテンのリニューアル費用が経営を圧迫しているのです。来期の設備投資額も大幅に増加する計画で、利益の重荷となっています。

さらに気になるのは、入園者数の頭打ち感です。2026年3月期の入園者数は2,753万人、2025年3月期は2,756万人とほぼ横ばい。決算説明会の質疑応答では、入園者数について「2,000万人後半が天井ではないか」との質問に対し、いろいろな施策は準備しており、コンテンツを拡充することで入園者数を増やしていく方針に変わりはないと答えているものの、明確な否定はしておらずなんだかモヤモヤします。もしかしたら成長の限界が見えてきたのかもしれません。

27年度が減益予想となっている理由は、東京ディズニーシー25周年のイベント関連費用など一時的なコスト増と、人件費や建材費など外部環境によって増加するコスト、中東情勢悪化の影響による原油高などが挙げられています。24年3月期には25.3%だった営業利益率は、今期22.2%まで低下する見通しで、今後も引き続きコスト高は続くと考えると改善の期待が持ちづらい状況です。

ガバナンス問題で決算発表延期のサンリオ

一方のサンリオは、5月13日に予定していた2026年3月期決算の発表を延期すると発表しました。理由は、常務取締役が子会社から不適切な報酬を受け取っていた疑いがあるためです。

報酬額は複数年にわたり「数億円に及ぶ」とされており、特別調査委員会を設置して調査を行うことになりました。決算発表は期末後50日を超える見込みで、延期後の発表日も未定です。

「みんななかよし」の理念を掲げ、「かわいい」をとことん追求する姿勢に共感する投資家も多かったはずで、この件は、ある意味投資家への裏切りにも感じます。

2月12日に26年3月期第3四半期決算を発表するタイミングで株式分割を発表。好決算も相まって株価は急騰し、いよいよ本格的な上昇トレンドへ転換か?とホルダーのテンションは一瞬上がったものの、その後伸び悩み、株式分割をしたあとも低迷。そこに今回のニュースが飛び込んできたため、最悪の状況となっています。株価は直近の安値を更新し、SNS上では「ヤバそう」「空売り決まったか」といった悲観的なコメントも散見されました。

両社に共通する問題は「成熟化」

オリエンタルランドは東京ディズニーリゾートという唯一無二のコンテンツを持ちながらも、入園者数の頭打ちという物理的な限界に直面しています。設備投資で魅力を高めても、それが必ずしも利益の増加につながらない構造的な問題があります。

サンリオは、キティちゃん50周年などの一過性のイベント効果に依存する体質から抜け出せていません。しかも今回のガバナンス問題は、企業の信頼性そのものを揺るがしかねない深刻な事態です。個人的には、ニッポンのカワイイ文化60年史サンリオ展には2度訪れて、サンリオグッズを買い漁るほどのサンリオファンですが、さすがに今の状況だと投資するのは躊躇してしまいます。

両社とも、これまでは「いつかは報われる」という期待で個人投資家に支持されてきました。しかし、その期待の前提となる持続的な成長に疑問符がついているのです。

その「信じる」は「執着」という心のワナではないか?

オリエンタルランドもサンリオも、どちらもわたしたちにとっては親しみがあり、なおかつ「ワクワク」を与えてくれる稀有な銘柄です。ディズニーランドや、サンリオキャラクターが好きという気持ちで、投資デビュー株として選ばれることも多いように感じます。どちらも以前は、株式市場の超優等生銘柄だったため、タイミングよく買った人は、十分な利益となったかもしれません。しかし、そのままずっと持ち続けていたら、もしくは、下がったところでバーゲンセールと思って買ったならば、報われないまま塩漬けになっている人が多いはず。こうなってくるとますます売りづらくなるのが人情です。「信じて持ち続ける」と言えば信念をもった投資に聞こえますが、もしかしたらそれは「執着」ではないか、とも思うのです。

もちろん、両社とも完全に終わったとは思いません。オリエンタルランドは2028年にクルーズの就航や45周年イベントなど、新たな成長ドライバーを準備しています。日本のテーマパーク事業において圧倒的な競争優位性を持っていることも事実です。

サンリオは、ハローキティを筆頭とする強力なキャラクターIPを保有しており、特に海外での展開余地はまだまだ大きいと考えられます。いつか再び!との期待はどこかで持っていたいとは思います。

ただし、やはり、今の両社の状況を考えると、しばらく時間はかかりそうです。現在、どちらも株価は底値圏で推移していますが、「安いから買い」という発想は危険です。なぜ安いのか、今後の成長ドライバーは何か、リスクはどこにあるのかを冷静に分析することが重要です。

個人投資家の皆さんには、片目をつぶって「信じて待つ」ではなく、気持ちをフラットにして考えてみてほしいのです。その上で持ち続ける選択をするなら、それはもうあっぱれです! それほどの情熱を持ってホールドするのも株式投資の醍醐味なのかもしれません。