「日本のバフェット」90歳の大富豪・藤本さんにギモンを直撃「運用資産30億円の行方、ぶっちゃけどうするの?」
私はこの4月にちょうど90歳の誕生日を迎えました。卒寿という節目を迎え、世間一般であれば、これまでの蓄えを使いながら穏やかに余生を過ごすのが当たり前かもしれません。しかし、私には「隠居」という考えはありません。
現在の私の運用資産はおよそ30億円。あと10年でこれを数倍増やし、100歳まで生きて、資産100億円超えを達成する――これが今の私の目標です。
こう話すのは個人投資家の藤本茂さんだ。本業の傍ら19歳で株式投資を始め、投資歴は実に71年に及ぶ。現在も現役のデイトレーダーとして日々活動する。事業内容を熟知する企業に絞って株を売買する手法は、米国の著名投資家でバークシャー・ハサウェイ前CEOのウォーレン・バフェット氏(95歳)とも共通しており、藤本さんは「日本のバフェット」の異名でも知られる。
'23年2月に本誌が取材した際、運用資産は16億円と語っていた藤本さん。わずか3年で資産を倍近くにした計算になる。投資の出口戦略を聞く前に、まずは日本経済の先行きがどう見えているのかを聞いた。
投資の勝敗を分けるのは「復習&予習」だけ

個人投資家の藤本茂さん/編集部撮影
私は日本企業の底力を信じています。失われた30年などと言われることもありますが、株式投資の現場から企業を見続けてきた私には、成長のタネは至るところにあるのがわかります。だからこそ、私は自らの資産をさらに増やし続けたいし、死ぬ間際まで現役のデイトレーダーとして相場と対峙していくつもりです。
私の日常は、株式相場が動く時間を軸に、寸分の狂いもなく回っています。市場が開いている間、そこは私にとっての「戦場」です。
もちろん、毎日勝ち続けるわけではありません。負けるときだってあります。米国とイスラエルのイラン攻撃のときには資産を大きく減らしました。一時的に数億円は減っていたはずです。ただ、その後、リバウンド相場で取り返し、今は回復しています。

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相場の調子が悪くても、毎日相場を読んで、株価が安いと思うタイミングで購入し、利益が確保できる水準で売却するだけ。大切なのは、個々の勝ち負けに一喜一憂するのではなく、プラスを積み上げていくトータルの視点です。
投資の勝敗を分けるのは「復習」と「予習」です。
毎日、その日のうちに自分の行動を振り返ります。購入や売却のタイミングは適正だったのか、なぜそのときに、その判断をしたのか。自分自身の心の動きさえも客観的に分析し、徹底的に検証します。
「情報収集は今でも新聞です」
情報収集においては、私は今でも「新聞」を重宝しています。隅々まで紙面を読み込み、スクラップしておいて、有望な業種や伸びゆく分野の兆しを察知する。基本的には割安な株を買って、数時間から数日の間に売却して利益を確定させるスタイルですが、それだけではありません。
銀行や商社、半導体といった長期的に成長が見込めるセクターには、どっしりと構えて中長期で保有する戦略も併用しています。

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特に最近、値動きを注意深く見ているのが、東証グロース上場の坪田ラボ(4890)です。同社は近視や老眼の抑止など、現代社会のニーズを汲み取った製品を研究・開発しています。こうした将来的な可能性を秘めた企業を、今の相場の中でどう位置づけるか、試行錯誤は続きます。
常に新しい知見を取り入れて、自分の感覚をアップデートし続けなくては、この世界では瞬時に取り残されてしまいます。トレード手法や銘柄選定の目は、今でも成長しているように感じています。
――そうして巨万の富を築いた藤本さんだが、人生の最後には、その資産をどうしようと考えているのか。
正直に言えば、肉体の衰えを感じないわけではありません。近頃は最近上場したような、新しい銘柄の名前を覚えるのに苦労することもあります。2年前にぎっくり腰を患ってからは、杖や歩行器が手放せなくなりました。妻からは腰の治療のために病院に行くよう言われますが、治療する時間があったら、相場について勉強して考える時間に充てたいですね。
私の人生の「出口戦略」とは…
それでも、相場に向き合っているほうが、健康によいと確信しています。株の取引は猛烈に頭を使います。時代の風を読み、情報の真贋を見極め、瞬時に決断を下す。この一連の知的作業は、脳にとって最高の刺激だと思います。私にとってトレードとは、資産形成の手段ではなく、健康や生きがいを維持するための手段なのです。
だから、生活もいたって質素ですよ。高級車もブランド品も、高級な食事も旅行も、世俗的な贅沢には一切の興味がありません。腰を悪くして以降は、外出もままならないですからね。
私にとって贅沢とは、馴染みの魚屋から取り寄せた新鮮な魚で妻が作ってくれる昼食と、一日の終わりに食べるフルーツですね。このシンプルで充実した日々こそが、私の元気の源です。

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よく人からは、「死んだ後に資産をどうするのか」、「出口戦略はどう考えているのか」と尋ねられます。しかし、このように死ぬまで投資をすることしか考えていません。幸い、私の家族は円満で、相続争いも起きなそうなので、相続対策は特段していません。
子供は私の株式トレードにあまり興味を持っていませんが、孫は非常に強い興味を示しています。なので、私が何十年もかけて培ってきた投資の技術を、孫に伝えたいと思っています。どうやって企業の本質を見極めるのか。どのように日々の値動きと向き合うのか。それを伝承することが、私の人生の出口戦略なのかもしれません。
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「週刊現代」2026年5月11日号より