愛子さま、佳子さま、彬子さまの未来は?「皇室典範」の改正についていま知っておきたいこと

愛子さま、佳子さま、彬子さまの未来は?「皇室典範」の改正についていま知っておきたいこと
いま国会では「皇室典範」(こうしつてんぱん)改正に向けての議論が進んでいます。愛子さま、佳子さま、彬子さまなど未婚の女性皇族の将来を左右する大切な議論です。
特別国会の最終日は2026年7月17日(金)。ジャーナリストの吉原康和さんは、この会期中に衆参両院が意見を集約し、結論を目指すだろうと予測します。
「皇室典範」の改正案はどのような内容になるのでしょう。改正案が通ると、皇室はどのように変わるのでしょうか。国会議論を見守る私たちは、どこに注目したらよいのでしょう。吉原さんに伺いました。
1.そもそも「皇室典範」とは? なぜいま「改正」するの?

天皇誕生日の一般参賀に集まった人たちに手を振る天皇、皇后両陛下の長女愛子さま、秋篠宮家の次女佳子さま、長男悠仁さま=2026年2月23日午前11時3分、皇居 写真提供=朝日新聞社
7月17日に向けて加速する協議
皇族数確保に関する衆参両院の与野党協議が大詰めを迎えています。
衆参両院の正副議長と政府が今国会の会期末(2026年7月17日)までに成立を目指す皇室典範の改正案は、①女性皇族が結婚後も皇族の身分を保持する ②旧宮家の男系男子を養子として皇室に迎える の2案が軸となります。
「皇室典範」とはどんな法律?
ところで、そもそも「皇室典範」とは、どのような法律なのでしょう。そして、なぜ、いま、改正が必要なのでしょうか。
皇室典範とは、皇位の継承順位や資格、皇族の身分など、皇室に関する制度や規律を定めた法律です。
旧「皇室典範」は1889(明治22)年、大日本帝国憲法(明治憲法)と同時に制定され、憲法と同格の最高法規とされましたが、第二次世界大戦後に廃止されました。これに代わり、1947年、日本国憲法と同時に一般の法律として施行されたのが新「皇室典範」です。皇位継承については、旧「皇室典範」を継承し、第一条で「皇位は、皇統に属す男系の男子が、これを継承する」と規定しています。
しかし、現在の皇位継承資格者は、秋篠宮さまと長男の悠仁さま、上皇陛下の弟の常陸宮さまの御三方に限られ、天皇陛下の次の世代の男性皇族は悠仁さましかいらっしゃいません。未婚の女性皇族が結婚で皇室を離れると、公務の担い手が激減する課題にも直面しています。
改正検討の始まりは20年以上前
皇室典範の改正を巡るこれまでの動きを見てみましょう。
2005年11月、小泉内閣の有識者会議が、女性・女系天皇を認めるよう求める報告書をまとめました。小泉首相は、皇室典範改正案を国会に提出すると表明しましたが、2006年9月、秋篠宮ご夫妻の長男、悠仁さまがお生まれになると、法案提出は見送られました。
2017年6月、上皇陛下(当時は天皇陛下)のご退位を実現する退位特例法が成立した際の附帯決議に、「安定的な皇位継承を確保するための諸課題」と「女性宮家の創設等」の検討が盛り込まれました。国会が政府に求めた宿題でした。これを受けて、政府の有識者会議は2021年12月、女性皇族の身分保持と旧宮家の男系男子の養子縁組を中心とする報告書をまとめ、岸田首相が国会に提出しました。
ボールを投げ返された国会は、この報告書をたたき台に2024年5月から検討を始め、附帯決議から9年を経て、ようやく皇室典範改正が現実味を帯びてきたのです。
2.女性皇族が結婚後も皇室に残る。この案が通るとどうなる?

民族衣装を着て「ラオスフェスティバル2026」に臨み、記念写真に納まる天皇、皇后両陛下の長女愛子さま=2026年5月23日午前10時52分、東京都渋谷区の代々木公園 写真提供=朝日新聞社
皇室典範の改正案に向けて検討されている柱のひとつは、女性皇族の結婚後の身分保持案です。
内親王と女王、対象の皇族は5人
改正の対象となりうる未婚の女性皇族は、天皇家の長女愛子さま(24)、秋篠宮家の次女佳子さま(31)、三笠宮家当主の彬子さま(44)、妹の瑶子さま(42)、高円宮家の長女承子(つぐこ)さま(40)の5人です。愛子さまと佳子さまは、天皇陛下の娘や孫に当たる内親王、彬子さま、瑶子さま、承子さまの3方は、歴代の天皇から数えて三世以下に当たる女王です。改正では内親王だけでなく、女王も検討対象です。

第100回学習院ミュージアム講座で、基調講演に臨む三笠宮家の彬子さま=2025年4月27日午後2時30分、東京都豊島区の学習院創立百周年記念会館 写真提供=朝日新聞社

園遊会で、招待客と懇談する三笠宮家の次女瑶子さま=2026年4月17日午後3時10分、東京・元赤坂 写真提供=朝日新聞社
皇室典範12条は、女性皇族が男性皇族以外と結婚した場合、「皇族の身分を離れる」と規定していますが、改正が実現すると、結婚後も皇室に残って公務を担うことが選択肢として可能となります。
女性皇族の身分保持案については、主要政党・会派の大半が賛同していることから、改正案に盛り込まれるのはほぼ確実とみられます。
夫や子を皇族とするのか、分かれる議論
ただ、ご結婚のお相手となる配偶者や子への身分付与を巡り、意見が分かれており、その調整が焦点です。
自民や維新、国民民主などの多くの政党は「皇族にすべきではない」と非皇族案を主張しています。その理由について、自民や維新の与党は、夫や子へ皇族身分を付与すると、母方のみが天皇の血筋を引く「女系天皇」への道を開きかねないとしています。一方、中道改革連合は、皇室に残ることを選んだ女性皇族の夫と子の扱いについては、「当事者の意思を尊重することが大事だ 」と典範改正案の付則に検討条項として盛り込むことを求めています。

法遵守の文化のためのグローバルユースフォーラムに出席し、おことばを述べる高円宮家の承子さま=2026年3月5日午前9時9分、東京都文京区の中央大学 写真提供=朝日新聞社
身分が異なることへのさまざまな是非
配偶者や子の身分が「皇族」か「非皇族」によって、女性皇族の将来も大きく変わると見られます。
これまでの与野党協議の中で、政府の担当者は、配偶者や子が国民のままでも、女性皇族と一緒に御用地に住むことや皇宮警察の警護を受けることなどは可能だという見方を示したことがありました。
しかし、「一つの家庭内に皇族と一般国民が同居することへの不自然さ」に加え、民間人である夫は政党・宗教団体・営利企業などを主宰する自由を有することから、女性皇族の品位や政治的な中立性に重大な支障を及ぼす懸念も指摘されています。
公務の基本は「ご夫妻一体」
皇室活動においては、ご夫妻一体となって公務に臨まれるのが基本です。これまで民間から皇室に嫁いだ女性皇族は、夫である男性皇族と一緒に外国へお出ましになりました。しかし、女性皇族の夫が「非皇族」となった場合には、国際親善の外国訪問に招待されるのは皇族である妻だけとなる事態も予想されます。また、生活費も、妻は皇族費、夫は給与と分かれるなどの実務的な問題もあります。

天皇誕生日の一般参賀で、手を振る秋篠宮家の次女佳子さま=2026年2月23日午前11時3分、皇居 写真提供=朝日新聞社
「皇族も生身の人間」当事者の意向は尊重されるか
もう一つの大切な議論は、ご本人の意向はどこまで尊重されるか、という点です。
女性皇族は、結婚したら皇族の身分を離れるという現行制度の下で人生をお過ごしになってこられました。この点については、有識者会議の報告書でも「十分留意する必要がある」と指摘されていました。
対象となる未婚の女性皇族に対し、宮内庁はすでにご意向を確認したと思われます。2024年11月の記者会見で、秋篠宮さまが「該当する皇族は生身の人間」と述べられたことがきっかけで、当時の西村泰彦・宮内庁長官は定例記者会見で「十分お話を伺う機会がなかったと反省しています」として、対象者の意向把握に努める考えを示していました。と同時に、当事者の意向が制度改正の議論に影響がないように、宮内庁は慎重に対処している模様です。

「新年祝賀の儀」に臨む秋篠宮家の長男悠仁さま=2026年1月1日午前11時4分、皇居・宮殿「松の間」 写真提供=朝日新聞社
2025年6月、当時の額賀福志郎議長ら正副議長は「現在の内親王・女王殿下は、婚姻後に身分を保持するか否か選択できるようにすることで、共通の認識が得られた」と発表しています。皇室典範の改正案の中で、女性皇族の意向を反映できる方向で最終調整される見通しです。
3.男系男子を養子に迎える。この案が決まるとどうなる?
想定される「男系男子」とは
改正案のもう一つの柱は、旧宮家の男系男子を養子として皇室に迎える養子案です。皇族として活動していた旧11宮家51名の方々は、終戦後の1947年、皇籍を離脱しました。

1947年10月14日に皇籍離脱した11宮家の元皇族一同は、赤坂離宮で貞明皇后にお別れのあいさつ後、記念写真を撮影した 写真提供=朝日新聞社
養子の対象者とはどのような方々なのか
養子の対象者について、2021年5月、政府の有識者会議のヒアリングに応じた国士舘大学特任教授で日本大学名誉教授の百地 章(ももち あきら)氏は、「久邇(くに)、賀陽(かや)、東久邇、竹田の4家系に20代以下の未婚の男系男子が少なくとも10名はおられる」と説明しました。
自民党と維新は2025年10月の連立政権合意書で、養子案を「第一優先」と位置付けました。養子として受け入れた皇族には皇位継承権を付与しないが、悠仁さまの次の世代でも、男系男子の継承資格者を確保するため、養子縁組後に誕生した男子に皇位継承権を付与することを想定しています。
一方、意見が分かれていた中道改革連合が事実上、養子案を容認する見解を示したことで、主要政党の多くが賛成・容認する立場となり、こちらの案も皇室典範の改正案に盛り込まれる見通しとなりました。
現実味のない養子案と三つの課題
しかし、養子案には、これまでの与野党協議の中でも、さまざまな問題点が指摘されていました。

東日本大震災・原子力災害伝承館に到着し、出迎えの人たちに手を振る天皇、皇后両陛下、長女愛子さま=2026年4月6日午後3時53分、福島県双葉町 写真提供=朝日新聞社
一番気になる点は、旧宮家の子孫の方は、天皇家との共通の祖先を600年前の室町時代に遡らなければならないほど遠縁であることや、戦後長く一般国民として生活してきたことなどを考えると、国民の理解が得られるのか、という素朴な疑問です。
二番目は、皇族になりたいと考える対象者が果たしてどれだけいるのか、ということでしょうか。
政府は、対象者の存在は認めたものの、調査の実施や具体的な氏名などは明らかにしていません。つまり、「制度はできても希望者はいない」という懸念も皆無ではありません。
三番目は、旧宮家の人々のみを皇族にするのは、「門地(もんち)による差別を禁止」(憲法14条)に抵触する恐れがあるとの意見もあります。「門地」とは家柄や血筋を指し、生まれによる特権階級を認めない意味で使われています。

新年一般参賀で、訪れた人たちに手を振る上皇陛下と上皇后陛下美智子さま=2026年1月2日午前11時4分、皇居 写真提供=朝日新聞社
見えてこない養子を受け入れる側のご意思
また、養子を受け入れる側となる皇族の候補は、天皇家や秋篠宮家を除く、常陸宮家や三笠宮家、高円宮家、三笠宮寛仁親王妃家など、宮家を継ぐ男性皇族が不在である宮家が検討されていますが、受け入れるご意思があるかどうかの確認などについても、具体的な話はまだ何も見えていません。
4.同じ問題に直面した欧州各国が決めたこと────国民投票で「絶対的長子相続制度」を導入したデンマーク

左からジョセフィーヌ王女、フレデリック10世国王、メアリー王妃、王位継承順位第3位のヴィンセント王子。アマリエンボー宮殿のバルコニーにて、2026年5月26日、デンマーク・コペンハーゲン Mark Cuthbert / Getty Images
欧州の王室で進む相続制の改正
一方、欧州の王室では、性別を問わず、第一子が王位を継承するという「絶対的長子相続制」を採用する国が大半となっています。
2009年、国民投票で絶対的長子相続制を導入したデンマークもその一つです。
73年も前に約8割の賛成で女性の継承が可能に
デンマークは、欧州の中でも1000年以上の歴史を誇る最も古い王国の一つで、王位継承権は男系男子に限られていました。しかし、第二次世界大戦後の1953年に憲法と王位継承法を改正し、男子の継承者がいない場合に限り、女性の継承を認めることになりました。このとき、法改正のための国民投票が行われ、賛成票が78.7パーセント、反対票が21.2パーセントでした。

アマリエンボー宮殿にてアメリカ、ロシア、イギリスの将校とフレデリック9世(中央左)、イングリッド王妃(中央右)。1970年5月9日、デンマーク・コペンハーゲン Keystone-France / Getty Images
当時の国王フレデリック9世とイングリッド王妃の間には、3人のお子さまがいましたが、いずれも王女でした。法改正前のルールに従えば、男系男子継承の原則に基づき、フレデリック9世の弟のクヌードゥに王位が継承されるはずでしたが、クヌードゥ一家は大戦中、デンマークを占領したナチス・ドイツに傾倒していたことから、国民の評判もよくありませんでした。
そこで、1953年に法改正のための国民投票が行われ、フレデリック9世の長女、マルグレーテが王位継承者となり、72年、父の死去に伴い、デンマーク初の女王となりました。
さらに17年前、圧倒的多数で「長子優先」に改正
それから56年後の2009年の王位継承法の改正で、「男子の継承者がいない場合に限り」女性の継承を認めるという「男子優先」から、男女に関係のない「長子相続制」に変更されました。このときの改正の際も、国民投票が実施され、有権者の圧倒的多数である85パーセントが賛成票を投じて改正が成立しました。
すでに隣国のスウェーデンが1980年に絶対的長子相続制を導入しており、オランダ(83年)、ノルウェー(90年)、ベルギー(91年)が次々に制度改正に踏み切っていたことも追い風になったとみられます。世論に押され、右派の自由党を含む議会が積極的に改正に動いたことも見逃せません。

フレデリック10世の57歳の誕生日に、宮殿前に集まった人々に手を振る国王一家とマルグレーテ前女王。2026年5月26日、デンマーク・コペンハーゲン Martin Sylvest Andersen / Getty Images
2024年1月、デンマークの女王の座に52年君臨してきたマルグレーテ2世が83歳で退位し、長男のフレデリック10世が新国王に即位しました。
欧州各国はこれから女王の時代へ
マルグレーテ2世女王の退位で、世界の王室から女性君主の姿が消えましたが、21世紀後半、欧州は「女王の時代」と言われ、愛子さまと同世代の王女たちはいま、将来に備えての「帝王学」修得に励んでいます。
5.識者はこう見る───お茶の水女子大学客員研究員・鹿内浩胤さん

宮中晩餐(ばん・さん)会に出席した天皇、皇后両陛下の長女愛子さま、秋篠宮家の長男悠仁さま=2026年5月27日、皇居・宮殿「豊明殿」 写真提供=朝日新聞社
ここまで皇室典範改正の課題を見てきましたが、宮内庁書陵部に研究職として32年間勤務していたお茶の水女子大学客員研究員の鹿内浩胤(しかない・ひろたね)さんは、国会での論議が十分でないまま、拙速に進められることに懸念を抱いています。
男女で身分の移動に可不可があるのは歴史的不整合
女性皇族の身分保持案に関し、政府の有識者会議は、徳川家に嫁いだ皇女和宮(親子内親王、仁孝天皇皇女)を例として挙げ、「配偶者と子は皇族にしない」案を提示しています。
この点について、鹿内さんは、「明治以前、皇族は男女問わず、原則として終生皇族、非皇族女性は天皇・皇族と結婚しても終生非皇族、結婚による身分の移動はなかった。すなわち『血の原理』だった」との見解を示しています。
その上で、「明治の旧皇室典範は、それを『家の原理』に転換し、結婚による身分の移動を可能にしました。和宮を例に『本人は皇族のままで配偶者(と子)は皇族にしない』という在り方に戻すなら、非皇族女性が天皇・皇族との結婚により皇族となる旧皇室典範以降の制度も『皇族にしない』と改めないと歴史との整合性が取れない」と指摘し、「一般女性が皇族との結婚によって皇族となる現行制度を維持するのであれば、女性皇族の夫も子も皇族とすべきだ」と述べています。
旧皇室典範以来、禁止されてきた養子縁組
一方、養子縁組は、旧皇室典範に引き続き、新皇室典範(現行)でも禁止されています。養子というのは、迎え入れる親と、生まれた家を離れる子、双方が合意することで成立します。つまり私的な合意=当事者の気持ちや思惑が関与しなければ成り立ちません。鹿内さんはそのことから、「当事者間の私的な合意が基盤となる養子縁組では、皇位継承の世襲の客観性が揺らぎかねません」と指摘しています。
小泉内閣のときの会議では、「旧皇族から養子を迎える案」について検討しました。しかし、「国民が納得しない」「皇室が安定しない」「伝統にも反する」と、あらゆる面で否定され、選択肢から外されました。
それにもかかわらず、その後の菅内閣や岸田内閣の会議で、この養子案が突然再び浮上しました。過去の指摘を乗り越えるような、「それならば納得できる」といった深い理屈や解決策は何も示されていません。
専門家も疑問視する議論の行方
一度公の場で「問題がある」として退けた結論を、きちんとした検証もないまま翻して議論を進めることは、公的な手続きとして一貫性がなく、誠実さを欠いているのではないかと鹿内さんは疑問を投げかけています。
取材・文=吉原康和 編集=内田理惠(婦人画報編集部)
〇選りすぐりの記事を毎週お届け。『婦人画報』メールマガジン(無料)ご登録はこちら
関連記事
中谷美紀さんが巡る、美しき古民家|風が通り抜ける土間のある茅葺きの家
着物研究家・森田空美さんのトータルコーディネート術
市川團子さんインタビュー「役と誠実に向き合い祖父の情熱を継いでいく」