ローソン「下火のゴーストレストラン」拡大する訳

ローソンが運営するゴーストレストランで提供する「カルボナーラ ベーコン」(記者撮影)

都内の自宅でウーバーイーツのアプリを開くと、いつも通うファストフード店や近所の飲食店に混じり、聞きなじみのない「チェーン」が並んでいる。

【写真で見る】ローソン店内で、どうやって調理をするのか?

「スパゲッティの小屋」「炙りチャーシュー炒飯店」「ハンバーグ食堂」「ビーフカリー食堂」――。実はこれらはすべて、コンビニ大手のローソンが運営する「ゴーストレストラン」だ。

ゴーストレストランとは一般に、デリバリー向けに特化した飲食店業態のこと。屋号の実店舗は持たず、調理スペースのみで営業を行うため、出店や運営コストを抑えられる。またウーバーなどのプラットフォーム上の表示やメニューを変えることで、1つの調理区画で中華料理店とイタリアンなど複数業態を同時開業することも可能だ。

コロナ禍で一時広がりを見せていたゴーストレストラン。しかし消費者の目の届かない閉鎖空間に対して衛生環境を懸念する声が高まる中、巣ごもり特需も蒸発。現在は“下火状態”にある。

そんな中、ローソンが足元でゴーストレストラン事業を強化、販売地域や店舗数を広げている。

2025年は拡大のフェーズに

ローソンがゴーストレストラン事業に参入したのはコロナ禍の2021年。以降、小規模での実験を続けていた。

店内のフライヤーを利用して、出来立て商品を提供する(記者撮影)

出店戦略や業態、店舗従業員への教育方法の磨き込みなどを経て、今2026年2月期は本格的な拡大フェーズに入る。期初時点で東名阪中心の300店舗程度だった対応店舗は、4月以降、九州や北海道、中四国とエリアを拡大しており、期末までに全店の1割に相当する1400店にまで増える計画だ。

現在、同社は先述したチャーハンやスパゲッティ業態などのほか、夜間限定でラーメンなどを提供する「夜更けのごはん」など計8ブランドを展開している。

競合と比べ、ローソンの最大の特徴ともいえるのが、「厨房」だ。

ローソンは2011年より新店や既存店改装時に厨房、つまり調理区画の設置を進めており、現在国内店舗の約7割で導入している。導入店舗では店内で炊飯したご飯に、揚げ物総菜や野菜を盛り付けた弁当類、「まちかど厨房」商品を販売している。

現場の負荷を抑えたオペレーションを意識(記者撮影)

ローソンの厨房設置店は非設置店舗や他社店舗でもできるフライヤー使用、レンジ加熱などの「簡易調理」に加えて、盛り付けやトッピングなどの作業も行うことができる。ゴーストレストランはまちかど厨房同様、大手3チェーンでは唯一、店内に調理区画を持つローソンだからこそ可能なサービスだ。

先行導入した店舗では、ゴーストレストランだけで平均1日1万円ほど売り上げているという。全国のローソンの平均日販(1店舗当たり平均日商)が57.4万円であることを考えると、その効果は決して小さくない。町の飲食店が営業を終了してからが販売のピークで、コンビニの客数も落ちる夜間の需要が高い点も魅力の1つだ。

セブンも出来たて商品を強化中

デリバリーなど、新規事業の開発、運営を担うインキュベーションカンパニーのプレジデント、吉田泰治執行役員は、「今後は女性向けやヘルシー系、デザート系など(現状8つの)ブランド数を少なくとも12~13程度には増やしたい。ブランドや商品開発のスピードを上げていく」と話す。

ただ、競争環境は甘くない。同じ出来たてという文脈では、やはりセブンが急速に小型オーブンの設置を進めている。2026年2月までに8000店舗まで拡大し、店頭やデリバリーで焼きたてのメロンパンやピザを販売する。

今後、コンビニ市場における「出来たて商材」、そしてそれらをキーアイテムとするデリバリー領域での競争はますます激しさを増しそうだ。

本記事の詳報版は、東洋経済オンライン有料版記事「パスタやチャーハン、夜限定ラーメンも・・・ローソンが下火状態にあるゴーストレストランを拡大する理由、セブンはメロンパンなど出来たて商品に照準」でご覧いただけます。