ルンバ失速、中国勢が席巻する「ロボット掃除機」

欧州市場No.1のロボット掃除機「ドリーミー」フラッグシップモデルで日本市場攻略を狙う(筆者撮影)
近年、ロボット掃除機市場に変化の兆しが見えている。きっかけはiRobotが率いるルンバの失速と中国メーカーの台頭だ。中国メーカーは、Roborock、ECOVACSの2大勢力を筆頭に、AnkerやNarwal(ナーワル)など、多くのメーカーが日本国内でも展開している。
【写真で見る】11月7日よりグリーンファンディングでのクラウドファンディングが始まる新モデル「Aqua10 Ultra Roller」
そんな中で、世界5位のロボット掃除機メーカーである、Dreame(ドリーミー)が新型のロボット掃除機を発表。メディア向けの製品説明会を開催した。普及率の伸びが鈍化し、飽和気味にも見える国内のロボット掃除機市場においてDreameは存在感を示せるのか。新モデルの詳細をチェックしつつ、ロボット掃除機市場を分析した。

11月7日よりグリーンファンディングでのクラウドファンディングが始まる新モデル「Aqua10 Ultra Roller」(筆者撮影)
ダイソンを超えるデジタルモーターを開発する技術集団
Dreameは2017年に創業した新しい会社で、元々は、精華大学内の航空力学研究組織としてスタートしている。従業員の7割がエンジニアで高い技術力を保有し、24年にはダイソンのデジタルモーターを超える20万回転の高速デジタルモーターの開発に世界で初めて成功している。

説明会に登壇したDreame Technology Japanのセールスディレクター濱田明克さん(筆者撮影)
さらに中国国内に年間10万台以上のロボット掃除機の生産ができる、東京ドーム約3.6個分の巨大な自社工場も保有。大手ブランド製品のOEM製造から開始し、18年より、ヨーロッパ、東南アジア市場で自社ブランドの展開を始めている。現在、Dreameは、世界120カ国以上で展開しており、世界シェアはRoborockやiRobotなどに続く、5位に位置する大手メーカーなのだ。

中国の自社工場では自社ブランドに加えて、OEM向けのロボット掃除機を数多く製造しているという(写真:Dreame)
日本市場には23年より参入しており、Amazonや大手家電量販店で販売している。しかし、ブランド認知度やシェアは伸びておらず、新モデルが日本市場でのシェア拡大を担う製品となりそうだ。
新モデルでは最新トレンドであるローラーモップを採用
Dreameのロボット掃除機の特徴は先進の技術を多数搭載することにある。今回発表したロボット掃除機「Aqua10 Ultra Roller」(参考価格24万9800円・11月7日よりクラウドファンディングで販売予定)は、同社のロボット掃除機で初めて、縦回転する筒状のローラーモップを採用するのが特徴。常にモップをきれいな水で洗浄しながら床を水拭きできる。

長さ26cmのローラーモップを新採用。回転して拭き掃除を行う際に常に汚れた水を取り除き、きれいな水で掃除できる仕組み(筆者撮影)
これまで多くのロボット掃除機が採用していた水拭き機能には、モップをただ床に押しつけるだけの簡易タイプと、丸型ブラシが横回転するタイプがある。今回採用した、ローラーモップは縦回転するため、床の汚れを回収したあと、内部のローラーモップ・スクレイパーが汚れた水を絞り取り、再びきれいな水でローラーモップを湿らせて拭き掃除ができる仕組み。常にきれいな状態で拭き掃除ができるのだ。

左が昨年発売された回転モップの「X50 Ultra」。一度に拭き掃除できる幅が広いうえ、ローラーモップなら汚れた水が取り除ける(筆者撮影)
さらに、ローラーモップは9~11Nの圧力で床に押しつけてこすり洗いが可能。壁際を検出すると本体横から約40mm飛び出し、壁際ギリギリまで拭き掃除ができる。
カーペットを検知すると「AutoSealローラーガード」が自動的にローラーを覆って密閉するため、カーペットを濡らしてしまうことがない。
高いナビ機能と8cmの段差を超える機能を搭載
基本機能も非常に優秀だ。本体前面には2つのHD AIカメラを搭載し、1mmの精度でケーブルやスリッパ、おもちゃなど240以上の障害物を検知して回避できるAstroVisionシステムを採用。この障害物回避技術にはNVIDIA社のロボティクスシミュレーションアプリケーション「NVIDIA Isaac Sim」を採用している。

障害物を回避するデモを実施。非常にクイックな動きで障害物の回避ができていた(筆者撮影)
また、ナビゲーションには、レーダーで部屋の詳細な地図を生成する自動昇降LDSセンサーを採用。面白いのはソファやベッド、家具の下などの狭い場所に侵入するときに、センサーを引っ込めて本体高さを97.5mmまで低くできること。そのエリアは2つのカメラで位置を認識して掃除できる仕組みだ。
Dreameのロボット掃除機の特徴の1つが、内蔵の格納式レッグを搭載し、段差を乗り越えられる「ProLeap システム」だ。これは昨年発売の「X50 Ultra」より搭載された機能で、本体を持ち上げてちょっとした段差を上ることができる。
「X50 Ultra」では1段の高さ最大4.2cm、2段で最大6cmの段差を上れたが、「Aqua10 Ultra Roller」では、4.2cmの段差や4cm+4cm(計8cm)の2段敷居を乗り越えることができるのだ。

敷居や小さな段差を検知すると格納式レッグが起きて本体を持ち上げて乗り越える仕組み。部屋をまたいで掃除したいときに重宝する機能だ(写真:Dreame)
ロボット掃除機としての基本性能は各社のフラッグシップモデルと比べても遜色はない。なかでもローラーモップは、ルンバの最新モデルをはじめ、AnkerやECOVACSなどのフラッグシップモデルのみに採用されるトレンド機能となっている。
自動メンテナンス機能で掃除機自体も清潔さを保てる
さらに業界初となる機能を多数搭載しているのもポイントだ。ローラーブラシは本体内に配置されている逆回転するローラーによって常に毛が立った状態にできる仕組み。また、掃除が終わり、ベースステーションに戻ったあとは、約100℃のお湯でローラーモップを洗浄する「ThermoHubセルフクリーニング技術」により、油汚れまでしっかり落とすことができる。次回もより、清潔な状態で拭き掃除ができる。これらはどちらも業界初搭載となる新機能だ。

100℃のお湯でモップをセルフクリーニング。拭き掃除のあとに繁殖した雑菌などを次の掃除で床に塗り広げてしまうといったことが発生しない(写真:Dreame)
また、ベースステーションには3.2Lのダストバッグを内蔵でき、最大約100日分のゴミを集めることが可能。ダストバッグの中は約50℃に加熱して、ゴミを乾燥させることで、においや虫の発生を防ぐことができる。

床掃除の後、集めたゴミはダストバッグに集めてまとめて捨てられる仕組み。ゴミは熱風で乾燥させるので雑菌などが繁殖せず安心だ(写真:Dreame)
日本市場での認知拡大が急務
今回登場したロボット掃除機「Aqua10 Ultra Roller」は11月7日よりクラウドファンディングでの販売が予定されており、先行特典でよりお得に購入できる。さらに説明会では、Dreameブランドのスティック掃除機やドライヤーなども展示されており、さまざまな商品を展開していく姿勢が見えた。

本体質量0.85kgの軽量コードレススティック「Dreame X1 Air」は4万9800円。より強力な吸引力を実現した「Dreame X1 Slim」は5万0800円で、どちらも10月17日発売予定(写真:Dreame)

11万回転の高速モーターを搭載したドライヤーもラインナップ。358gの軽さで55℃を維持した温風で髪が乾かせるGlory Uniは2万2800円。よりコンパクトで携帯性が高いPocket Uniは2万9800円で販売中だ(筆者撮影)
Dreameの最大の課題は知名度の低さだ。先行する競合ブランドに対して、高性能や多機能だけでアピールするのは難しい。また、高価なハイエンドモデルは、高機能なのは当たり前として、それに加えてブランドそのものの信頼性の高さが求められる。

「Aqua10 Ultra Roller」は11月7日よりクラウドファンディングが開始予定。すでにメーカーサイトでは先行特典をいち早く入手するためのメール登録が始まっている。最大40%オフなので、14万9880円で購入できる(写真:Dreame)
Dreameの技術力の高さはグローバル市場ですでに認められており、製品の信頼性は高い。あとはブランド認知をどうやって拡大していくのかが、これからDreameが日本市場で成功するためのカギとなりそうだ。