S&P500の中で25年以上連続増配69銘柄入り「配当貴族」って利回り何%?【リーマンショック時も増配】NISA応援

配当(分配金)目当てで売れている「年4分配」の投信でラスボス的存在の「配当貴族」。貴族の名にふさわしい値上がり益と分配金を得られるのか、実力を探った。【本記事はアエラ増刊「AERA Money 2025冬号」から抜粋しています】
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「米国株式配当貴族(年4回決算型)」は、年に4回、分配金を出す=年4分配の投資信託(以下、投信)がブームになる前の2018年11月に設定されている。純資産総額は3071億円(2025年8月29日現在/以下同)。
年4分配投信の中では最大規模の、ラスボス的存在だ。投信名に「貴族」と入っているだけに気品が。
運用会社・野村アセットマネジメントのインデックスソリューション部長・川口直子さんに取材した。
「S&P配当貴族は、25年以上連続増配を続ける米国の優良株で構成された指数(の名前)です。
他にも連続増配株の投信やETF(上場投信)が存在しますが、配当貴族には大きな違いがあります。組み入れ銘柄がすべてS&P500の構成銘柄なんですよ」
混乱してきた。つまりS&P500の500銘柄から、25年以上連続増配の株だけ抜き出したのが配当貴族ということですか?
「その通りです。25年以上連続増配で、S&P500にも25年以上採用され続けていることになります。
四半世紀の間、S&P500から除外されずに増配を続けてきた企業は、健全な財務体質と安定的な収益基盤があるといえます。
米国以外の国にも商品やサービスを幅広く展開している銘柄が多いのも特徴です。
2024年に63年連続増配となったコカ・コーラなど、米国上場のグローバルな69銘柄をほぼ同じ金額ずつ買い付けます(均等加重型)」
キラッキラの69銘柄であることがわかった。
■本家S&P500超え
本家S&P500と、S&P500配当貴族のリターン(配当込み、円建て)を比較したものが次ページのグラフだ。
1989年12月末を100として比べると、35年でS&P500は34.0倍。それもすごいが、配当貴族のほうは49.2倍。
やはりラスボスである。株価の上昇だけでなく、連続増配により配当が少しずつ増えたことも上昇の原動力になった。

連続増配株をターゲットにした年4分配投信では、海外ETFの「バンガード・米国増配株式ETF」(VIG)を買い付ける「SBI・V・米国増配株式インデックス・ファンド(年4回決算型)」がある。
この投信と野村の配当貴族の違いを次ページの表にまとめた。バンガードの増配株式にはS&P500採用以外の銘柄も入っている。
配当貴族は69銘柄を均等に買うが、バンガードは337銘柄を時価総額加重平均(規模が大きな銘柄ほど多く買う)。
「一番大きな違いは連続増配の期間です。配当貴族は25年以上ですが、バンガードのVIGは10年以上。
25年以上となると、100年に1度の金融危機といわれた2008年のリーマン・ショック時も増配していたことになります。
この先の収益の見通しが全く立たない企業が続出した中で前年より配当を増やせたのは、企業努力の賜物(たまもの)でしょう」
連続増配が10年以上だと、コロナ・ショックのときも増配しました、ぐらいか。もちろん10年連続でも優秀だが。
■分配金出す? 出さない?
ところで、野村アセットには分配金再投資型の「Funds-iフォーカス米国株式配当貴族」という投信もある。これは?
「当社の『Funds-i』シリーズの配当貴族は、分配金を抑制するタイプです(ファンド内で再投資)。銀行窓口などの販売でお客さまから分配金が出るものが欲しいという要望がありました。
その声に応える形で新たにもう1本作ったのが、この『米国株式配当貴族(年4回決算型)』です」
言われてみれば、配当貴族という名前なのに分配金(=配当金)が出ないのもちょっと変。
分配金を受け取ると複利効果が薄れる。効率的に増やす方法とは言いづらい。ただ、川口さんは「分配金を受け取ることは得られた利益を確定させるという大切な意味もあります」と。
「米国株式配当貴族(年4回決算型)」は1月、4月、7月、10月が決算月だ。
2024年10月から4回分の分配金で年利回りを出すと、およそ1.5%。1.5%!? 予想より少し低い。

配当貴族は高配当というより増配にフォーカスしているからだろう。
「配当貴族は連続増配の続く米国株に投資します。長期保有すると自然に受け取る分配金は増えます。つまり自分の買値に対する利回りが上がっていくわけです」
目先の高利回りではなく、長期保有して「自分利回り」の向上を狙う。日本株の配当好きな投資家が好む買い方だ。
増配は株価の上昇を下支えする。全体相場が急落しても、投げ売りされづらい。
「米国株式配当貴族(年4回決算型)」は新NISAの成長投資枠でも買える。
分配金を受け取らず再投資に回して資産形成を重視したい人は「分配金再投資コース」を選ぼう。そうすれば、年4回の分配金を自動で再投資に回せる。
新NISAなら分配金にかかる日本の税金は非課税なので、実質的にファンド内での再投資と似た感じで運用できる。
老後に分配金を受け取りたくなったら、「分配金受け取りコース」に変えればいい。
2025年6月には配当貴族の東証ETF版「NEXT FUNDS S&P500配当貴族指数連動型上場投信」(364A)も新規上場した。
投信の「米国株式配当貴族(年4回決算型)」は信託報酬が0.55%(税込み、年率/以下同)だが、新顔ETFの信託報酬は0.1155%と約5分の1。決算月は3月、6月、9月、12月だ。
しかし0.1155%って、かなり安い。ライバルになりそうな「グローバルX S&P500 配当貴族 ETF」(信託報酬は0.3025%)を意識して安くしたのだろうか。
■ETF30周年
最後に豆知識を。2025年は日本にETFという金融商品が生まれてちょうど30周年だ。
1995年に野村アセットが「日経300」という株価指数に連動したETFを設定した。これが日本初である。
ここで疑問だが、日経300のETF上場から6年、何も新商品が出なかった。なぜ?
「ETFを設定する際の仕組みが今よりも制限されており、法改正を待つ状態だったんです。2001年以降にようやく日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)に連動するETFが出てきたという経緯があります」
なるほど。勉強になった!
取材・文/中島晶子(AERA編集部)、安住拓哉
川口直子(かわぐち・なおこ)/野村アセットマネジメント インデックスソリューション部長。証券会社、銀行に勤務後、2006年に野村アセットマネジメント入社。営業などを経て2025年7月から現部署に異動

編集/綾小路麗香、伊藤忍
『AERA Money 2025冬号』から抜粋
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