3代目プリウスは100万台規模! 大規模リコールはメーカーの致命傷にならないのか? リコールの不思議を深掘り[復刻・2014年の話題]

3代目プリウスは100万台規模! 大規模リコールはメーカーの致命傷にならないのか? リコールの不思議を深掘り[復刻・2014年の話題]
クルマ界のあらゆる不思議に迫ることで一部でカルト的な人気を誇ったかもしれないベストカー本誌企画「不思議でたまらない」。今回は大量リコールでもメーカーに影響は出ないのか? リコールにまつわる「フシギ」を深掘り!(本稿は「ベストカー」2014年4月10日号に掲載した記事の再録版となります)
文:編集部
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■対応台数が多ければ対応にかかる費用は数百億円オーバーになることも!

2014年2月12日に届け出を出したプリウスのリコールは約100万台!
今回のフシギはクルマのリコールに関して。
クルマのリコール制度は、もともと設計や製造のミスなどによって生じた不具合をスムーズに解決するための制度。
メーカーが国土交通省へ届け出してリコール発表(開始)するものだが、工業製品に“完璧”というものはないということから、リコール相当の欠陥を出すこと自体が絶対的な悪とまでは言い切れない、と思う。
そんななか、ここ数カ月はホンダフィットの変速機やエンジン制御ユニットなどのリコール、トヨタプリウスのハイブリッドシステムの制御ソフトに関するリコールといった、月販2万台クラスのヒット車のリコールが目につく(※それらを含めた最近のリコールリストは下表を参照)。
売れているということはリコール対応車も多いということ。
「その企業の主力車が大量リコールになっても大丈夫なのか?」とふと疑問が沸き、もっと具体的な疑問としては、「プリウスが約100万台もリコールの届け出を出して、トヨタは痛手を受けることはないのか!?」ということ。
(2014年)2月12日に届け出を出したプリウスの約100万台リコールは、国内の同一車種の一度の届け出としては過去最多という。
販売台数世界一、世界に冠たるトヨタも少しは経営に響いたと思うのだが……。その疑問を、自動車業界に精通するジャーナリスト、井元康一郎氏の分析とともに探ってみた。
■「企業の信頼」がキズつくことはあるが、経営には無風!!?

最近のリコール届け出(国土交通省 自動車局審査・リコール課のリストより。過去半年から一部抜粋して紹介)
まずはリコールが及ぼす影響について。不具合を隠すより正当な対策だと思うのだが、井元氏はこう話す。
「欠陥をなんでもリコールすればいいというものでもありません。あまりにリコール案件が多いと、メーカーの設計品質や製造品質そのものが疑われるし、リコール費用もかさむことになる。例えば短期間にフィットの変速システムについて3回ものリコールを出したホンダは、せっかくの新ハイブリッドシステムのイメージが急落。その影響は今後もかなり残るものと思われますよ」
度重なるとユーザーに与える影響が大きいといえそうだ。
企業イメージや信頼にキズがつくことはありそうだが、企業経営が途端に赤字になるなどグサリとメスが入るようなことはないのだろうか?
この答えは「NO」とのこと。
日本の自動車メーカーの場合、リコール費用(部品代やディーラーに支払う工賃など)が経営に致命的な打撃を与えるケースは考えにくい。
ただ、これ以上負債が膨らめば倒産しかないというところに大規模リコールが起こってしまえば“最後(トドメ)の一撃”になるだろうが、そういうケースは過去にはないという。
そのリコール費用は、欠陥や不具合の種類によってさまざま。
例えば(2014年)2月届け出のフィットHVのようなECUのファームウェアの更新であれば、部品代がかからないため、ソフトウェア再設計と評価にかかるぶん以外は、ディーラーへの短時間作業の工賃支払いプラスアルファですむそうだ。
逆に、エンジン内部の部品などモノによっては部品代がかなりかかるケースもある。
後者のような膨大なリコール費用がかかるケースもあるのに、なぜ、「リコールが経営に致命的な打撃を与えるケースは考えにくい」、ということなのだろうか!?
■リコール費用の予算は各社想定内!?

2014年2月にリコールを出したホンダ フィットHV。ホンダの代表的な車種=販売台数多、だが、部品代がかからないためリコール費用は軽微だという
井元氏はこう話す。
「日本の自動車メーカーの場合、リコール費用は一般的には、品質保証のために“プールした予算”をそれに引き当てています。今回のトヨタプリウスもそうしているはずです。
また、リコール費用の金額が大きくなった時には“特別損失”として計上し、利益は下方修正されるのが一般的です。
利益が少なくなるので法人税の面では有利ですが、業績悪化とみなされ、株価に影響しますし、大株主も色めくところですね」
と、プリウスのような100万台規模の大量リコールが発生しても、メーカー側がびくともしないワケを説明。年度予算のなかに、リコール対応費用を“プールしてある”から慌てることもないということだ。
で、実際のところはどうなのか。トヨタ広報部へ聞いてみたら……。
「決算報告書のある項目のなかの一部として、リコール対応用の金額がプールされているので、それで対応しています。今回のプリウスのように100万台規模のリコールがあったからって、もちろん赤字になることはありません。そのようなリスクに備えて、プールしているわけです」と、やはりこちらが考えていたことを実施していることが判明した。
■わずか1台1万円でも1000億円かかる!
リコール費用の具体的なところをもう少し続けると、2009年、トヨタが米国市場でアフターマーケットのフロアマットを敷くとアクセルペダルが戻らなくなる、というリコールを出したことは記憶に新しい。
交換する部品はそれほど価格の高くないアクセルペダルや一部のスロットルボディなどだったが、それでも台数が自主回収や修理を含めて約1000万台にのぼったため、費用も1000億円ほどかかったという(ビックリ!)。
1台あたり1万円という計算になり、これはソフトの書き換えに比べて高額のケース。
1台1万円といえど、それが世界的大ヒット車となると、なにかと“事件”になることがよくわかる事例だ。
最後に本音と希望をいわせてもらえば、リコール費用をプールしなくてもすむクルマ界に早くなってほしいもんです!
■まとめ
対策費用がスタンバイされているといってもリコールがないのに越したことはない。それはメーカーもユーザーも望むことだ。
(写真、内容はすべて『ベストカー』本誌掲載時のものですが、必要に応じて注釈等を加えている場合があります)
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