「高配当株1位は利回り5.86%」3期平均PERで値上がり狙いのベスト30【新NISA応援】

高配当をもらいながら、株価も上がってくれたら、1粒で2度おいしい。「すぐ上がらなくてもいいが長期的には値上がり益も」と思う人に贈るベスト30。【本記事はアエラ増刊「AERA Money 2025夏号」から抜粋しています】
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そもそも配当利回りが高い銘柄は(A)〜(C)のいずれかに該当する。
(A)業績悪化などで株価が下がって相対的に利回りが高くなっている。
(B)その銘柄が属する業界が景気循環の影響などで不調になり、株価が下落して高配当株に。環境次第で数年後に業界全体が復活し、成長軌道に戻る見込みがある。
(C)もともと業績絶好調で、利回りも10%など非常に高かったが、それを好感した買いで株価が上昇。利回りは「10%時代」より低下したものの、まだ高配当といえるレベルを維持している。
「(A)は避けて(B)か(C)を選びたいところです。
理想は(C)。たとえば海運株は(C)のパターンです。
コロナ・ショック以降の海上運賃高騰で驚異的な好業績をたたき出し、配当利回りも急上昇しました。一時は12%のときも。
人気化したため株価も上がり、配当利回りは下がりましたが、それでも4〜5%台のものがまだあります」
と語るのは岡三証券投資戦略部長、チーフマーケットストラテジストの小川佳紀さん。
小川さんに今後、長期的に株価が上がりそうな高配当株を「TOPIX500」(東証プライム上場の大型株、中型株が対象)の採用銘柄から抽出してもらった。

■万年割安株を回避
今回のスクリーニングのキー指標はPER(株価収益率)だ。PERは株価が1株当たり利益の何倍まで買われているかを示す指標。
15〜20倍が標準で、低いほど割安とされる。計算式は「株価÷1株当たり利益」で、株価が下がるか利益が増えるとPERは低下する。
「高配当株には業績が横ばいで株価が全く上がらない『万年割安株』も多いものです。
そんな銘柄を避けるため、利益成長が続いているのに株価は下がり、過去の水準よりPERが低下している割安高配当株を探しました」

今期の予想PERが直近過去3期の平均PERより低く、割安になった銘柄を配当利回りの高い順にまとめた(表参照)。
「投資家の見直し買いが入ると、再び過去3期平均のPER水準まで値上がりする期待値が高い」
■海運と金融に順張り
目についたのは1位の日本郵船5.86%や6位の川崎汽船4.58%などの海運株。
13位の大和証券グループ本社4.11%、19位の三井住友トラストグループ3.93%といった金融株も気になる。
いずれも2024年の株価上昇率は2ケタを超えており、冒頭で述べた(A)〜(C)の中では(C)に属する。
12位の損保会社、MS&ADインシュアランスグループホールディングスは2024年の1年間で86.6%も上昇。
それでもMS&ADの今の配当利回りは4.20%で、(C)の典型例だ。
「株価が上がっているのに過去3期平均のPERより今期予想PERが低いということは、株価の上昇を超えるほど今期の利益成長率が高いということです」
日本の個人投資家は下落中の株を「割安でお買い得」と買う傾向が強かった(「逆張り」という)。
近年は巨大IT株のエヌビディアなど一貫して右肩上がりの米国株に「順張り」で投資して成功する人も増えている。
順張りとは値上がり中の銘柄に乗る手法のこと。
「日本の投資家にも順張り投資が根付きつつあります。私が講演しているときに感じるのは、年齢が比較的若い方に順張り派が多いということです。
高配当かつ株価も急上昇している金融株や海運株は順張りが好きな人にぴったり」
5位の日本M&Aセンターホールディングス(配当利回り4・69%)は、ある意味、新種の高配当株だという。
「4〜5年前まで日本M&Aセンターは中小企業のM&A(企業の合併・買収)の盛り上がりもあり、イケイケの成長株でした。
過去3期平均PER28倍台に対し、今期予想PERは18倍以下まで低下しています。
成長期待が剥げ落ちて株価が下がったからですが、今後は稼いだ利益を株主還元に回す方針に転換したため、配当利回りが上がりました。
成長株から成熟株に変貌する過渡期にある銘柄です」

さて、「値上がり狙える高配当株」を個人が独力で探すための条件を、楽天証券国内株式事業部アシスタントマネージャーの竹内広大さんに教わった。
楽天証券の「スーパースクリーナー」で、まず「時価総額」1000億円以上、「配当利回り(予)(%)」3%以上、「コンセンサスレーティング」3・5以上で絞り込む。さらに次の3項目を追加。
●項目(1)「業績予想修正率(予)(%)」…0%以上。アナリストによる今期業績予想が上方修正の銘柄に絞り込める。業績好調→株価上昇。
●項目(2)「日経平均の値上り率上回り銘柄」…対象期間は「1年前」を選ぶ。日経平均株価より上昇率が高くて好調な銘柄を探せる。
●項目(3)「経常利益変化率(%)」…前年度比1%以上。前期比で増益予想の企業を絞り込める。

取材・文/中島晶子(AERA編集部)、安住拓哉
竹内広大(たけうち・こうだい)楽天証券 国内株式事業部 アシスタントマネージャー。個人の資産運用をサポートすべくツールの改良や情報提供に注力。スクリーニング機能の効果的な使い方を熟知
小川佳紀(おがわ・よしのり)岡三証券 投資戦略部長 チーフマーケットストラテジスト。投資情報会社を経て2014年に岡三証券。現在の肩書は2020年から。テレビ東京などへのメディア出演多数

編集/綾小路麗香、伊藤忍
『AERA Money 2025夏号』から抜粋