とても手堅い高配当株ベスト30/値がさ12銘柄を10万円ぽっきりで買うセット【新NISA応援】

 日経平均株価は2024年12月27日の4万281円から2025年4月7日の3万1136円まで9145円も下落。その後7月に4万円台を回復。こうした波乱局面で押し目買いが有効なセクターを中心に「手堅い高配当株」30銘柄を。【本記事はアエラ増刊「AERA Money 2025夏号」から抜粋しています】

*   *   *

 楽天証券経済研究所チーフ・ストラテジストの窪田真之さんが、「多少の上げ下げは気にせず、長期保有できる手堅い株」を予想配当利回りの高い順に並べたのが次ページに掲載した表の30銘柄だ。

 過去最高益予想(3月決算企業は2025年3月期第3四半期決算時点の通期予想が主)の好業績銘柄が多いが、株価は全体相場につられて「割安」から「激安」レベルになった銘柄も。

■決算資料マスト

 選定の際に窪田さんがこだわったのは、「決算説明会を開いていること」「決算短信以外に丁寧な決算説明資料を出していること」。

「高配当株の中には『もう成長しそうにない』と投資家から思われている不人気株もあります。

 そのイメージが間違っていて、『実は素晴らしい会社ですよ』ということを確かめる資料としては決算短信だけでは足りません。決算説明資料も読みましょう。

 利益が出るビジネスをしていて、投資家からの評価を上げるためにどんな努力をしているかを企業自身が説明できているかどうか。

 そこに納得してから投資するべきですし、そもそも決算説明資料も出していない企業はIR(投資家向け広報)の姿勢に疑問が残ります」

 安定配当に期待するなら、配当の原資となる自己資本が豊富にあるかも大事。

 窪田さんによる、いい高配当株を見つけるヒントは次に挙げる(1)〜(3)だ。

(1)金融以外の業種で自己資本比率10%以下の銘柄は買わない。財務内容が悪い銘柄は避けよう。

(2)収益基盤が弱くなっている銘柄は買わない。具体的には自己資本から毎年何%の利益を生み出しているかを示すROE(自己資本利益率)が4%以下は「収益力に乏しい」と見なし、買わない。

(3)決算短信とともに決算説明資料も公開していること。説明する姿勢がない企業は信用できない。

 窪田さんが推しているのは「金融」「資源」「製造業」に属する高配当株である。

「私は3大バリュー株と呼んでいます。配当利回りが高く、過去最高益を更新しているにもかかわらず『オールド株』などと呼ばれて、それほど人気がない銘柄群です。

 株価が割安で、2025年4月上旬時点はバーゲン状態といえるほど下落しています」

 今から3年前の2022年、三菱UFJフィナンシャル・グループは株価3ケタで配当利回りは5%近い水準だった。

「こういうときに買って長期保有できれば成功です。

 今回の30銘柄ランキングにも一応入れておきましたが(27位)、三菱UFJの株価は3年でダブルバガー。現在の配当利回りは3%台です」

 金融株は日銀の利上げが収益向上につながってきたのが好感され、2023年以降は右肩上がりだった。

 主要ネット証券の新NISAでも、三菱UFJフィナンシャル・グループを筆頭にメガバンク株は人気である。安定配当と値上がり期待で安心して持てる銘柄。

 2025年4月に三菱UFJの株価は下がったが、配当利回りは3%以上あるので今から買っていいという。

■激安度が光る

「私がイチオシの高配当株として挙げているのがランキング9位の資源株、INPEXです。

 ご存じ日本最大の原油・天然ガスの開発・生産企業で、日本のエネルギー安全保障にとって要となる銘柄。

 エネルギー関連株はトランプ大統領が『石油を掘りまくれ』と大号令をかけ、ロシア・ウクライナ戦争にも停戦の兆しがあるため、供給過剰の見通しで下落しています」

 エネルギー株は3大バリュー株の中でも激安度が光っている。

「今後は世界中で(脱石油はともかく)脱石炭となるでしょう。INPEXは代替資源となる天然ガスを豪州の海底などから採掘しており、業績も堅調です。

 なのに株価は安くPBR(株価純資産倍率)は0.5倍割れ。配当利回りは4.33%です」

 窪田さん流「3大バリュー株」の一角、自動車や自動車部品、タイヤメーカーはトランプ大統領の関税ショックをもろに受けそうで、業績悪化リスクがある。

「3位のホンダは米国内での生産比率が高く、小型でリーズナブルな車を販売しています。

 トランプ関税絡みで今後、米国の自動車の販売価格が跳ね上がった場合、価格競争力があるホンダの車が買われる可能性は高い。

 PBRは0.5倍ほどで安すぎる。配当利回り5.06%となりました」

 高配当の定番セクターといえば海運だ。

 ランキング1位の日本郵船の予想配当利回りは6.31%、2位の飯野海運は5.42%という高水準(編集部注:いずれも2026年3月期予想は減配となり、配当利回りは現状4%台に)。

 飯野海運は時価総額1153億円と他の海運株に比べて小型だが、窪田さんは好感を持つ。

「最近は世界的な業界再編が進み、財務内容も以前よりよくなっています。

 大型の日本郵船や商船三井、少し小型の飯野海運は不動産会社も傘下に持ち、保有不動産の含み益もたっぷりあります」

 新NISAでも高配当株として人気のJT(日本たばこ産業)は5位。

 前回、窪田さんに取材した際は「念のため」ランキングからJTを外していたが。

「JTはカナダでタバコを吸ってがんになったという人たちの訴訟が2024年末に終結しました。

 2024年12月期決算では賠償金を営業費用に計上し、業績を大幅に下方修正しました。

 それでも減配していませんし、悪材料出尽くしで買えるフェーズに来たと判断ました。

 ロシア事業を減損するかどうかは不透明ですが……。

 JTは喫煙者が減っても値上げを行うことで利益をカバーできますから、今後も高利益率の高配当株という地位を堅持するでしょう」

■思わぬ高値で売れる

 11位のハードオフコーポレーションにも目が行く。時価総額266億円、「窪田銘柄」にしては小型だ。配当利回り4.19%。

「ハードオフコーポは家具や楽器などのリサイクル店舗を全国展開しています。

 地味ですが、業績は右肩上がり。リユースというとネットで取引の場を提供するメルカリが注目されてきましたが、同社はリアル店舗だからいいんです」

 最近はインフレの影響で、納戸の奥に眠っている中古楽器など古物が思わぬ高値で売れるらしい。

「全般的にモノの値段が上がると値段の安い中古品需要が高まることも、ハードオフコーポの最高益更新を後押ししています。

 インフレ時代に光る高配当株として魅力的な存在です」

 個別株を100株単位で買っていくと、新NISAの成長投資枠(年間投資枠240万円)はすぐ埋まってしまう。

 株価水準によっては少ししか買えず、「分散」という意味では不完全燃焼に。そこで窪田さんは、多くの業種に分散するために1株単位で買うことを勧める。

 主要ネット証券4社では日本株を1株以上1株単位で買える。この4社は新NISAなら売買手数料無料。

 SBI証券は「S株」、楽天証券は「かぶミニ」、マネックス証券は「ワン株」、三菱UFJ eスマート証券は「プチ株」というサービス名だ。

 1株だけ買っても、配当はもらえる。そこで窪田さんに、予算10万円で、あえて株価が高めの値がさ株を中心にポートフォリオを組んでほしいとお願いした。

 王道の12業種から1業種1銘柄。計12銘柄を1株ずつ買って合計9万9768円。10万円でお釣りが来てしまった。

 12銘柄の平均配当利回りを計算したら2.37%だった。

「できるだけ値がさ株を入れようとしたので、平均配当利回りはさほど高くなりませんでした。

 どの銘柄も各セクターの超優良株なので、配当だけでなく株価の値上がり益にも期待してください」

■ETFでまとめ買い

 ところで、自分で銘柄を選ぶのは面倒な人もいるだろう。

 そんな人に勧めたいのがETF(上場投資信託)を活用した分散投資だ。

『東証公式ETFの常識2025年3月版』(231ページの本を198円という採算度外視価格でアマゾンを中心に発売中)の編集を担当した一人、東京証券取引金融リテラシーサポート部調査役の山口洋明さんに聞いた。

「東証ETFを活用すれば、低コストで幅広い分散投資ができます。1口当たり数千円と少額で買えるETFも多いです」

「国内株式」「国内債券」「外国株式」「外国債券」「金(ゴールド)」という5種類のETFを買えば、分散投資のお手本のような組み合わせで運用できる。

 これら5種類から金だけ除くと、日本の年金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の基本ポートフォリオに倣った運用ができる。

「GPIFは2001年度から市場運用を開始し、定期的に基本ポートフォリオを変更していますが、2020年度から国内外の株式と債券の4つの資産を25%ずつに分散し、運用しています。

 2024年度第3四半期までの約24年間で年率平均4.4%のリターンとなりました。GPIFの基本ポートフォリオを参考にしてみるのもいいでしょう」

 そこで、国内外の株式・債券と金のETFから信託報酬が最安のものを探し、表にまとめた。

■最安ETF

 国内株式は日経225かTOPIX(東証株価指数)のETFが定番。

 最安はブラックロック・ジャパンの「iシェアーズ・コア」シリーズで、信託報酬はどちらも0.0495%と激安だ。

 外国株式は、GPIFに倣うと「全世界株式(除く日本)」だが、低コストにこだわるならS&P500で代用を。

 iシェアーズ・コアと野村の「NEXT FUNDS」が0.066%で並ぶ。

 外国債券も、コスト面ではiシェアーズの米国総合債券が安い。ただ、NEXT FUNDSの外国債券のほうが米国以外の債券も組み入れられており、GPIFに近い。

 金ETFは2025年1月に上場したiシェアーズのゴールドETFが0.22%で最安だった。

取材・文/中島晶子(AERA編集部)、安住拓哉

窪田真之(くぼた・まさゆき)楽天証券経済研究所 チーフ・ストラテジスト。大和住銀投信投資顧問のファンドマネジャーを経て、2014年より現職。楽天証券「トウシル」の執筆記事が大人気

山口洋明(やまぐち・ひろあき)東京証券取引所 金融リテラシーサポート部 調査役。「東証マネ部!」「みんかぶETF」を通じて個人投資家に情報提供。『東証公式 ETFの常識』(220円/税込み)の編集担当

編集/綾小路麗香、伊藤忍

『AERA Money 2025夏号』から抜粋