新浪剛史氏はどんな人物? 「プロ経営者」目立つキャリア、政府の経済政策に関与、政権にチクリと直言も
サントリーホールディングス(HD)会長を辞任した新浪剛史氏は財界の顔として存在感を発揮してきた。経済同友会の代表幹事だけでなく、政府の経済財政諮問会議の民間議員としても、経済政策に影響力を持っているだけに、政府関係者の間にも衝撃が走った。
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◆43歳でローソンを率いた「プロ経営者」
新浪剛史氏は「プロ経営者」の先駆けとしてサントリー、ローソンの大手企業2社を率いたほか、財界団体のトップや国の諮問機関のメンバーとして社会問題など幅広い分野で率直な発言を繰り返してきた。一経営者の枠にとどまらない発信力を発揮してきただけに、突然の退場劇で及ぶ影響は多岐にわたりそうだ。
新浪氏は慶応大卒業後、三菱商事を経て、2002年に43歳でローソンの社長に就任。デフレ下でも、新業態コンビニ「ナチュラルローソン」の展開や、海外進出を積極的に進め、営業利益を着実に伸ばした。

2009年8月、ローソンが業務車両として電気自動車「アイ・ミーブ」を導入。三菱自動車の益子修社長からキーを手渡されるローソンの新浪剛史社長㊨=東京都品川区で
サントリーHDには当時の社長だった佐治信忠氏(現・会長)に請われ2014年、創業家以外で初めてサントリーHDの社長に就任。こうした手腕について、鳥井信宏社長は2日の会見で「大胆で、決断力や実行力のある経営者として尊敬していた」と評した。今年3月に同社会長に就任し、肝いりの海外事業を中心に担当していた。
◆経済同友会でも独自色を発揮
政財界でも存在感を発揮してきた。2014年から政府の経済財政政策の司令塔である経済財政諮問会議の民間議員を務め、2023年には経済同友会のトップである代表幹事に就任。「三足のわらじ」を履きつつ、その発信力の強さから、賛否を含めて存在感を発揮してきた。

2014年7月1日、サントリーホールディングスの新社長に内定し、笑顔で記者会見する新浪剛史ローソン会長
諮問会議の民間議員は、安倍晋三氏から石破茂氏まで4政権にわたって務め、歴代で最長。経済同友会では、NPOや若手起業家、LGBT関係者らとの連携を図るなど独自色を打ち出した。ただ、自由闊達(かったつ)な議論を持ち味とする同友会の伝統を引き継ぐ半面、自民党政権と近く、最近は経団連の主張と似てきて「ミニ経団連」化を指摘する声もあった。(鈴木太郎、久原穏)
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◆「45歳定年制」で釈明に追われる
新浪氏の発言は、しばしば良くも悪くも世間の耳目を集めてきた。社会や経済、政治に至るまで幅広い問題を巡り、歯に衣(きぬ)着せぬ物言いが関心を引いた。
「45歳定年制を敷いて会社に頼らない姿勢が必要だ」。2021年9月、経済同友会のセミナーでの発言は衝撃的だった。交流サイト(SNS)上では批判が相次ぎ、「中高年のリストラ策だ」などと批判を浴びた。後日、「首切り(解雇)をするということではまったくない」と釈明に追われた。
◆サプリメント健康被害では批判
雇用を巡っては、最低賃金1500円の早期実現に向けて「払えない経営者は失格」(2024年10月)と断じた。
相次ぐ企業不祥事にも持論を展開した。旧ジャニーズ事務所の性加害問題では、当時社長を務めていたサントリーホールディングスが同事務所との契約を取りやめたことについて、「人権侵害を認めることになる」(2023年9月)と強調。サプリメントの健康被害を起こした小林製薬の問題には「海外にみっともないメッセージとなった」(2024年8月)と指弾した。
◆保険証廃止時期を「納期」と表現
政府の政策に、くぎを刺すことも。児童手当の所得制限撤廃には「大反対」(2023年6月)と真っ向から否定。子ども・子育て支援金の財源には「国民のポケットから安易に取るのではなくて、歳出改革を」(2024年4月)と求めた。今夏の参院選で石破茂首相(自民党総裁)が表明した現金の給付案については「財界がみんなそろって、もらうのやめましょうと言うのもありかもしれない」(今年6月)と述べた。
一方、マイナ保険証の普及実現に向けた保険証の廃止を巡っては、廃止時期を「納期」(2023年6月)と表現。「納期を守るのは日本の大変重要な文化」と述べ、波紋を広げた。(山中正義)

新浪剛史氏(資料写真)
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