そりゃ人気出るわ…SUBARU・新型フォレスター、クルマ好きを本気で悩ませる魅力の正体【試乗記】

SUBARU・フォレスター プレミアムS:HEV EX 価格:CVT 459万8000円 Photo:Koujirou Yokota, SUBARU

メーカーの予想を大きく超える人気

待望のストロングハイブリッドの設定が大きく貢献

 好印象だった3月のサーキットでのプロトタイプ試乗に続いて、新型フォレスターをオフロードと公道でドライブした。

 新型は4月3日から先行予約が始まり、末日までの約1カ月間で歴代最多となる1万1466台の受注を獲得、5月末には1万5000台に達した。販売計画は2400台/月だから、その人気はメーカーの予想を大きく超えている。

 好調なスタートダッシュは、待望のストロングハイブリッド(S:HEV)の設定が大きく貢献しているに違いない。S:HEVは、ガソリン車と40万円ほどの価格差があるが、4月の受注比率は約85%。その後、納期が1年超となるニュースが流れ、5月は60%にとどまったが、それでも販売の主力である。今後もS:HEVが主軸の展開は続くだろう。高い人気を受け、メーカーはS:HEVの増産を決定。納期の短縮化に動いている。

新型は“SUVの代表”として、すべての道で安心感が向上。雨で滑りやすいオフロードでもしっかりとした走りを披露。S:HEVの緻密な駆動力制御と、入念に調律した足回りが光る

新型はタフで優しいSUVというキャラクタ ー。後席の快適性もハイレベル。それは開発陣の奥様がクルマ酔いしやすかったため、入念に仕上げた結果と聞いた

プレミアムの室内。インパネはすっきりとした視界を約束する水平基調の立体形状。中央に11.8インチの大型ディスプレイをレイアウトする。安全装備も充実。EXは渋滞時にステアリングから手を離しても運転を支援するアイサイトX標準。世界初のサイクリストエアバッグも安心材料

室内は前後席ともルーミー。窓も大きく開放感抜群。写真の本革シートはop。プレミアムは前席ヒーター&ベンチレーション標準。乗り心地と静粛性は全域ハイレベル

SUBARU・フォレスター プレミアムS:HEV EXリアシート

ラゲッジスペースは余裕たっぷり。後席を倒すと車中泊にも対応するフラット空間になる

雪道や凍結路面など、路面状況が厳しくなるほど、

新型のアドバンテージは明確になる

 1週間にわたった報道試乗会で、われわれの参加日だけ雨に降られた。これは“恵みの雨”、雨天だからこそわかったことがいろいろあった。まずはオフロードで試乗。房総の採石場跡地に設定されたコースで新旧を乗り比べた。試乗コースは、凹凸はもちろん、かなりの急勾配がある岩場が主体。見た感じ、かなり厳しそうに思えた。だが、スバルならではのシンメトリカルAWDの利点、すなわち重心が低く前後左右のバランスのいい点が効いているのだろう。新旧とも難なく走れたことにまずは感心した。

 並のSUVだと躊躇しそうな急な下り勾配でも、いたって安定しており不安なく走れる。最近はどのメーカーも4WD性能をどんどん高めてきているが、ライバル車ではなかなかこうはいかない。あらためてスバルのよさを見直したのだが、新型はいろいろな面で従来型を確実に上回っていた。ざっくりいうと、新型のほうが乗りやすく、乗り心地がよくて安心感があった。

SUBARU・フォレスター プレミアムS:HEV EXリアシート

 従来型は路面の凹凸を拾ってビリビリとした振動が出る。対して新型はしなやかというと大げさだが、じわっと動いて振動があまり気にならない。縦方向だけでなく横揺れも小さい。減衰がしっかり効いていて、入力を受け止める車体も強靭な感じがする。

 サスペンションのストローク量としては新旧で同等だそうで、どちらもほぼ底付きすることなく走れたのもたいしたものだが、感触としては新型のほうが足が長い。ただでさえ滑りやすそうな路面が雨でさらに滑りやすくなっていた中でも、路面を捉えている感覚があった。曲がり方も微妙に違っていた。新型は操舵に対する初期応答性に優れるとともに、よりアクセルを踏んで曲がっていける。従来型もかなりの実力だが、新型は懐が深い。優れた悪路走破性とともに、安心感と快適な乗り味を実現していた。雪道や凍結路面など、路面状況が厳しくなるほど、新型のアドバンテージは明確になるだろう。

重厚で快適なS:HEVと軽快な1.8Lターボ

明確に個性を分けた走り味に感心。どちらもいい!

 オンロード試乗では、S:HEV(2.5Lハイブリッド)のプレミアムとDIT(1.8Lターボ)を積むスポーツで一般道と高速道路、そしてちょっとしたワインディングをドライブ。両車のキャラクターの違いがよくわかった。

 日常的によく使う速度域、つまり発進から80km/h前後までは、S:HEVのリニアなレスポンスと力強さが心地よい。エンジンが再始動してもまったく気にならないほど綿密に手当てされており、静粛性は非常に高い。

 新たにリーン燃焼を採用したDITと制御を最適化したリニアトロニックを組み合わせたスポーツも大幅に洗練されていた。

 スポーツは低回転域からターボらしい力強いトルクを発生し、踏み増すと伸びやかに吹き上がる。CVTにありがちなクセを払拭したリニアトロニックも好印象。気持ちのいい加速フィールが味わえた。

 軽快なドライブフィールという点でもスポーツは際立っていた。以前のサーキット走行で感じたキビキビ感は一般公道でも健在。S:HEV比で約100kgという実際の車両重量差以上にずっと軽やかに感じられる。

 ハンドリングもいい。リラックスして乗れるよう動きを穏やかに味付けしたプレミアムに対し、ステアリングの切り始めから俊敏に回頭する。これほど軽快に走れるのだから、乗り心地がそれなりに硬いのではと思いきや、そうでもなかったのは意外だった。いくぶん振動は見受けられたものの不快な突き上げはない。これなら家族を乗せても不満は出ないだろう。タイヤ径がプレミアムより1インチ小さい18インチということも効いていそうだ。

 乗り心地そのものは、快適性重視のセッティングを施し、リアのダンパーロッドを延長したプレミアムはもっといい。とくに後席は、ライバルと比べても最良。静粛性についても同様で、これほど明瞭に前後席間で会話できるクルマは、このクラスでは他にない。

 気になる燃費は、今回は正確に計測していないが、S:HEVは期待に応えていると思ってよさそうだ。一方のDITも従来に比べて全般的に向上しているという。

 新型フォレスターの完成度は実に高い。乗り比べてそれぞれのよさがよくわかった。いざ買うとなったら、どのグレードを選ぶか、本気で悩みそうである。

(CAR and DRIVER編集部 報告/岡本幸一郎 写真/横田康志朗+SUBARU)

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