暴落で買い向かい、配当で勝つ! 資産5億円の投資家が注目したのは株価ではなく増配の意志だった

株式投資で資産1億円を目標にしている人は多いのではないだろうか。とはいえ、その道は決して平坦ではない。そこで、今回は実際に“億り人”になることに成功した個人投資家・ヘムさんを取材。ヘムさんがどんな株をどんな手法で取引し、成功を手に入れたのかじっくり聞いているので、投資の参考にしてほしい!(ダイヤモンド・ザイ編集部)

「ダイヤモンド・ザイ」2026年1月号の「勝ち組個人投資家13人の29のワザ!【1億円】の作り方」を基に再編集。データはすべて雑誌掲載時のもの。

雰囲気で何となく買っていたときは資産は増えず……

研究の末に「バリュー(割安株)投資」に切り替えて成功!

 50代・経営者のヘムさんは、1998年に300万円の元手で株をスタート。現在の資産は、なんと5億円を超えている。

 そんなヘムさんでも、株を始めたばかりのときは「雰囲気で何となく投資をしていて、全然勝てなかった」とのこと。状況を打開するため、ヘムさんは個人投資家のブログや、ベンジャミン・グレアム、ピーター・リンチといったレジェンド投資家の本を次々と読破。その結果、たどりついたのが「バリュー(割安株)投資」だった。

 ヘムさんがバリュー投資に舵を切ってから、株式市場では2003年にITバブル崩壊、2008年にリーマン・ショックと、大きな混乱が相次いだ。リーマン・ショックの際は「暴落は買うもの」との信念により、1000万円を追加入金したというヘムさん。それまでの入金分や増えた分と合わせて総投資額は約3000万円になったが、暴落の底は深く、一時は含み損700万円を抱えた。

 それでもヘムさんが株をやめなかったのは、投資本で学んだ論拠に基づくと、企業価値に対して株価があまりにも割安だったためだという。

「リーマン・ショックの市場には、PER5倍、PBR0.5倍など超割安なのに、毎年5~10%の利益成長をしている銘柄がゴロゴロありました。企業価値と株価が釣り合っておらず、どう考えてもおかしいと思い、入金して投資を続けました」(ヘムさん)

 この結果、株価の復活とともにヘムさんの資産は一転して増え始める。2017年には“億り人”となることに成功。その後も、2018年のVIXショック、2020年のコロナ・ショック、2024年の植田ショック、2025年のトランプショックと、4つの暴落局面で計1億円を入金し、臆さず買い向かったという。

 割安株への投資を追求した結果、手持ちには自然と小型株が増えた。「機関投資家が買わないので、割安株には小型株が多い。小型割安株の成績は良好でした」とヘムさんは語る。

 ただ、割安株は株価が長期間にわたって割安なまま放置される「バリュートラップ」に陥りやすい。この問題を解決すべく、ヘムさんは2018年頃から、株価上昇のきっかけになる“増配”を重視するように。

「株価は利益成長よりも、配当の成長に強く引っ張られる。また業績が悪化しても、増配していれば株価はそれほど下がらないことに気が付きました」(ヘムさん)

 小型割安株に増配という条件をプラスした結果、ヘムさんの成績は飛躍的に向上。資産は5億円超まで膨れ上がった。

「割安+増配株投資」をベースに投資手法をブラッシュアップ!

“増配余力”と“経営者の意思”を見て増配する株を探す!

 ヘムさんによると、増配する株を見つけるにはコツがあるという。重要なのは、増配の「余力」と「意思」の2つを見極めることだ。まず、増配余力は配当性向(利益のうち配当に回す比率)が低いほどあるため、「配当性向は40%以下」が基準。配当利回りは2.5%以上で合格だ。

 続いてチェックしたいのが、企業の“増配意思”。過去が増配傾向か、配当を決める基準としてDOE(自己資本に占める配当額の比率)や累進配当(増配か配当維持)を公言していれば、増配意欲があると見なすことができる。

 ヘムさんは割安+増配投資において「DOE採用株」「累進配当を実施する株」「配当貴族(日経連続増配株指数の採用銘柄)」「今後DOEや累進配当を採用しそうな株」という4つのタイプ別に、複数の銘柄群を運用している(上表)。4タイプの中では、特に累進配当を実施する株のパフォーマンスが良く、運用から3年1カ月の成績は139%で、TOPIXを77ポイント上回っているそうだ。

 これらの銘柄群は、年間約20%の増配率を達成。そのペースで増配が続くと、配当性向が上がり、60%を超えることも。その頃には、連続増配につられて株価も十分上昇しているので、利益確定してほかの銘柄に乗り換える。このサイクルを繰り返すのが基本戦略だ

 さらに最近力を入れているのが、現時点のPBRが1倍未満で、これからDOEや累進配当を採用しそうな銘柄を先回りで買うこと。2023年からの東証の要請で、東証プライム市場に上場する銘柄は、9割以上が資本効率や株価意識の対策を開示している。これに対し、東証スタンダード市場に上場する銘柄は、半分以上が未対応。ここからの株主還元強化が期待でき、実施されれば株価の上昇が期待できるというわけだ。

 ヘムさんの小型割安株+増配投資&先回り投資を参考に、億り人を目指そう!