専門家が断言 令和の米騒動はまだまだ続く「今年も米の値段は下がりません」

米5㎏あたりの平均販売価格が”4416円”を記録

就任当初、山形県産の「はえぬき」を手に取材に答える鈴木農相。前政権の増産方針を百八十度転換させた

農林水産省の最新の発表によれば、昨年12月29日〜’26年1月4日の米5㎏あたりの平均販売価格が4416円を記録。過去最高値を更新した。

実際、都内のスーパーには5㎏で4000〜5000円台の商品がズラリ。ブランド米だと、6000円を超えるものまであった。

新米が流通し、価格が下がるという見方があるにもかかわらず、なぜ高止まりが続いているのか。

農政に詳しいキヤノングローバル戦略研究所研究主幹の山下一仁氏は、「JA(農業協同組合)が流通量を意図的に絞り、価格を維持している」と指摘する。

「’24年夏に発生した″令和の米騒動″は、猛暑による’23年産米の不作が原因でした。予測されていた供給量から約40万トンも不足していたため需給のバランスが崩れ、新米が流通しても価格が下がらなかったのです。一方、’25年度産の米は前年に比べて10%近く収穫量が増えている。なのに、なぜ価格が下がらないのか。それは、JAが集荷した新米を在庫として抱え込み、市場への流通量を昨年と同程度に絞っているからです」

農林水産省によれば、昨年11月末時点での民間の在庫量は’24年より70万トンも多い329万トンだった。JAが在庫を増やす理由は何なのか。

「概算金を高くしたからです。概算金とは、出荷された米に対しJAが支払う前払い金のことで、農家にとっては大きな収入源になります。ところが一昨年、米不足で他の集荷業者が概算金より高い値段を農家に払ったため、JAの集荷量が低下。今回、JAは集荷量を増やすため、概算金を通常の年の3倍ほどの価格に設定したのです。

この状況で米の市場価格が下がれば、農家に高値を払ったJAは赤字を抱えます。かと言って、農家に『概算金を払い過ぎたから返してくれ』とは言えない。農水省が大量の米を備蓄米として買い上げてくれるから、JAの在庫は減少し、次の収穫期である今年9月まで高値を続けられるのです」(同前)

年が明けたばかりだというのに、山下氏は「秋まで米価格は下がらない」と断ずる。現在の5㎏4000円超えがしばらく続くというのだ。

農水族エリートの鈴木憲和農相(43)は自身の政治生命を左右する「農村票」に気を遣い、JAの戦術をバックアップ。国による生産調整で価格を維持する減反路線を突き進んでいるのだから、国民不在もいいところだ。消費経済アナリストの渡辺広明氏は「減反はするべきではない」と憤(いきどお)る。

「鈴木農相は『需要に応じた生産を』と言いますが、人口減少によって日本の内需は落ち込むばかり。このままだと、国内に流通する米はどんどん減っていく。負のスパイラルに陥るのではなく、むしろ増産し、余った分は海外に輸出して国内の流通量を調整すればいい。減反政策などなくしてしまっていいはずです」

「おこめ券」は家計の助けになっていない

昨年11月、価格高騰への″秘策″として発表されたのが「おこめ券」だった。全国のスーパーなどで使用でき、逼迫(ひっぱく)する家計の助けとなる――という鈴木農相肝煎りの政策だったが、前出の山下氏は「値下げには効果がない」と呆れる。

「高い概算金が原因なのだから、そこに手をつけずおこめ券を配っても価格は下がらない。購買力を補填することで、高い値段のまま米が売れるだけです。JAからすれば、次の収穫期まで価格を下げずに在庫を処理できる。結局、おこめ券は困っている消費者のためではなく、JAを救済するための措置なのです」

言うまでもなく、おこめ券の配布に使われるのは我々の血税である。こんなバカげた話があるだろうか。

税込みで7000円を超える秋田県産の米。一般家庭が気軽に買える値段ではない

●2026年1月30日・2月6日合併号より