高島屋【8233】5年で2.5倍の株価が急落の理由は? トランプ関税で一時1000円割れ 業績はインバウンドで最高益、今後の見通しを探る

高島屋【8233】5年で2.5倍の株価が急落の理由は? トランプ関税で一時1000円割れ 業績はインバウンドで最高益、今後の見通しを探る
2024年の高値1500円台も、2度のショックで株価下落
高島屋の株価は2024年に急騰する場面がありました。コロナ以降の上昇トレンドのなか、当時の通期(2025年2月期)業績予想を上方修正すると、株価は同年7月に1538.5円まで買われます。
その後は同年8月の日本株の急落や、2025年4月のトランプ関税ショックなどから、1000円前後まで売られる展開もありました。現在はやや反発した1100円台で取引されています。なお、5年騰落率はプラス145.6%と、長期的には堅調です。
【高島屋の株価チャート(過去5年間)】
・株価:1145.5円(2025年5月14日終値)

出所:Tradingview
株価の上昇が続いていますが、PBR(株価純資産倍率)から見ると割安感もあります。PBRとは、株価と純資産のバランスを見る指標で、株価を1株あたり純資産で割って算出されます。
PBRは、一般に1倍を下回ると割安とされます。高島屋の場合、足元で0.73倍と、1倍を大きく割り込む水準です。
【高島屋のPBR(2025年5月14日終値)】
・1株あたり純資産(自己株式除く):1559.3円
・PBR:0.73倍
・(参考)東証プライムPBR:1.3倍(2025年4月)
※純資産は2025年2月末
※東証プライムPBRは加重平均
出所:高島屋 決算短信、日本取引所グループ その他統計資料
PBRの低さから、高島屋に注目する人もいることでしょう。今回は高島屋を取り上げ、同社の概要と業績を解説します。
創業194年の老舗、国内外で百貨店を展開 商業開発と金融にも注力
高島屋は1831年に京都で創業します。呉服商から百貨店へ業態を移し、今日まで成長してきました。国内は関西圏と首都圏を中心に17店舗、海外はシンガポールや中国、ベトナムやタイへ5店舗を展開します。歴史が深く、日本橋店(東京都中央区)や高島屋東別館(大阪府大阪市)は国の重要文化財に指定されています。
百貨店に次ぐ収益源が商業開発です。子会社の東神開発が国内でショッピングセンターを開発するほか、海外ではシンガポールやベトナムでディベロッパーとして取り組んでいます。なお、国内はオフィスやマンションといった商業施設以外の開発も事業範囲です。
高島屋は金融業にも積極的です。クレジットカードの発行のほか、投資信託や保険といった金融商品の仲介も手掛けます。2024年6月にはIFA(※)のヴァスト・キュルチュールを買収したほか、2025年3月には住信SBIネット銀行を所属とした銀行代理業を開始しました。
※IFA(Independent Financial Advisor)…独立系ファイナンシャルアドバイザー
【高島屋のセグメント情報(2025年2月期)】

出所:高島屋 決算短信
コロナ禍乗り越え最高益、インバウンドとコスト削減が結実 商業開発も貢献
次に業績です。コロナ禍以降、高島屋の利益は増勢が続いています。主力の国内百貨店がインバウンド消費の高まりを捉え、増益につながりました。またコロナ禍以降で進めてきたコスト削減も貢献しています。
2025年2月期は営業利益が前期比25.2%増、純利益が同25.0%増と大きく成長し、いずれも過去最高益を更新しました。新しく導入した事業利益(※)も、同25.8%増と大幅な成長となっています。主力の国内百貨店が好調だったほか、海外の商業開発および建装事業が収益を押し上げました。
※事業利益…営業利益+持分法投資損益+受取配当金
直近10年間の業績推移を確認しましょう。

出所:高島屋 決算短信より著者作成
なお、2023年2月期からは営業収益(売上高+その他営業収入)が大きく減少しています。これは収益認識に関する会計基準を適用したことが主因です。売上高として売上総利益(売上高-売上原価)相当額を計上するように変更したため、見かけでは大きな減収となっています。
従来の基準では、売り上げ(総額営業収益)は2025年2月期に1兆327億円に達しました。1兆円を超えるのは、2008年2月期以来17年ぶりです。売り上げを含め、コロナ以降は順調に成長しているようです。
国内百貨店に減速の兆しも増益計画 成長投資で営業益600億円を目指す
最後に業績の見通しも確認しましょう。
まず、国内百貨店は不透明な環境が続いています。日本百貨店協会によると、全国の百貨店売上高は2025年3月に2カ月連続で前年同月比マイナスとなりました。高島屋も、2024年に大きく成長した売上高が足元では鈍化の傾向がみられます。インバウンド売り上げも、今期は前期比で微減の想定です。

出所:高島屋 月次営業報告より著者作成
そんななか、高島屋は今期(2026年2月期)も増収増益を計画します。国内百貨店事業は、シンガポール店からの海外富裕層顧客の国内送客やセールなどに頼らない正規価格での売上高増大と商品利益率の向上を促進するほか、引き続きコスト削減に取り組み、増益を目指します。連結では、好調なベトナム事業の受取配当金の増大を見込むことから、特に事業利益でやや大きめの増益を見込みます。
【高島屋の業績予想(2026年2月期)】
・営業収益:5212億円(+4.6%)
・営業利益:580億円(+0.9%)
・事業利益:650億円(+2.6%)
・純利益:400億円(+1.2%)
※()は前期比
※2025年2月期時点における同社の予想
※事業利益は営業利益+持分法投資利益+受取配当
出所:高島屋 決算短信
次に翌2027年2月期の見通しです。高島屋は中期経営計画(2025年2月期~2027年2月期)において、営業利益600億円を計画しています。今期の計画比で20億円の増益となり、主に国内商業開発と海外百貨店、金融がけん引する想定です。一方、主力の国内百貨店は停滞、建装業は減益を見込みます。
【セグメント別および連結の営業利益目標】

出所:高島屋 決算説明会資料
目標の達成に向け、高島屋は3カ年で1470億円を国内外の商業開発や百貨店といった成長投資に振り向けます。ただし、成長投資は初年度(2025年2月期)で352億円にとどまります。今後はさらに投資を加速させ、収益の向上を目指します。
文/若山卓也(わかやまFPサービス)
若山 卓也/金融ライター/証券外務員1種
証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。