コメ不足を招き…ついに「増産」へ方針転換か なぜ今までできなかった? 政府が「関係閣僚会議」初会合
高騰するコメ価格を巡り、政府は5日夕、関係閣僚会議の初会合を開いた。石破茂首相が議長となり、コメ価格高騰の要因を検証し、政府備蓄米の放出効果も分析する。政府はこれまでの生産抑制から増産への転換を図ろうとしている。増産によってコメ価格の下落が期待される一方、生産農家の所得が減る可能性があり、補償の在り方などが焦点になりそうだ。
◆増産するなら「農家の経営安定策」が必要
政府がコメの安定供給に向けようやく重い腰を上げた。関係閣僚会議では、コメの価格を抑える「増産」が議論の中心になる見込みで、生産調整として事実上続いている「減反政策」から脱却できるかどうかが焦点。コメの増産は価格下落につながるため、農家の経営安定策も課題だ。

米の安定供給等実現関係閣僚会議を終え、記者団の取材に応じる小泉農相=5日、佐藤哲紀撮影
戦後の日本は現在とは違って、食料不足に対応するため、国はコメ作りをむしろ奨励していた。ただ、コメ余りが生じて、価格下落を招き零細農家を中心に経営が悪化。そこで、コメの生産量を抑えて価格を維持することで、農家の収入を安定させる政策転換が図られた。1970年代から始まった減反だ。
それ以降、政府が国民の食べるコメの量を予測し、それに見合った生産目標を決め、各都道府県に配分。コメの作付面積を減らして協力した農家には補助金を払う形で、生産量を調整した。減反の呼び名は、田んぼの面積を表す日本の単位「反」に由来する。
◆2018年に「減反」はやめたが「減産奨励」は続いた
ところが、食生活の多様化や少子高齢化の影響で、コメの需要は次第に低下。また、生産量を増やしたい農家の意欲をそぐなど減反の悪影響が鮮明となった。2018年には国が一律に生産目標を配分する制度をなくし、表面上は減反は廃止。ただ、主食用米以外の作物を栽培した農家に補助金を支給する制度は残っており、コメの減産を奨励する政策は続いた。コメの生産量は最も多かった1967年度から、2023年度はほぼ半減となった。

農林水産省出身で、キヤノングローバル戦略研究所の山下一仁氏は「減反」を止めた場合、少なくとも年間1000万トンの生産量が見込めるとし、「コメ不足を解消するには減反の廃止が必須だ」と指摘。「国内で消費しきれないコメは輸出し、不足になりそうな時には輸出量を減らして調整すれば、食料安全保障にも資する」と話す。
一方、価格が下がれば、農家の所得も減少しかねない。山下氏は「コメの生産を主業とする大規模農家には、継続的に営農できるよう、政府が減収分を直接支払って所得を補償する必要がある」とセーフティーネットの重要性を強調する。(石井紀代美、山中正義)

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