得意のパフォーマンスとそれらしく聞こえるコメントが炸裂中…小泉進次郎氏は「救世主か、ピエロか」

5月28日の委員会で笑顔を見せる小泉農相。その表情からは、迅速な備蓄米対応を成功させた自信が溢れていた
“コメ担当大臣”が次期総裁候補2位に急浮上
高笑いが止まらないのだろうか。
5月28日、衆院農林水産委員会に立った小泉進次郎農相(44)は、各野党党首からコメ価格高騰への対策について厳しい追及を受けたが、その合間には思わず笑みがこぼれる場面もあった。余裕のウラにあるのは″コメ担当大臣″としての自負だ。
「5月21日に就任して以降、『備蓄米5㎏あたり2000円』を掲げ、就任10日後となる5月末には店頭販売を実現しました。JNNが6月1日に発表した世論調査では、内閣支持率が34.6%に上昇。今年4月に発足後最低となる30.6%をつけて以降は回復に転じていますが、
『進次郎効果』はその最大の要因でしょう。JAを通さずに備蓄米の流通を実現したことには、本人も手応えを感じていると思います」(全国紙政治部記者)
5月2週目のコメの平均価格は、令和に入って過去最高値となる5㎏あたり4268円を付けていた。半額以下の備蓄米を求め、日本列島は大わらわ。販売店に早朝から1000人を超える行列ができることも、けっして珍しくなくなった。
小泉農相への支持は高まる一方だ。随意契約受け付けを始めた5月26日の前日、共同通信が発表した世論調査では、次期総裁候補2位に急浮上。自民党支持層に限れば、トップの支持を集めた。
しかし、備蓄米で必ずしもコメ価格が下落するワケではないという。「これは一時的なイベントに過ぎない」と警鐘を鳴らすのは農業経済学者の宇都宮大学・小川真如(まさゆき)助教だ。
「いくら備蓄米を放出しても、消費者にとって馴染み深い『銘柄米』の価格は高いままなんです。過去の相場から見ると、今後も4200〜6500円程度の値幅で推移していくと見ています。たとえば輸入米の活用方法などの具体策が見えていないなかでは、この高止まりは少なくとも’28年ごろまで続くと思います」
昨年度の需要量が705万トンだったことを考えると、7月までの備蓄米の総放出量61万トンはわずか8.6%ほどと一部に留(とど)まる。小泉農相は「需要があればすべて放出することも検討する」と語っているが、備蓄米だけで相場を下げることは難しい。
「スピーチのことばかり」
それでも、小泉農相が『5㎏2000円』のキャッチコピーとともに連日テレビをジャックし、備蓄米販売店を訪問して社長らと固い握手を交わす、といったパフォーマンスには期待感が漂う。
だが党内では、早くも賛否が飛び交っている。自民党のベテラン議員が語る。
「進次郎はコメ相場改善の準備や根回しより、メディア出演を優先し、スピーチの練習ばかりしていると揶揄(やゆ)されていますよ。実際、下調べが追いつかないのか委員会に持ち込む分厚い資料には、農業事業者の現状やコメの市場規模などいまだに基本的なことが書かれている。一方で今回のキャッチコピーが気に入っているのか、周りが資料を作るや『数字で、わかりやすいものを入れてくれ』と言うことが増えたそうです。
そもそも随意契約を断行できたのは、’21年の総裁選から組む財務省との関係があってこそ。正直、財務省が主導している神輿(みこし)に乗っているだけに見える。その手腕にはいまだに疑問が残ります」
7月には自民党の命運を握る参議院選挙が控える。小川助教が「備蓄米放出はコメ政策というより物価高対策のように見える。たびたび国会の議題に上る現金給付と比べ、事務手続きが不要でスピーディーですから。これで票を囲い込もうとしている」と分析するように、小泉農相の狙いもそこにあるのかもしれない。しかし、行き過ぎた放出は諸刃の剣だ。
「石破茂首相(68)は支持率アップのために進次郎を抜擢した。ただ、残る備蓄米はわずか30万トンほど。万が一には肝心の選挙期間中に5000円のコメしかない、なんてことにもなりかねない。
今回の強行突破に苦言を呈した野村哲郎元農相(81)をはじめ、多くの農水族を敵に回しています。これで選挙に貢献できなければ首相はおろか二度と要職に就けない可能性もある。真価が問われるのはこれからです」(自民党関係者)
結果を出し、救世主と呼ばれて「ポスト石破」となるのか、それとも――。すべては今後のコメ価格次第だろう。

5月末の衆議院本会議中に読み込んでいた資料の一部。農林水産業者の平均年齢や市場規模など基礎情報が並ぶ

本誌未掲載カット 【コメ担当大臣】小泉進次郎氏は救世主か、ピエロか

本誌未掲載カット 【コメ担当大臣】小泉進次郎氏は救世主か、ピエロか
『FRIDAY』2025年6月20日号より