退職金の運用で「大失敗する人たち」に共通する「絶対NGの行動パターン」とは

「5」という数字からお金と時間の関係を考える, 投資をはじめるなら「NISA」から, つみたて投資枠では「インデックス型・世界株式」から, 成長投資枠では「アクティブ型ファンド」も視野に入れよう, 50代以降が避けたほうがいい投資とは?, 退職金をリスクの高い投資に回すのはNG, 退職金を投資に回すのは目的別に管理してから

写真はイメージです。Photo:PIXTA

自分が最期を迎えるときに資産がちょうど0になるように、お金を賢く使い切る生き方が注目されています。しかし、歳を取るほど、老後の生活が不安になり、お金の心配も増すばかりでしょう。定年が見えてきた50歳から老いを迎えるまでに、やりたいことをやり尽くし、悔いのない人生を満喫するにはどうしたらいいでしょうか。※本稿は、井戸美枝『ゼロ活~お金を使い切り、豊かに生きる!~』(扶桑社)の一部を抜粋・編集したものです。

「5」という数字からお金と時間の関係を考える

「お金を増やすには必ず時間がかかる」

「お金が増えることと時間は密接に結びついている」

 この2つを理解することが、老後のお金の不安をなくす大きな一歩となります。

 

 私自身はお金と時間の関係を考えるとき、「5」という数字を意識しています。

 それぞれの単位が増えるごとに、手に入れるのにかかる時間とそのお金がもたらす効果は大きく変わっていきます。あくまで目安ではありますが、次の表を、ひとつの参考にしてみてください。

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 このように、「5」という数字を通じて自分の資産を具体的にイメージしてみると自分が目指したい「経済的な安心」がどのレベルなのか、リアルに感じられるようになります。

 もちろん大きな資産をゼロから一代で築くのはとても難しいものです。無理なく少しずつでも早めにお金と向き合っていくことが、豊かな老後の暮らしを実現する近道となるはずです。

投資をはじめるなら「NISA」から

「投資をはじめたいけれどリスクが怖い」と感じる方は、まずは積み立て投資枠を活用した「NISA」から始めましょう。

 NISAは2018年に始まった国の制度です。投資による利益には通常約20%の税金がかかりますが、NISAを活用すると利益に対して税金がかからないというメリットがあります。

 さらに、2024年から新しいNISA制度(新NISA)がスタートし、非課税保有期間が無期限になったため、生涯を通じて非課税の資産運用が可能となりました。金融商品については、金融庁の基準を満たしているものが対象です。日本で販売されている投資信託は6000本以上ありますが、その中から手数料が低く、長期に積み立て運用に向く約250本(2025年現在)に絞りこまれているのです。ですから、初めて投資をする場合でも、商品が選びやすいともいえます。

 投資額も年間の限度額が定められています。2024年から始まった新NISAでは、「つみたて投資枠」が年間120万円、成長投資枠が年間240万円と、合計最大360万円まで投資できます。

 もちろんもっと少額からでも始められますし、いつでも引き出し可能な点も魅力です。余裕のある資金の範囲内で無理のない積み立てを行えば、じっくり長く続けられるでしょう。

つみたて投資枠では「インデックス型・世界株式」から

 NISAをおすすめするとよく聞かれるのが、「NISAをするなら何を選んだらいいですか?」という質問です。そんなとき、まずは、つみたて投資枠では「インデックスファンドで、世界全体の株式に分散投資」と答えています。

 なぜ世界株式がいいのかといえば、リスク分散になるからです。

 全世界株式といえば、 eMAXISSlim(オール・カントリー)を思い浮かべる方は多いでしょう。オール・カントリーは、アメリカの企業に多く投資されており、時価総額の大きい銘柄に偏る傾向があります。そのため、アメリカ経済や市場の動向に大きく影響を受ける可能性があります。手数料も低く、世界全体の株式に投資することで分散投資できるのが特徴です。

 将来の世界経済を考えてみても、アメリカが引き続き成長するかどうかはわかりませんし、アジア諸国やほかの新興国が飛躍的に伸びる可能性もあります。

 10年後や20年後の世界経済がどうなっているかなんて、誰にもわからないでしょう。「わからない未来」への投資として、つみたて投資枠では、世界株式のインデックスファンドを選ぶのもいいと思っています。

 また、インデックスファンドは市場全体と同じ動きを目指すので、運用コストが低く、無理なく資産形成ができるという特徴があります。

成長投資枠では「アクティブ型ファンド」も視野に入れよう

「もっと積極的に運用してみたい」「応援したい会社を自分で選びたい」と思われる方には、「アクティブファンド」もひとつの選択肢になります。

 アクティブ型とは、インデックス型が特定の指数に連動することを目指す設計ですが、特定の指数を上回る運用成績を目指す投資信託が「アクティブ型」です。ファンドマネージャーは、これから成長が見こめる銘柄、本来の価値に対して割安と思える銘柄などを選び、予想がうまくいけば高いリターンが期待できます。逆に、予想がうまくいかないと元本割れもありえます。パフォーマンスが良いかどうかは、ファンドマネージャーの考えや、ファンドの特徴によって異なります。

 私は、アクティブファンドを選ぶ場合は、日本企業を対象にしたファンドを選ぶようにしています。その理由は、自分が身近に感じる企業や将来性を理解できる企業に投資したいから。また、日本の企業を支えることは、日本経済や社会の発展にも貢献できるという実感があります。

 インデックス型でも、アクティブ型を選ぶにしても、投資するときは内容をしっかり理解しておくことが不可欠です。特にアクティブ型には、複雑な内容のものもあり、確認しないまま投資するのは避けましょう。

 どんな運用方針で投資先を選んでいるか、投資先の市場や企業群に今後伸びる可能性があるか、運用成績は?「目論見書」で確認して、共感ができたり、応援したい会社が入っているかなどを見ておきましょう。全銘柄を公表しているファンドがいいですね。

 また、ファンドマネージャーの顔が見え、運用方針を説明したり、運用報告書を出しているかも大事なポイントです。

 インデックスファンドかアクティブファンド。どちらがいいかはご自身のスタイルですし、両方に投資してみるのもいいでしょう。成長投資枠も積み立てはできます。ぜひご自分に合った投資スタイルを見つけてみてくださいね。

50代以降が避けたほうがいい投資とは?

 投資の中には、シニア世代の方が慎重になったほうがいいと思われる投資があります。それは「個別の株式投資」と「不動産投資」です。

個別の株式投資は、たしかにおもしろさもありますが、毎日の値動きがどうしても気になりストレスを感じやすくなります。特に老後資金の大半をつぎこんでしまうと、株価が下がったときの心理的なプレッシャーは相当なものです。ですから、シニア世代にはあまりおすすめできません。

 もし個別株を楽しみたい場合には、あくまでも少額で、NISAの成長投資枠など利用するのもいいでしょう。

 また、アパート経営や駐車場運営といった不動産投資も注意が必要です。定期的に家賃が入る不動産投資は安定した収入源になると考えがちですが、最近は建築費の上昇でローン返済が負担になり、返済が滞ってしまう方も増えています。

 空室が出たり、入居者とのトラブルが起きたりする可能性もあったり、維持管理の費用や手間も想像以上にかかります。年齢が上がるにつれて負担が大きくなり、後悔される方も多いのが実情なのです。

 50歳以降の資産運用のコツは、「あまり無理をしない」ことです。将来の生活を安定させることが目的なので、NISAを活用して無理なく積み立てを行うこと。長期の視点で投資をし続けることが大切です。

 株式や不動産への大きな投資は避けて、「投資はコツコツ、シンプルに」じっくり資産を育てていきましょう。

退職金をリスクの高い投資に回すのはNG

 これまでたくさんの方の相談を行ってきました。最もやってはいけないことは、「退職金を全額投資に回してしまうこと」です。特にFX 、株式、理解できない複雑な投資信託などのリスクの高い金融商品に多額の資金をつぎこんでしまうことは絶対に避けていただきたいです。

 退職金は、多くの方にとって人生で一番大きなまとまったお金かもしれません。厚生労働省の「令和3年賃金事情等総合調査」によると、大企業で働いていた男性の平均退職金は約2230万4000円でした。初めて見る大金が給与口座に振りこまれた瞬間、思わず気持ちが高ぶってしまうのも無理はないですよね。まとまったお金が手元に入ると、早く何かで運用しなければ損だと考えてしまうかもしれません。まずは一呼吸置きましょう。

 ちなみに、金融機関の人々も退職金の存在を見逃しません。「一括払いで保険に入りませんか」「特別な金利を用意しましたので定期預金はいかがですか?投資信託もおすすめですよ」などと、退職の時期に勧誘の電話が次々にかかってくることも多いようです。

 預貯金口座に入った大金は、いったんは何もせず、そのまま放っておいてください。少し時間をおいて冷静さを取り戻すことが大切です。感情が舞い上がっているときに冷静な判断をするのは難しいものです。

 退職後の人生はまだまだ長く続きます。にもかかわらず、投資で退職金をすべて失ってしまったとしたら、取り返しのつかない状況になってしまうので、慎重になりましょう。

退職金を投資に回すのは目的別に管理してから

 仮に退職金で投資を検討する場合は、いくつかの注意点があります。

 まずは、退職金の全額を投資に使わず、目的別に分けて管理してください。目的ごとに口座や金融商品を分けておけば、気づかないうちに大切なお金が減ってしまうことを防ぐことができます。

 まず、ご夫婦ならば、それぞれ500万円程度を介護や医療のために確保しておくことをおすすめします。また、お子さんがいらっしゃる方であれば、子どもの結婚資金や住宅購入の支援などを考えることもあるでしょう。また、自宅のリフォーム費用なども別に分けて考えておくと安心できます。

「5」という数字からお金と時間の関係を考える, 投資をはじめるなら「NISA」から, つみたて投資枠では「インデックス型・世界株式」から, 成長投資枠では「アクティブ型ファンド」も視野に入れよう, 50代以降が避けたほうがいい投資とは?, 退職金をリスクの高い投資に回すのはNG, 退職金を投資に回すのは目的別に管理してから

『ゼロ活~お金を使い切り、豊かに生きる!~』 (扶桑社)井戸美枝 著

 それらのライフイベントに備えてまとまったお金を残しておきつつ、退職金を投資に回すように心がけてください。退職金は老後を安心して暮らすための貴重な資金です。何よりも冷静な判断が大切です。

 ゆっくりと落ち着いて計画的に自分のこれからの人生に役立つようなお金の使い方や運用方法をじっくり考えてみてくださいね。