「資産価値」を下げないための“管理の条件” あなたのマンションは大丈夫? 住民の交流が少ない、理事会の運営が独善的…

 分譲マンションに住む以上、避けて通れないのが「管理組合」だ。区分所有法(建物の区分所有等に関する法律)では、すべての購入者に管理組合への加入が義務づけられている。その目的は、エントランスやエレベーター、内廊下、駐車場、駐輪場、ゴミ置き場など共用部の適切な管理。運営は住民によって構成される役員が担う。ただ、役員の仕事は建物の維持管理や会計、住民間の調整など多岐にわたり、月に一度程度は理事会にも出席しなければいけない。負担は重く「役員になりたくない」という人は少なくない。そもそも、マンションの管理組合はなぜ必要なのか。マンションコンサルティング大手さくら事務所の山本直彌氏に聞いた。

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 最大の理由は、マンションの「資産価値」を維持し、さらに向上させていくためです。

 資産価値には、2つの軸があります。まず「流通可能性」。住んでいるマンションを将来的に売却する際、市場で高く評価されるかということです。もう一つの軸は、「居住快適性」です。マンションは衣食住の「住」の要素も備えているわけですから、暮らしていて満足かどうかというのも、広義の意味での資産価値になります。

■管理組合としての関係性が希薄

 加えて、管理会社と適切な距離感を保つためにも管理組合は重要です。管理組合も管理会社も、マンションの資産価値を維持向上し、住みやすい環境にしていきたいという思いは一緒です。そのため基本的には同じベクトルを向いています。しかし、修繕工事など対価が発生する際、管理会社に任せきりになっていると、本来必要のない高額な修繕を提案されるなど、管理組合が不利益を被る可能性があります。

 最近は、管理組合の役員をやりたくない理由に、「世代間ギャップ」をあげる人も少なくありません。実際、高齢の役員が他の役員の話を聞かなかったり、自分の価値観を押し付けたりすることなどがあります。しかし、これは年齢の問題というより、管理組合としての関係性が希薄なのが要因です。

 多くのマンションでは、住民同士の交流が少ないのが実情です。そうした中で管理組合の運営を進めていこうとすると、特定の人に依存しがちになり、熱心な人がずっと理事を続けるようになることは珍しくありません。そうなった時、その人に意見を言ったりすると対立を生むので、あまり強く言えなくなってしまうのです。

■夏祭りや餅つき大会

 資産価値の高いマンションの管理組合はダイバーシティー、つまり多様性が進んでいます。高齢の役員も若い役員もいて、開かれた運営をしています。独善的な運営に困っていたら、管理規約を変え役員を再任できる上限期間を決めるなどの対策を取ってはどうでしょう。

 管理組合の活動への積極的な参加を促すためには、マンションのコミュニティーの活性化がカギになります。例えば、マンション内で夏祭りや餅つき大会を開催することで、コミュニティーが醸成され「自分たちのマンションは自分たちで守る」という意識が育まれていきます。また、理事会も、例えば修繕積立金の引き上げを行う際は、住民向けの説明会を開催し、そのプロセスを可視化することが大切です。透明性の高い運営を行うことで、マンション管理に対する住民の関心が高まり、次は自分が役員に立候補しようという流れが期待できます。

「良質なマンション管理組合は一日にして成らず」です。日々の小さな取り組みの積み重ねこそが、信頼される管理組合を育て、マンション管理の健全化につながっていきます。

(構成/編集部・野村昌二)

「マンション管理の健全化」チェックリスト

□「資産価値」を維持し、さらに向上させようとしているか

□管理会社と適切な距離感を保っているか

□住民同士の交流があるか

□理事会は開かれた運営をしているか

□夏祭りや餅つき大会などコミュニティーの活性化に努めているか

□修繕積立金の引き上げなどを行う際、プロセスが可視化されているか

山本さんへの取材を元に編集部作成

山本直彌(やまもと・なおや)/これまでに50棟を超えるマンション管理フロント業務、500件以上の不動産仲介を経験。2025年に株式会社さくら事務所・取締役副社長COO、同年、グループ会社のらくだ不動産株式会社・取締役副社長COOに就任