周囲で「正社員でいる意味がない」という声を聞くようになりました。30代で正社員でも昇給がほぼないなら、非正規雇用に切り替えたほうがいいでしょうか?

周囲で「正社員でいる意味がない」という声を聞くようになりました。30代で正社員でも昇給がほぼないなら、非正規雇用に切り替えたほうがいいでしょうか?

30代正社員で昇給がほぼ見込めない状況であれば、非正規雇用への転向を選択肢のひとつとして考える方もいるかもしれません。しかし、正社員と非正規雇用では給与以外にも福利厚生や雇用の安定性などで違いがあります。 この記事では、それぞれの違いを比較し、後悔しないキャリア選択のためのポイントを解説します。

正社員と非正規雇用の違い

正社員と非正規雇用の大きな違いは、雇用の安定性です。正社員は基本的に定年までの雇用が見込まれており、長期的なキャリアプランが立てやすいでしょう。一方、非正規雇用の場合は契約期間があらかじめ決まっているケースが多く、更新されるかどうかも企業側の判断次第です。

給与は、正社員のほうが平均的に高く、昇給や賞与(ボーナス)も支給される傾向があります。厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査の概況」によれば、正社員・正職員の平均賃金は34万8600円、正社員・正職員以外は平均賃金23万3100円と、かなりの差があります。

ただし、産業ごとの平均と全体とを比較した場合には、その限りではありません。例えば「鉱業、採石業、砂利採取業」の場合、正社員・正職員以外の平均賃金は37万7500円です。

この金額は、同産業の正社員・正職員の平均賃金を上回っています。専門性が高く需要があるスキルを持っていれば、非正規雇用でも高収入を得られる可能性があることが分かります。

福利厚生においても、正社員のほうが手厚いケースが一般的です。社会保険や有給休暇のほか、住宅手当や家族手当などが支給されることも多く、生活面での安定に大きく影響します。

非正規雇用に切り替えるメリット・デメリット

近年、非正規雇用で働く人は増加しています。総務省統計局の「労働力調査(基本集計)2024年(令和6年)平均結果の要約」によると、2024年には非正規の職員・従業員数が2126万人に達し、働く人の約4割を占めています。

そのうち、「正規の職員・従業員の仕事がないから」非正規として働いている割合約8.5%も含まれています。しかし、自分のライフスタイルに合わせて非正規雇用を選んでいる人も少なくありません。

例えば「家庭や育児と両立したい」「自分の都合に合わせて働きたい」など、働き方の柔軟性を求めて選択するケースです。一方で、非正規雇用は契約期間が限られており、昇給や賞与、退職金がないことが多く、収入の不安定さは避けられません。

さらに、アルバイトやパートの場合、履歴書や職務経歴書で職歴として評価されにくい傾向にあり、キャリアアップを目指す場合には不利になることもあるかもしれません。

年金の額に注意

非正規雇用で働く場合、将来の年金額にも注意が必要です。非正規雇用の働き方では、一定の条件を満たさなければ厚生年金に加入できず、国民年金(基礎年金)のみとなることがあります。

厚生労働省の資料によると、平均収入50万9000円、平均厚生年金期間が39.8年ある男性の令和6年度の年金月額は約17万円ですが、平均収入36万4000円で平均厚生年金期間が7.6年しかない男性の令和6年度の年金月額は約6万1000円と、大きな差があります。

老齢厚生年金額は基本的に「どれだけ稼いだか」「どれだけ長く厚生年金に加入していたか」によって決まるため、短期間高収入であっても、長期的に見れば差がついてしまうでしょう。

また、将来に備えて企業型DC(企業型確定拠出年金)やiDeCo(個人型確定拠出年金)、NISA(少額投資非課税制度)なども積極的に活用することをおすすめします。

自分に合った働き方を見つけよう

正社員が良いのか、非正規雇用が良いのかは、収入だけで判断できる問題ではありません。ライフスタイルや将来の目標などによって、最適な働き方は異なります。

特に30代は、働いて収入を得るだけでなく、老後に向けた資産形成も意識し始める大切な時期です。目先の収入や働きやすさだけにとらわれず、長期的な視点でキャリアプランを描き、自分に合った働き方を選んでいきましょう。

出典

厚生労働省 令和6年賃金構造基本統計調査の概況 1 一般労働者の賃金 (6)雇用形態別にみた賃金(12ページ)

厚生労働省 令和7年度の年金額改定についてお知らせします 【多様なライフコースに応じた年金額】(2ページ)

総務省統計局 労働力調査(基本集計)2024年(令和6年)平均結果の要約(2ページ)

総務省統計局 労働力調査(詳細集計)2024年(令和6年)平均結果の要約(1ページ)

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

ファイナンシャルプランナー