【生活費】65歳以上無職「夫婦世帯」は平均ひと月いくらかかってる?老後のみんなのマネー事情を深堀り
- 【65歳以上】無職夫婦の「ひと月の生活費」
- 【65歳以上の無職夫婦世帯】「平均貯蓄額」はいくら?
- 世帯主が65歳以上の無職世帯の貯蓄の種類別現在高の推移(二人以上の世帯)
- 【勤労世帯も含む】65歳以上・二人以上世帯の平均貯蓄額は?
- 65歳以上の二人以上世帯の貯蓄額(平均・中央値)
- 【年金】2025年度は1.9%増額!厚生年金と国民年金のモデル年金額
- 2025年度の年金額
- 【年金】国民年金・厚生年金の平均月額はいくらか
- 国民年金(老齢基礎年金):平均年金月額
- 厚生年金(国民年金部分を含む):平均年金月額
- 【老後が変わる?】年金制度改正法が成立。私たちの暮らしにかかわるポイント
- 年金制度改正の全体像《主な見直しポイント》
- 「早めの準備」と「自分に合った方法の選択」を
【年金】厚生年金・国民年金の平均月額も解説

【生活費】65歳以上無職「夫婦世帯」は平均ひと月いくらかかってる?老後のみんなのマネー事情を深堀り
朝晩に秋の気配を感じる9月。夏の暑さが和らぎ、家計や将来について考えるにはちょうど良い季節です。
特に65歳以上のシニア世代にとって、年金収入だけで生活費をまかなうのは簡単ではありません。夫婦二人での生活に必要な費用はどれくらいか、実際に受け取れる年金額はどの程度かを把握しておくことが大切です。
物価上昇が続く現状では、老後資金の準備はますます重要になっています。本記事では、無職夫婦の平均的な生活費や年金額を詳しく解説し、安心して老後を過ごすために今からできる対策について考えていきます。
※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
【65歳以上】無職夫婦の「ひと月の生活費」
総務省統計局が2025年3月11日に公表した「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」から、65歳以上無職夫婦世帯のひと月の家計収支データをのぞいてみましょう。

65歳以上の夫婦のみの無職世帯の家計収支(2024年)
毎月の実収入:25万2818円
■うち社会保障給付(主に年金)22万5182円
毎月の支出:28万6877円
■うち消費支出:25万6521円
・食料:7万6352円
・住居:1万6432円
・光熱・水道:2万1919円
・家具・家事用品:1万2265円
・被服及び履物:5590円
・保健医療:1万8383円
・交通・通信:2万7768円
・教育:0円
・教養娯楽:2万5377円
・その他の消費支出:5万2433円
■うち非消費支出:3万356円
・直接税:1万1162円
・社会保険料:1万9171円
毎月の家計収支
・3万4058円の赤字
この世帯のひと月あたりの支出は合計28万6877円です。内訳は、税金や社会保険料などの「非消費支出」が3万356円、いわゆる生活費にあたる「消費支出」が25万6521円でした。
一方、収入は25万2818円で、その約9割(22万5182円)を公的年金などの社会保障給付が占めています。
結果として、家計収支は毎月3万4058円の赤字に。この不足分は主に貯蓄の取り崩しなどでカバーする必要があります。
この支出データには、注意しておきたい点もあります。
まず、シニア世帯は持ち家率が高いため、住居費が1万円台と低く抑えられています。また、介護費用が含まれていない点も盲点でしょう。
そのため、賃貸住宅にお住まいの場合や、健康状態に不安がある場合などは、家賃や介護費用などが上乗せされることを想定しておく必要があるでしょう。
【65歳以上の無職夫婦世帯】「平均貯蓄額」はいくら?
総務省統計局が2025年5月16日に公表した「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2024年(令和6年)平均結果の概要-」によると、2024年時点での「世帯主が65歳以上の無職世帯」の貯蓄の平均貯蓄額は、前年より+56万円増加し、2560万円となりました。
世帯主が65歳以上の無職世帯の貯蓄の種類別現在高の推移(二人以上の世帯)

出所:総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2024年(令和6年)平均結果の概要-(二人以上の世帯)」
・2019年 2218万円
・2020年 2292万円
・2021年 2342万円
・2022年 2359万円
・2023年 2504万円
・2024年 2560万円
過去5年間の推移を見ると、平均貯蓄額は2019年の2218万円から着実に増加し、右肩上がりで推移しています。
2024年の金融資産の内訳では、最も多かったのは定期性預貯金の859万円でした。次いで通貨性預貯金が801万円、有価証券(※)が501万円と続き、預貯金が貯蓄全体の約6割を占めています。
一方で、前年からの増え幅を見ると、通貨性預貯金は+47万円(6.2%増)、有価証券は+21万円(4.4%増)となっています。この結果から、預貯金だけでなく資産運用への関心も高まっている様子がうかがえます。
※ 有価証券:株式、債券、株式投資信託、公社債投資信託、貸付信託、金銭信託など(いずれも時価)
【勤労世帯も含む】65歳以上・二人以上世帯の平均貯蓄額は?
同じ資料から、有職・無職を問わず「世帯主が65歳以上・二人以上世帯」全体の貯蓄事情についても見てみましょう。

世帯主が65歳以上の世帯の現在貯蓄高階級別世帯分布(二人以上の世帯)ー2024年ー
65歳以上の二人以上世帯の貯蓄額(平均・中央値)
・平均:2509万円
・貯蓄保有世帯の中央値(※):1658万円
有職世帯を含む「世帯主が65歳以上の二人以上世帯」の平均貯蓄額は2509万円です。しかし、この数字は一部の富裕層によって引き上げられているため、より実態に近い中央値を見ると、1658万円にまで下がります。
平均値と中央値には約850万円の差があり、老後の資産形成において、世帯間に大きなばらつきがあることがわかります。
老後の貯蓄額は、現役時代からの計画的な家計管理、貯蓄習慣、資産運用、さらには退職金や相続資産など、さまざまな要因で決まります。
そのため、平均額に一喜一憂するのではなく、ご自身のライフプランに合った資金計画を立てていくことが大切です。
※貯蓄保有世帯の中央値:貯蓄が0円の世帯を除いた世帯を、貯蓄現在高の少ない方から順番に並べたときに真ん中に位置する世帯の貯蓄現在高
【年金】2025年度は1.9%増額!厚生年金と国民年金のモデル年金額
公的年金の金額は、賃金や物価の動きを踏まえ、年度ごとに見直されます。2025年度分(4月分以降)は、前年度より1.9%の増額改定となりました。
この改定率は、6月に支給された4月・5月分の年金から適用されています。
2025年度の年金額

出所:厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」
・国民年金(老齢基礎年金(満額)):6万9308円(1人分※1)
・厚生年金:23万2784円(夫婦2人分※2)
ただし上記は「年金例」に過ぎず、実際に支給される年金額は、現役時代の年金加入履歴により一人ひとり異なります。
加えて、1.9%の増額改定にはなったものの、マクロ経済スライド(※3)の発動により、実質的には目減りしている点には留意が必要です。
※1 昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金(満額1人分)は、月額6万9108円(対前年度比+1300円)です。
※2 男性の平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)45万5000円)で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準です。
※3 「公的年金被保険者(年金保険料を払う現役世代の数)の変動」と「平均余命の伸び」に基づいて設定される「スライド調整率」を用いて、その分を賃金と物価の変動がプラスとなる場合に改定率から控除するしくみ。
【年金】国民年金・厚生年金の平均月額はいくらか
ここからは、今のシニア世代がどの程度の年金を受け取っているのか、具体的なデータを見ていきましょう。

出所:厚生労働省「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成
厚生労働省「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、国民年金・厚生年金(※)の平均年金月額は以下の通りです。
※厚生年金の被保険者は第1号~第4号に区分されており、ここでは民間企業などに勤めていた人が受け取る「厚生年金保険(第1号)」(以下記事内では「厚生年金」と表記)の年金月額を紹介します。また、厚生年金の月額には国民年金(老齢基礎年金)部分が含まれています。
国民年金(老齢基礎年金):平均年金月額
〈全体〉平均年金月額:5万7584円
・〈男性〉平均年金月額:5万9965円
・〈女性〉平均年金月額:5万5777円
厚生年金(国民年金部分を含む):平均年金月額
〈全体〉平均年金月額:14万6429円
・〈男性〉平均年金月額:16万6606円
・〈女性〉平均年金月額:10万7200円
平均年金月額は、国民年金のみを受け取る場合で5万円台。厚生年金(国民年金部分を含む)を受け取る場合は、男性16万円台、女性10万円台と開きがあります。
ただし、上記はあくまで平均値。実際の受給額は、現役時代の働き方や年金加入期間により大きな個人差が出ます。
年金見込み額は「ねんきんネット」で確認できます。世帯単位で将来の年金額を把握し、それに合わせた生活設計を立てていくことが大切です。
【老後が変わる?】年金制度改正法が成立。私たちの暮らしにかかわるポイント
2025年6月13日、年金制度改正法が成立しました。働き方や家族構成などの多様化に合わせた年金制度の整備、私的年金制度の拡充などにより、老後の暮らしの安定や、所得保障機能の強化に繋げていくことが主な狙いです。
今回の改正の主な見直しポイントを整理していきましょう。
年金制度改正の全体像《主な見直しポイント》

出所:厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」
社会保険の加入対象の拡大
・短時間労働者の加入要件(賃金要件・企業規模要件)の見直し(年収「106万円の壁」撤廃へ)
在職老齢年金の見直し
・支給停止調整額「月62万円」へ大幅緩和(2025年度は月51万円)
遺族年金の見直し
・遺族厚生年金の男女差を解消
・子どもが遺族基礎年金を受給しやすくする
保険料や年金額の計算に使う賃金の上限の引き上げ
・標準報酬月額の上限を、月65万円→75万円へ段階的に引き上げ
私的年金制度
・iDeCo加入年齢の上限引き上げ(3年以内に実施)
・企業型DCの拠出限度額の拡充(3年以内に実施)
・企業年金の運用の見える化(5年以内に実施)
こうした内容からも、公的年金制度は現役世代の働き方やライフプランと深い関わりを持つことが分かります。
「早めの準備」と「自分に合った方法の選択」を
ここまで見てきたように、65歳以降は年金だけで生活を賄うのは容易ではありません。そのため、定年までにある程度の貯蓄を確保しておくことが重要です。
さらに、近年の物価上昇を踏まえると、将来的に生活費が今より高くなる可能性もあります。こうした背景から、現役世代のうちに老後資金の準備を始めることが欠かせません。
具体的な方法としては、銀行預金に加えて、資産運用を取り入れることで効率的に資産を増やす選択肢があります。大切なのは、自分に合った手法をしっかり調べ、無理のない計画を立てることです。
「早めの準備」と「自分に合った方法の選択」――この2つが、安心できる老後へのカギとなります。
参考資料
・総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2023年(令和5年)平均結果の概要」
・総務省統計局「第3 家計調査の貯蓄・負債編の見方」
・総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2024年(令和6年)平均結果の概要-(二人以上の世帯)」
・厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」
・厚生労働省「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
・厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」