イオン、ニトリ、良品計画…投資しやすく株価上昇を期待できる「株式分割銘柄8選」を実名公開
日本株が好調だ。日経平均も東証株価指数(TOPIX)も史上最高値を更新した。アノマリーとしては夏枯れのはずが、株高の夏となった。株高は素直に喜んでいいと思うところだが、過熱感も否めない。株式市場に影響を及ぼすトランプ大統領が、次にどう出てくるかもわからない。日経平均5万円なる楽観的な声も見かけるが、上がり続ける相場はないことを心のどこかで意識して投資するべきだろう。
そんななか、桶井道(おけいどん)氏は次のように言う。
「株高は歓迎しつつも、投資先はどんな銘柄でも良いわけではありません。選択が必須です。株価上昇の要因のひとつに株式分割があります。この秋は、人気銘柄も株式分割をするので、そこに注目してみるのも良いと思います」
本稿では、株式分割について、著書『 資産1.8億円+年間配当金(手取り)240万円を実現! おけいどん式「高配当株・増配株」ぐうたら投資大全 』(PHP研究所)が好評な桶井氏が解説。注目銘柄についても紹介する。
株価を上げるために企業ができること
株価は短期では、需給、つまり株を売りたい人と買いたい人のバランスで動きます。「買い」が「売り」より多ければ株価は上がり、「売り」が「買い」より多ければ株価は下がります。需給は経済指標、為替レート、国際情勢、政治的要因などに反応します。
一方で、長期で株価を動かす最大の要因は、当該企業の売上高や利益など業績です。もっとも、基本的に、企業は業績成長を追求するものです。そして、いまは東京証券取引所(東証)から、株価を意識した経営をすることを求められています。

Photo by iStock
ここで、株価を上げるために企業ができることを見ていきましょう。
(1)業績拡大
「株価を上げるために企業できること」というより「すべきこと」の1丁目1番地は業績拡大です。上述の通り、株価は長期では業績に連動するからです。売上高を上げて、利益を上げることが何より重要です。私たち投資家は、業績推移(過去の成績)、業績予想、中期経営計画の将来像などから分析すれば良いでしょう。
(2)増配
前年より配当を増やすことを増配といいます。増配は株価上昇要因になります。私もそうですが、配当金を目当てとする投資家が一定数いるからです。配当利回りだけではなく、連続増配年数や増配率(前年に対して配当が増える割合)をチェックしてみましょう。(1)と(2)を合わせて、増収(売上高が伸びること)、増益(利益が伸びること)、増配の「3増」している銘柄を探すと良いでしょう。
(3)自社株買い
自社株買いとは、企業が自社の株式を買うことです。自社株買いによって、市場に流通する株式数が減りますので、1株あたりの価値が上がります。1株あたりの価値が上がると、株価も上がります。また、「企業自身が自社の株式を買うくらい、株価はお買い得ですよ」というメッセージにもなり、株価上昇要因となります。
(4)株主優待の導入
株主優待を好む投資家が多くいますので、株主優待を導入することは、株価上昇要因になります。
(5)IR活動の強化
いくら業績予想が明るくとも、いくら新規事業が軌道に乗ろうとしていても、いくら研究開発がうまくいっていても、それを外部にアナウンスして投資家に伝えないことには意味がありません。会社の情報を正しく伝えることが大切です。社長、CEO、CFOなどトップが先頭に立って、将来像など企業の魅力を積極的に伝える姿勢は、投資家に評価されます。
(6)株式分割
株式分割をすることで、投資家が買いやすい株価にできます。たとえば、1株1万円する銘柄があったとしましょう。100株では100万円必要で、個人投資家には投資のハードルが上がります。これを株式分割で10分割すれば、1株1000円になり、100株でも10万円あれば投資できます。買いやすくなったことで、需要が増加して株価上昇の要因となります。また、「少しだけ買う」という需要も生まれ、株価にはプラスといえるでしょう。ただし、長期的には、株価は業績拡大に伴って上がるものという原則は忘れずに、増収増益していることを前提として、銘柄を選択しましょう。
株式分割が増える背景
本稿で株式分割を取り上げた理由は、株式分割が盛んだからです。株式分割が増えている理由があります。東京証券取引所は、個人投資家が投資しやすい環境を整備するために、望ましい投資単位として50万円未満という水準を明示しています。また、50万円以上で株式が売買されている場合には、事業年度経過3ヶ月以内に、50万円未満の水準へ移行するための、投資単位の引き下げに関する考え方及び方針等を開示するよう企業に義務づけています。
2025年1月に株式分割した銘柄の株価推移
次に、東証プライム市場及びスタンダード市場で、2025年1月に株式分割をした銘柄の株価推移を見てみましょう。株価は2024年12月27日(権利落ち日)→2025年8月終値、成績。
※( )内は銘柄コードです。
【プライム市場】
(1)新日本空調(1952) 株価2058円→3110円、+51.1%
(2)ワイエイシイホールディングス(6298) 株価945円→837円、下落
(3)理想科学工業(6413) 株価1639円→1206円、下落
(4)ガリレイ(6420) 株価2729円→3670円、+34.5%
(5)ユニ・チャーム(8113) 株価1306.5円→983.6円、下落
(6)京成電鉄(9009) 株価1436.5円→1361円、下落
(7)NIPPON EXPRESSホールディングス(9147) 株価2418.5円→3235円、+33.8%
(8)建設技術研究所(9621) 株価2503円→2950円、+17.9%
【スタンダード市場】
(9)日本電技(1723) 株価3380円→5270円、+55.9%
(10)STIフードホールディングス(2932) 株価1521円→1283円、下落
(11)オカムラ食品工業(2938) 株価743.67円→1189円、+59.9%
(12)新報国マテリアル(5542) 株価688円→799円、+16.1%
(13)コーユーレンティア(7081) 株価1060円→1187円、+12.0%
(14)アソインターナショナル(9340) 株価592円→726円、+22.6%
(15)京葉瓦斯(9539) 株価873円→1160円、+32.9%
(参考)TOPIX 2801.68→3075.18、+9.8%
株価上昇を勝ち、株価下落を負けとすると、10勝5敗です。株価上昇10銘柄はすべてTOPIXを上回る成績でした。
ここで、「5敗」銘柄の、業績推移および株価のトレンドを振り返りましょう。
社名、銘柄コード、7年間の業績推移(コロナ禍前も参考にするため過去7年とし、売上高、営業利益、1株あたり利益で総合的に評価)、営業利益率(3年平均)、株価のトレンド(2024年12月27日時点)の順です。
(2)ワイエイシイホールディングス(6298) ×、6%台半ば、下降トレンド
(3)理想科学工業(6413) △、7%台半ば、2024年11月をピークに下降トレンド
(5)ユニ・チャーム(8113) ○、13%台半ば(経常利益率)、下降トレンド
(6)京成電鉄(9009) △+、8%程度、2024年3月をピークに下降トレンド
(10)STIフードホールディングス(2932) ○、7%程度、2024年10月をピークに下降トレンド
「5敗」銘柄に共通することは、株式分割前から株価が下降トレンドだったということです。
負け銘柄をつかまないために
負け銘柄をつかまないためには、株式分割銘柄に飛び付くのではなく、合わせて市場やビジネスの分析、業績の分析、株価のトレンドの把握などが必要でしょう。次のように銘柄を探されてはいかがでしょうか。
(1)株式分割銘柄をスクリーニング
証券会社や株式情報を提供する会社のサイトで、簡単に見つけることができます。

Photo by iStock
(2)市場分析
その企業が事業をする市場の需要が増えるかどうか。需要が増えるところに、供給を増やすことで、企業は売上高や利益を伸ばすことができます。
(3)ビジネス分析
どんな事業をしているか。どんな製品を作っているか、どんなサービスを提供しているか。新規参入されない(されにくい)ビジネスが理想です。業界1位か2位までを選びましょう。真似されやすいビジネスには投資しないのが鉄則です。
(4)業績分析
売上高が伸び、利益が伸びているか、過去5年間以上の推移を確認しましょう。利益は、本業の利益である営業利益と1株あたり利益で確認しましょう。また、営業利益率は10%以上あれば合格ラインです。業界ごとに異なりますので、業界平均や同業他社と対比してください。
(5)株価トレンドの把握
株価が、上昇トレンドか下降トレンドかを、5年チャート、10年チャートで把握しましょう。下降トレンドの銘柄には近寄らないのが無難です。
(6)不祥事の過去がないか
過去に不祥事を起こしていないか。不祥事は一度起こすと、繰り返しがちです。その度に株価がダメージを受けます。
(7)増資の過去がないか
増資は株価下落要因となります。
株式分割銘柄をスクリーニングした後、最低限これらを分析・確認しましょう。
「株式分割」銘柄紹介
直近で、株式分割をする(した)主な銘柄をご紹介します。
※推奨ではなく紹介です。( )内は銘柄コードです。[ ]内は株式分割日(効力発生日)、分割比率です。
(1)イオン(8267)[9月1日、1:3]
小売(イオン、マックスバリュ、ミニストップ、いやげや、ダイエー)、ディベロッパー(イオンタウン、イオンモール)、金融(イオン銀行、イオンカード)、サービス(イオンファンタジー、イオンペット、未来屋書店)など約300社で構成するグループ企業の持株会社です。トランプ関税の影響を受けない内需関連銘柄として人気があります。業績は概ね増収増益で、営業利益率(3年平均、以下同様)は2%台半ばです。

Photo by Gettyimages
(2)良品計画(7453)[9月1日、1:2]
「無印良品」「MUJI」をチェーン展開しています。衣料品、家庭用品、生活雑貨、食品など幅広く扱います。イオン同様に、内需関連銘柄として人気があります。2025年8月にMSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI指数)の組み入れ銘柄に採用されました。業績は増収増益で、営業利益率は7%弱です。
(3)ニトリホールディングス(9843)[10月1日、1:5]
「お、ねだん以上。」のCMでおなじみ。家具・インテリア販売チェーンの国内大手企業です。同社は自身を「製造物流IT小売業」としています。商品企画、原材料調達、製造、物流、システム開発、販売までを一貫して、自社でプロデュースしています。従来型のビジネスモデルではそれぞれにおいて多くの企業が関わっていますが、ニトリではすべてを自社で完結することによりリーズナブルな価格を実現しています。ほかに、ショッピングモール事業やリフォーム事業もしています。業績は増収増益で、営業利益率は14%近くあります。
(4)スクウェア・エニックス・ホールディングス(9684)[10月1日、1:3]
「ドラゴンクエスト」と「ファイナルファンタジー」が2枚看板で、「スペースインベーダー」も代表作とする大手ゲームソフト会社です。業績は2022年3月期をピークに下落しています。営業利益率は10%台前半です。
(5)沖縄セルラー電話(9436)[10月1日、1:2]
KDDIの子会社で、沖縄県にて電気通信事業を行っています。沖縄県内でシェア50%超とナンバーワンです。業績は増収増益で、営業利益率は20%強です。
(6)パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(7532)[10月1日、1:5]
中核事業「ドン・キホーテ」が有名、総合ディスカウントストアの代名詞といえるでしょう。インバウンド関連銘柄として人気です。2025年6月期に、36期連続の増収・営業増益を達成しました。営業利益率は6%台半ばです。
(7)IHI(7013)[10月1日、1:7]
総合重工業メーカーで、「資源・エネルギー・環境」「社会基盤(インフラ)」「産業システム・汎用機械」「航空・宇宙・防衛」の4分野で事業を展開しています。防衛関連銘柄としても人気があります。業績は急激に上昇しています。営業利益率は3%強ですが、業績の急拡大とともに大幅に改善されつつあります。
(8)日本製鉄(5401)[10月1日、1:5]
鉄鋼メーカーで日本最大手、世界でもトップクラスです。製鉄事業を中核とし、エンジニアリング事業、ケミカル&マテリアル事業、システムソリューション事業の4つの分野を推進しています。「総合力世界No.1の鉄鋼メーカー」を目指すと言及しています。USスチールの買収計画に関連したニュースは多くの方が耳にされたと思います。チャンスかリスクか、見極めたいところです。近年、売上高は成長していますが、利益は下落傾向です。営業利益率は8%台後半です。
◆著者による関連書籍の紹介
◆免責事項
この記事では株式投資についてご紹介しましたが、あらゆる意思決定、最終判断はご自身の責任において行われますようお願い致します。ご自身の資産運用等において、損害が発生した場合、編集部ならびに筆者は一切責任を負いません。ご了承ください。