エヌビディア、オープンAIに最大1000億ドル投資へ

エヌビディア本社(8月27日、カリフォルニア州サンタクララ)

米国の「スーパーインテリジェンス(超知能)」競争をけん引する半導体大手エヌビディアと生成AI(人工知能)開発のオープンAIは22日、幅広いパートナーシップを発表した。巨大なデータセンターを構築するほか、エヌビディアがオープンAIに1000億ドル(約14兆8000億円)を投資する計画だ。

この提携により、オープンAIは次世代モデルの訓練と運用を支えるAIデータセンター向けとして、少なくとも10ギガワット(GW)規模のエヌビディア製システムを構築・展開できるようになる。10GWは米西部にある巨大なフーバーダム水力発電所の発電容量の4倍余り、あるいは800万世帯分の電力消費量に匹敵する。

今回の提携は投資範囲・規模の点から、人間の知能をしのぐ超知能の実現を目指すAIモデルの運用に大きな意味を持つ。

エヌビディアのジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)は22日、CNBCのインタビューで「巨大なプロジェクトだ」と語り、オープンAIを「史上最速の成長を遂げるソフトウエア企業」と評価した。

オープンAIのサム・アルトマンCEOはCNBCに対し、この「スーパーブレーン(超頭脳)」が生み出すものは、まだ想像さえできないような見事なものになるだろうと話した。

エヌビディアのフアンCEO

このニュースを受けてエヌビディア株は約4%上昇し、時価総額は世界最大となる約4兆5000億ドル(約665兆7800億円)に迫る。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が最初に報じたオラクルとオープンAIの3000億ドルの契約により、オラクルの時価総額は3分の1余り上昇して約1兆ドルとなった。いずれの投資も投資家がAIブームをどう捉えるかにおいて、オープンAIが中心的存在として浮上していることを浮き彫りにしている。

エヌビディアはデータセンターと電力容量を支援するため、進捗(しんちょく)に応じて段階的にオープンAIに投資する予定だ。

提携の第1段階はエヌビディアの「ベラ・ルビン(Vera Rubin)」プラットフォームを採用し、2026年後半の稼働開始を目指す。新たなパートナーシップの詳細は数週間以内にまとまる見通しだ。

エヌビディアはまだベラ・ルビンをリリースしていない。この技術は、「Grace Blackwell(グレース・ブラックウェル)」として知られる同社の現世代チップの2倍以上の性能を持つと予想されている。同社のGB300はこれまでに製造された中で最も強力な性能を有していると広く考えられており、大規模AIモデルの訓練と推論機能の両方に使用されている。

10ギガワットのコンピューティング能力を展開するという目標は、おそらく数十の新しいデータセンタークラスターを必要とし、構築には数年かかるとみられる。

オープンAIのアルトマンCEO

AIが世界に幅広い恩恵と変化をもたらすと期待する向きは多いが、そうした変化のタイミングと採用ペースは依然として不透明だ。オープンAIは、データセンターの建設、および大衆市場向けAIハードウエア機器や100億ドル規模のチップ開発のための資金調達について、ますます疑問視されている。アルトマン氏自身も先月、投資家がAIについて「過度に熱を上げている」と述べ、一部のスタートアップと投資家が「やけどを負う」との見方を示した。

エヌビディアとオープンAIの提携は、特にオープンAIが新しいコンピューティングインフラの費用をどう支払っていくのかについて、投資家の信頼を支えるのに役立つ可能性がある。3000億ドルのオラクルとの契約に加え、オープンAIはAIインフラ整備計画「スターゲート」でソフトバンクグループとも協力している。また、マイクロソフトのクラウドコンピューティング事業にとって最大級の顧客でもある。エヌビディアとオープンAIは提携の目的について、こうしたパートナー企業との既存の取り組みを補完することだと説明した。

非上場のオープンAIとそのインフラパートナーは通常、大規模な拡張事業の資金調達に使用する借り入れにはより高い金利を支払わなければならなかった。22日の契約により、そうした資本コストが大幅に引き下げられるとAIインフラ業界の幹部らはみている。