”新規則”2026年マシンの開発はなぜ難しいのか? メルセデスが解説「開発中のマシンは、毎週のように常に進化している」
2026年のF1では新たなテクニカルレギュレーションが施行され、F1マシンのシャシーとパワーユニット(PU)が大きく変わる。この新世代のマシン開発に各チームが注力しているが、大いに頭を悩ませていることだろう。
メルセデスのトラックサイド・エンジニアリング・ディレクターであるアンドリュー・ショブリンが、この2026年用マシンの開発が大変難しい理由を説明した。
2026年はマシンが一新されることもあり、プレシーズンテストは例年の1回ではなく、合計3回行なわれる予定になっている。その1回目は、バルセロナ・カタルニア・サーキットを舞台に1月26日〜30日まで、5日間の日程が組まれている。つまり、新車を走らせるまであと4ヵ月しかないというわけだ。
新車の開発は日々進んでおり、そのパフォーマンスも開発の進捗に合わせて向上しているはず。空力開発が進むことで、目標値も日々変化しているのだ。それでも各F1チームは、開発プロセスを効率化するために、来シーズン開幕時のパフォーマンスレベルをただちに予測し、それを目指して開発計画を進めていく必要がある。
2026年のような大規模、しかもF1史上最大とも言えるレギュレーション変更に合わせて開発を進めるのは、至難の業であると言える。
「マシンは毎週のように進化しており、マシンのパフォーマンスが変われば、シミュレーションの結果も変わるものだ」
ショブリンはそう説明する。
「シャシーのパッケージと、PUのパッケージを最適化する仕事は、常に変化する目標のような要素がある。そのため、複雑さが増している。今年は難しい1年になるだろう」
「シミュレータで走らせることができる、仮想マシンが存在するが、それで4ヵ月後のダウンフォースレベルを予測しようとしている。実際にサーキットを走るマシンとかけ離れたマシンで作業を行なっても、意味はないからね」
「実際に投入するマシンの、代表例となるような仮想マシンを使って作業をするべきなのだ」
PUはエンジンと電気エネルギーの出力が均等になり、空力面はグラウンド・エフェクトやDRSが排除される代わりにアクティブエアロが導入される。タイヤも幅が狭くなり、バッテリーの重量は増えるものの、車体の最低重量は今季の800kgから768kgにまで引き下げられる。
これだけの変更が行なわれるのにもかかわらず、マシン同士の激しい戦いを再現するため、最終的なPUのパラメーターは、まだ確定していないのだ。
様々な未知の要素、そして関係者が全く真実を明かさないことにより、2026年の勢力図は、開幕戦オーストラリアGPまで分らないだろう。テストでの走りを見ても、それが最終的なレース仕様とは限らないのだ。
ショブリンが言うように、これらの変数を見極め、開幕時のパフォーマンス予測値は、日々変わっている。その兆候のひとつが、フェラーリのシャルル・ルクレールが7月に、シミュレータで試した2026年型マシンのパフォーマンスは、まったく気に入らないと告白したことだ。これはおそらく、当時フェラーリはまだまだ開発サイクルの初期段階にあり、手にしていたバーチャルモデルのマシンが未熟だったということなのだろう。ウイリアムズのジェームズ・ボウルズ代表も、そう指摘した。
なお各チームは、ピレリの新タイヤ開発を手助けするため、ダウンフォースレベルを報告している。それを基に、タイヤの構造やコンパウンドが決定される。この面でも、チーム間における様々な駆け引きがあると、ショブリンは語る。
「ピレリは、ストレートエンドでのマシンの挙動について、様々な報告を受けていると言っている」
そうショブリンは言う。
「しかし我々はそれぞれのチームが、独立した状態でマシンを開発している。誰も何も見ていないし、最近は他チームからの進捗状況についても何も聞いていない。大きな違いが見られるのは、各チームがマシンを公開した後だろう」
「現実的には、他よりも良い仕事をしているチームがあるはずだし、もし良い仕事をしていてもそれを見せないようにしているチームだってあるかもしれない。自分たちが到達できると考えている将来像を提示するチームもあるだろうし、正直に自分たちの現状を示す人たちもいるはずだ」
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