70歳以上の「高額療養費」自己負担限度額はいくら?「マイナ保険証」なら窓口で自己負担限度額を超える支払いは不要に!
マイナ保険証を使う4つの大きなメリット&3つの注意点

70歳以上の「高額療養費」自己負担限度額はいくら?「マイナ保険証」なら窓口で自己負担限度額を超える支払いは不要に!
澄み切った空が広がる秋の深まりとともに、健康について改めて考える方も多いのではないでしょうか。
医療費がかさみやすい高齢期に安心をもたらすのが「高額療養費制度」です。
特に70歳以上の方は、自己負担割合が軽減されるうえ、月ごとの負担には上限額が設けられています。
さらに、マイナ保険証(マイナンバーカードと一体化した健康保険証)を活用すれば、限度額を超える支払いを病院の窓口で立て替える必要がなくなります。
本記事では、70歳以上の自己負担限度額が具体的にいくらになるのか、そしてマイナ保険証を利用するメリットについて詳しく解説します。
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高額療養費制度とは?医療費が高額になっても安心できる仕組み
高額療養費制度は、病気やけがで医療費がかさんだ場合に、自己負担額が一定の上限を超えた分を払い戻す制度です。
公的医療保険に加入していれば誰でも利用でき、年齢や所得に応じて上限が設定されています。
通常、医療機関の窓口では「医療費の1〜3割」を負担しますが、入院や手術で費用が高額になると家計に大きな負担となります。
そこで高額療養費制度を利用すれば、負担が重すぎないよう調整されるのです。
70歳未満と70歳以上の違い
70歳未満は「所得区分に応じた自己負担限度額」が適用されます。一方で70歳以上は、高齢者の生活状況に配慮し、限度額がさらに低く抑えられている点が大きな特徴です。
また、70歳以上の場合は「同じ世帯で複数の人が高額療養費の対象となったときに合算できる」「年間上限額が定められている」など、より使いやすい仕組みも整えられています。
70歳以上の自己負担限度額
以下は70歳以上の方の高額療養費制度の自己負担額を表したものです。

高額療養費制度(70歳以上)
住民税非課税世帯は、1か月あたりの自己負担上限額が一般世帯よりも大幅に低く設定されています。
70歳以上で低所得者II(住民税非課税世帯)に該当する場合、自己負担上限は外来(個人)8000円、世帯(入院・外来)2万4600円となります。(「低所得者I」の区分はさらに低くなります)
所得区分ごとに細かく設定
70歳以上では、収入に応じて自己負担限度額が上記の表のように細かく設定されています。
現役並み所得者(年収約370万円以上)
・所得に応じて「現役並みⅠ~Ⅲ」に細分化
・自己負担限度額は一般所得者より高く設定(例:80,100円+医療費に応じた1%負担など)
一般所得者(年収約156万~370万円未満)
・外来(個人単位)の上限:月1万8000円
・世帯合算(外来+入院)の上限:月5万7600円
さらに年間(8月~翌年7月)で14万4000円を超えると、超過分が払い戻される
低所得者Ⅱ(住民税非課税世帯)
・外来上限:月8000円
・世帯合算(外来+入院):月2万4600円
低所得者Ⅰ(住民税非課税世帯で特に所得が低い人)
・外来上限:月8000円
・世帯合算(外来+入院):月1万5000円
医療費負担が大幅に抑えられ、経済的に困難な人への配慮がされています。
外来と入院での扱い
70歳以上の方の自己負担限度額は、まず「外来(個人単位)の上限」が適用され、その後、入院費を含めた「世帯単位の合算上限」が適用されるという二段階の仕組みになっています。
自分の所得区分と上限額を確認しておくことが大切です。
世帯単位での合算が可能
同じ医療保険に加入している70歳以上の同一世帯員が医療を受けた場合、費用を合算できます。
例えば夫婦ともに70歳以上でそれぞれが外来に通っている場合、個人の外来上限(1.8万円)適用後、さらに世帯全体の上限(所得区分による)を超えれば、それ以上の負担は不要です。
マイナ保険証を使う4つの大きなメリット
70歳以上の方がマイナ保険証(マイナンバーカードと健康保険証の一体化)を利用することで、高額療養費制度の適用において以下の4つのメリットが得られます。
メリット① 事前の申請手続きが不要になる
従来の高額療養費制度では、「限度額適用認定証」を保険者に申請し、医療機関に提示する必要がありました。
認定証を事前に用意していなければ、一度高額の医療費を全額立て替え、後日払い戻しを受けるという流れになります。
しかしマイナ保険証を利用すれば、所得区分が自動的に確認されるため、事前に認定証を申請する手間が不要になります。
メリット② 窓口での支払いが自己負担限度額までに軽減される
マイナ保険証を提示すれば、医療機関の窓口での請求はあらかじめ自己負担限度額までに調整されます。
つまり、限度額を超える金額を一度払ってから払い戻す必要がないのです。
特に高額な入院費や手術費では、この差は大きく、家計の負担感を和らげてくれます。
メリット③ 手続きが簡単になり、心理的な安心感が得られる
高額療養費の払い戻し申請や認定証の交付には、これまで煩雑な手続きや時間がかかりました。
マイナ保険証を利用すれば、これらの手間が省けるだけでなく、窓口で「限度額を超えてしまうかもしれない」という不安がなくなるという安心感も得られます。
メリット④ 長期治療や入院が必要なケースで特に効果的
がん治療や心臓病などで長期にわたり高額な医療費が発生するケースでは、マイナ保険証のメリットが特に大きくなります。
立て替え払いを避けられることで、貯蓄を切り崩したり、親族に一時的に借りたりする必要がなくなるため、経済面だけでなく心理的な負担の軽減にもつながります。
マイナ保険証を利用する際の3つの注意点
マイナ保険証を利用すれば、自己負担限度額を超える医療費の立て替えが不要になる大きなメリットがありますが、以下の点には注意が必要です。
高額療養費制度の対象外費用は自己負担
マイナ保険証を使っても、高額療養費制度の対象外となる費用(例:差額ベッド代、食事療養費など)は、これまで通り全額自己負担となります。窓口で請求された金額の全てが限度額内で収まるわけではない点に留意が必要です。
システム上の問題で一時的に高額になる可能性
医療機関によっては、システム上の処理が遅れたり、まだ対応が十分でなかったりする場合もあります。その結果、窓口での請求が一時的に自己負担限度額を超えて高額になる可能性があります。
その際は、従来通り後日、保険者(健康保険組合など)に申請して払い戻しを受けることになります。
紙の健康保険証の原則廃止と代替措置
現在の紙の健康保険証は、2024年12月に原則廃止され、今後はマイナ保険証への切り替えが基本となります。期限を超えると紙の保険証は使用できなくなるため、その後の受診はマイナ保険証が必須となります。

マイナ保険証
【代替措置について】
・一般の方: すぐにマイナ保険証に切り替えられない人のために、「資格確認書」という代替証明書が交付されます。
・後期高齢者医療制度の加入者: 原則75歳以上が加入するこの制度でも、独自の暫定措置として、2026年7月31日までの間は全員に一律で資格確認書が交付されます。

資格確認証
今後はマイナ保険証を利用することが標準となるため、医療機関でスムーズに利用できるよう早めに切り替えておくと安心です。
まとめにかえて
70歳以上の高額療養費制度では、所得に応じて自己負担限度額が定められており、医療費が高額になっても安心です。
さらにマイナ保険証を活用すれば、限度額を超える支払いを窓口で行う必要がなくなり、負担がぐっと軽くなります。
医療費が気になる高齢期こそ、制度とマイナ保険証をうまく活用して安心の備えとしましょう。
参考資料
・厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」
・全国健康保険協会「健康保険証とマイナンバーカードの 一体化(マイナ保険証)に関する 制度説明資料」
・厚生労働省「マイナンバーカードの健康保険証利用について」
・厚生労働省「資格確認書について(マイナ保険証を使わない場合の受診方法)」