【最新の平均寿命から考える】70歳代の平均貯蓄額はいくら?老後対策はどうすればいいのか?

【最新の平均寿命から考える】70歳代の平均貯蓄額はいくら?老後対策はどうすればいいのか?
紅葉が山々を彩り始め、いよいよ秋が深まる10月となりました。同時に、この季節は年の後半に向けて、自身のキャリアや人生設計について改めて考える良い機会でもあります。
内閣府が公表した最新の高齢社会白書でも「人生100年時代」という言葉が強調されており、長寿化はすでに現実のものとなっています。
長生きは喜ばしいことですが、その分、老後の期間が延びることに伴い、お金の準備もより重要になってきます。長寿社会の到来は、私たちの働き方やお金との向き合い方を根本から変える必要性を突きつけていると言えるでしょう。
本記事で取り上げるデータは、最新の平均寿命の動向から、実際のシニア世帯の貯蓄状況、さらには年金や老後の生活費の実態まで、人生100年時代を生き抜くために知っておきたいお金の情報を網羅しています。
※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
日本人の平均寿命
厚生労働省が2025年7月25日に公表した「令和6年簡易生命表の概況」によると、最新の平均寿命は男性が81.09年、女性が87.13年でした。
※「平均寿命」とは、0歳の平均余命を指します。
男性は前年と横ばい(▲0.00年)で、女性はわずかに下回りました(▲0.01年)。また、平均寿命の男女差は6.03年で、前年より▲0.01年とわずかながら縮まっています。
過去の推移も見てみましょう。

出所:厚生労働省「令和6年簡易生命表の概況」1 主な年齢の平均余命
平均寿命の推移を追う
・昭和22年:男50.06 女53.96 男女差3.90
・昭和25-27年: 男59.57 女62.97 男女差3.40
・昭和30年: 男63.60 女67.75 男女差4.15
・昭和35年: 男65.32 女70.19 男女差4.87
・昭和40年: 男67.74 女72.92 男女差5.18
・昭和45年: 男69.31 女74.66 男女差5.35
・昭和50年: 男71.73 女76.89 男女差5.16
・昭和55年: 男73.35 女78.76 男女差5.41
・昭和60年: 男74.78 女80.48 男女差5.70
・平成2年: 男75.92 女81.90 男女差5.98
・平成7年: 男76.38 女82.85 男女差6.47
・平成12年 :男77.72 女84.60 男女差6.88
・平成17年:男78.56 女85.52 男女差6.96
・平成22年:男79.55 女86.30 男女差6.75
・平成27年 男80.75 女86.99 男女差6.24
・令和2年 男81.56 女87.71 男女差6.15
・令和3年 男81.47 女87.57 男女差6.10
・令和4年 男81.05 女87.09 男女差6.03
・令和5年 男81.09 女87.14 男女差6.05
・令和6年 男81.09 女87.13 男女差6.03
直近では横ばいであるものの、長期的に推移を追うと見ると男女ともに大きく延びており、「人生100年時代」が現実味を帯びてきたことが感じられます。
長生きは喜ばしいことですが、老後期間が長くなればその分の備えが必要です。豊かに過ごした人ほど、現役時代からの計画的な貯蓄や資産形成が大切となってくるでしょう。
なお、健康寿命は男性72.57歳、女性75.45歳となっています(2022年時点)。

厚生労働省「健康寿命の令和4年値について」
健康寿命とは、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」のことです。老後の収入補填として「働き続ける」ことを想定している人もいると思いますが、いつまで働けるかはわかりません。
「貯蓄を取り崩しながら年金生活を送る」多かれ少なかれ、いつかはこのフェーズに入っていくものとして、計画的な貯蓄や年金への理解が欠かせないでしょう。
【70歳代・二人の老後】貯蓄の平均と中央値はどのくらい?
J-FLEC 金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査(2024年)」をもとに、70歳代・二人以上世帯の貯蓄額(金融資産を保有していない世帯を含む)を確認していきましょう。
※貯蓄額には、日常的な出し入れ・引落しに備えている普通預金残高は含まれません。

70歳代の貯蓄額
70歳代・二人以上世帯の平均貯蓄額は1923万円でした。「老後2000万円問題」なども話題になりましたが、ある程度まとまった金額が保有できている印象です。
ただし、これは一部の高額な貯蓄を持つ層が平均値を大きく引き上げているため、実態としてはもう少し低いと考えられます。
実際に中央値で見てみると、貯蓄額は800万円まで下がりました。
世帯ごとの貯蓄額分布は、以下のとおりです。
・金融資産非保有:20.8%
・100万円未満:5.4%
・100~200万円未満:4.9%
・200~300万円未満:3.4%
・300~400万円未満:3.7%
・400~500万円未満:2.3%
・500~700万円未満:4.9%
・700~1000万円未満:6.4%
・1000~1500万円未満:10.2%
・1500~2000万円未満:6.6%
・2000~3000万円未満:8.9%
・3000万円以上:19.0%
・無回答:3.5%
最も多いのは、金融資産を全く持たない「貯蓄ゼロ」の世帯で、全体の2割以上(20.8%)を占めています。一方で、3000万円以上の貯蓄を持つ世帯も約2割(19.0%)存在し、大きな開きがあることが分かります。
70歳代の世帯の貯蓄額が世帯の状況によって異なる要因として、定年退職金や相続金の有無、健康状態による支出の違いなどが考えられます。しかし、現役時代のうちにどれだけ準備できてたかという差もあるでしょう。
貯蓄額が十分でない世帯にとっては、年金収入だけで生活を維持することが難しい場合も考えられます。
それぞれの世帯の状況に合わせて、早めに生活設計を見直すことをおすすめします。
厚生年金と国民年金の平均額はいくらか?
ここからは、厚生労働省年金局の「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」より、厚生年金・国民年金の平均年金月額を確認しましょう。
厚生年金の平均月額

《2024年12月公表:最新版》厚生年金「平均年金月額&月額階級別受給権者」
厚生年金の被保険者は第1号~第4号に区分されており、ここでは民間企業などに勤めていた人が受け取る「厚生年金保険(第1号)」(以下記事内では「厚生年金」と表記)の年金月額を紹介します。
なお、記事内で紹介する厚生年金月額には国民年金の月額部分も含まれています。
・〈全体〉平均年金月額:14万6429円
・〈男性〉平均年金月額:16万6606円
・〈女性〉平均年金月額:10万7200円
国民年金の平均月額
次は、厚生年金の加入期間がなかった人が受け取る国民年金(老齢基礎年金)の月額についても見ていきます。

《2024年12月公表:最新版》国民年金「平均年金月額&月額階級別受給権者」
・〈全体〉平均年金月額:5万7584円
・〈男性〉平均年金月額:5万9965円
・〈女性〉平均年金月額:5万5777円
なお、厚生労働省が公表するモデル夫婦(会社員だった夫と専業主婦だった妻)の場合、合計の年金月額は約23万円となっています。
月額約23万円の年金収入で、シニア夫婦の生活費が賄えるのか気になるところでしょう。
老後の生活費はどれくらい?
総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」によると、すでにリタイア済みの高齢夫婦の家計収支は平均で次のようになっています。

65歳以上の夫婦のみの無職世帯の家計収支(2024年)
収入平均は25万2818円
・うち社会保障給付(主に年金):22万5182円
支出平均は28万6877円
・うち消費支出:25万6521円
・うち非消費支出:3万356円
※非消費支出とは、直接税1万1162円と社会保険料1万9171円
家計収支は平均で3万4058円の赤字
・ひと月の赤字:3万4058円
65歳以上の夫婦の家計状況を詳しく見ていくと、毎月の収入は25万2818円の一方で支出合計は28万6877円です。
支出の内訳を見てみると、食費や住居費、光熱費など日々の生活に必要な消費支出が25万6521円、税金や社会保険料などの非消費支出が3万356円でした。
「月に28万円も使わない」と感じた方もいるでしょう。家庭の状況はそれぞれ異なるので、「我が家の場合」で考えることが重要です。
ただし、エンゲル係数が29.8%とやや高めである点に注目しましょう。
エンゲル係数は、家計の消費支出に占める食費の割合を示すもので、一般的にこの数値が高いほど生活水準が低い傾向にあるとされています。65歳以上の夫婦の場合、食費が生活費の中で比較的大きな割合を占めていますね。
子どもたちが巣立てば食費は下がると考えがちですが、
・料理の回数が減って外食や総菜の利用が増える
・宅食を利用する
・ミールキットの利用が増える
などにより、食費が増えることはめずらしくありません。思った以上に生活の質を下げるのは難しく、現役時代の生活費が続くこともあるのです。
さらに、平均消費性向が115.3%と100%を超えており、収入に対して支出が多い状態、つまり赤字になっていることもわかります。
年金生活になると、現役時代のような安定した収入が見込めなくなることが多いため、このような毎月の赤字は、長期的に見ると貯蓄残高を減少させてしまいます。
まとめにかえて
本記事では、シニア世代のお金事情についてお話していきました。
70歳代の家計は年金が主な収入源となっており、不足分は貯蓄を取り崩している世帯が多く存在します。老後を迎えた時に貯蓄額が不足していると、生活レベルを落とさなければいけなくなります。
そういった状況を避けるためにも、現役時代から老後へ向けた準備をする必要があります。
また、今後さらなる物価上昇や医療費・介護費の増加も考えると、今まで以上に支出は圧迫される可能性があります。
ご自身に合った方法で準備をしていくことが、老後生活を豊かに過ごす鍵となってくるでしょう。
参考資料
・厚生労働省「健康寿命の令和4年値について」
・厚生労働省「令和5年簡易生命表の概況」
・J-FLEC 金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査(2024年)」
・厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
・総務省「家計調査報告 家計収支編 2023年(令和5年)平均結果の概要」
・厚生労働省「令和6年簡易生命表の概況」1 主な年齢の平均余命