老齢年金は「確定申告」しなくてもOKなの?確定申告の「要・不要」、面倒だけど「した方が得」なケースも!
年金生活者も確認を!確定申告すべきケースを解説

老齢年金は「確定申告」しなくてもOKなの?確定申告の「要・不要」、面倒だけど「した方が得」なケースも!
「年金だけの収入なら確定申告はいらない」と思っている方も多いのではないでしょうか。しかし、すべての人に当てはまるわけではありません。
公的年金は一定の条件を満たせば申告不要ですが、年金以外の所得がある場合や控除を受けたい場合には、確定申告をした方が得になることもあります。
この記事では、老齢年金受給者が確定申告を「しなくてもいい人」「するべき人」の違いと、申告で得をするケースをわかりやすく紹介します。
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年金を受け取っている人の「確定申告不要」基準とは
公的年金(老齢基礎年金・老齢厚生年金・共済年金など)は、あらかじめ所得税が源泉徴収されています。そのため、ほとんどの年金受給者は確定申告をする必要がありません。

確定申告
確定申告が不要となる基準は、次の2つを満たす場合です。
・公的年金等の収入金額が400万円以下
・年金以外の所得(給与、事業、副業、不動産、株式の譲渡など)が20万円以下
たとえば、公的年金が年間200万円で、他にパート収入が月1万円(年間12万円)ある場合は、上記の条件に該当するため確定申告は不要です。
この範囲内であれば、年金から自動的に源泉徴収される所得税で納税が完結しており、税務署へ申告する必要はありません。
ただし、住民税の申告については自治体により扱いが異なる場合があります。確定申告不要の人でも、市区町村から住民税申告を求められることがあるため、通知書などで確認しておくと安心です。
家族と生計を一にしている場合の注意点とメリット
確定申告では、「生計を一にしている家族」がいる場合、所得や控除を家族間で合算したり、代表者がまとめて申告したりできるケースがあります。
特に年金受給世帯では、配偶者や子どもと同居している場合に、申告方法を工夫することで税負担を軽減できることがあります。
「生計を一にしている」とは?
税法上の「生計を一にしている」とは、同じ家に住み、生活費や家計を共同でやりくりしている状態を指します。
別居していても、仕送りや生活費の援助があり、経済的につながりがある場合は「生計を一にしている」と認められることもあります。
配偶者控除・扶養控除が使える
夫婦ともに年金を受け取っている場合でも、どちらかの所得が48万円以下(年金収入で約158万円以下)であれば、「配偶者控除」や「配偶者特別控除」を受けることができます。
これにより、もう一方の納税者(夫または妻)の課税所得を減らし、所得税・住民税の負担を軽くすることが可能です。
また、同居している子どもや孫を扶養している場合、所得要件を満たせば「扶養控除」を適用できることもあります。
年金暮らしの世帯では、この控除があるかどうかで税額が数万円単位で変わることもあります。
医療費は家族分を合算できる
医療費控除を利用する場合、生計を一にする家族全員の医療費をまとめて申告することができます。
たとえば夫婦や親子が同じ家計で暮らしており、それぞれが通院や薬代を支払っている場合は、全員分を合計して1人の名義で申告可能です。
医療費の合計額が10万円(または所得の5%)を超えると控除対象になるため、家族全体で合算した方が有利になるケースが多いでしょう。
控除の適用には領収書や証明書が必要
家族分をまとめて申告する際には、医療費の領収書や保険料の控除証明書などをそれぞれ一人分として整理しておくことが重要です。
マイナンバーカードを利用したe-Tax申告を行えば、医療費や保険料情報の一部は自動で入力されるため、負担を減らしつつ申告をスムーズに行えます。
申告が「必要」になるのはこんな人
以下のいずれかに該当する場合は、確定申告を行う必要があります。
年金以外の所得が20万円を超える
パート収入、家賃収入、株式や投資信託の売却益、副業収入などがある方は、確定申告を行う必要があります。
・パート・アルバイト収入:例えば、年金受給者がパートで働いて年間20万円以上の給与を得た場合。
・不動産収入:賃貸物件の家賃収入(必要経費を差し引いた額)が20万円を超える場合。例として、年間30万円の家賃収入がある場合、経費(管理費や修繕費など)を差し引いた「所得」が20万円を超えると申告が必要です。
・株式や投資信託の売却益:特定口座(源泉徴収あり)を使用していない場合や、譲渡益が20万円を超える場合。
・副業収入:フリーランスやネットビジネス(例:ハンドメイド商品の販売、ブログ収入など)で得た所得が20万円を超える場合。
注意点として、収入が20万円を超えても経費が多くて所得が20万円以下であれば申告は不要となります。
また、源泉徴収がされている場合でも、年金以外の所得が20万円を超えると、確定申告で全体の税金を再計算する必要があります。
公的年金の年間支給額が400万円を超える
公的年金(厚生年金、国民年金、共済年金など)の年間支給額が400万円を超える場合、源泉徴収だけでは税金の計算が不十分なため、確定申告が必要です。
公的年金には「公的年金等控除」が適用され、年齢や年金額に応じて一定額が控除されますが、400万円を超えると課税対象となる所得が増え、申告が必要になります。
2カ所以上の機関から年金を受け取っている
複数の年金(例:厚生年金+共済年金、企業年金+国民年金など)を受給している場合、源泉徴収が各年金ごとに個別に行われるため、全体の税額が正しく計算されない可能性があります。
そのため、確定申告で総所得を合算し、正確な税金を計算する必要があります。
特に、複数の年金を受け取る場合、それぞれの年金で源泉徴収された税額が、実際の課税所得に基づく税額と異なることが多いです。
医療費控除・寄附金控除・雑損控除などを受けたい場合
控除を受けたい場合(例:医療費が年間10万円を超えた、ふるさと納税を行った)も、申告しなければ税金の軽減が反映されません。
こちらは「した方が得になる」というケースなので、必須ではありません。
次の章で詳しく説明していきます。
「した方が得」になるケースもある
確定申告が義務ではない人でも、あえて申告することで税金が戻る(還付を受ける)ケースがあります。代表的なものは次のとおりです。
・医療費控除:年間10万円(または所得の5%)を超える医療費を支払った場合
・生命保険料控除・地震保険料控除:保険料を支払っている場合
・社会保険料控除:国民年金保険料や国民健康保険料を自分で払っている場合
・寄附金控除(ふるさと納税など):寄附金の一部が税金から差し引かれる
医療費が多かった年やふるさと納税を行った年に確定申告をすれば、すでに天引きされている所得税の一部が還付金として戻る可能性があります。

医療費控除
特に年金受給者は源泉徴収によって税金が引かれたままになっているケースが多いため、「申告不要」と思っていても、実際には申告することで得をすることが少なくありません。
年金からも「源泉徴収」されていることに注意
老齢基礎年金や老齢厚生年金などの公的年金は、支給時にすでに所得税が源泉徴収された状態で振り込まれます。
つまり、給与と同じように税金があらかじめ差し引かれているため、多くの受給者は確定申告をしなくても納税が完了している仕組みです。
年金受給者には毎年1月ごろ、「公的年金等の源泉徴収票」が日本年金機構から送付されます。

令和6年分 公的年金等の源泉徴収票のイメージ
この書類には、
・年金の支給総額
・所得税の源泉徴収額
・控除対象額(社会保険料控除・扶養控除など)
といった情報が記載されています。
この書類は確定申告を行う際に最も重要な証明書類となるため、紛失しないよう保管が必要です。
また、医療費控除や生命保険料控除などを受けたい場合は、この源泉徴収票をもとに申告手続きを行えば、すでに引かれていた税金の一部が還付される可能性もあります。
年金以外の収入がある人は要チェック
公的年金以外に、パート・アルバイト・不動産収入・株式の売却益・年金以外の副収入がある場合は、それぞれ「その他の所得」として扱われます。
これらの合計額が年間20万円を超えると、原則として確定申告が必要です。
例えば次のようなケースは要注意です。
・退職後に週数回だけ働いているが、年間給与が25万円ある
・アパートや駐車場を貸して家賃収入を得ている
・投資信託の分配金や株式の売却益を受け取った
・ネットオークションやフリマアプリで継続的に販売している
少額の副収入でも、複数の収入源を合計すると20万円を超えることがあり、申告漏れになるケースが見られます。
特に近年はマイナンバー制度によって取引が自動的に把握されるため、「少しだから申告しなくても大丈夫」と考えるのはリスクです。
申告は「面倒」でも、今は簡単にできる
確定申告というと「手続きが難しい」「税務署が混む」といった印象がありますが、近年は電子申告(e-Tax)の普及によって大きく変わっています。
マイナンバーカードを持っていれば、税務署に行かなくてもスマートフォンやパソコンから申告可能です。
国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を使えば、質問に答える形式で自動的に計算され、入力ミスを防げます。

確定申告書作成画面(年金収入の方)のイメージ
また、還付申告の場合は1月から提出可能で、還付金は申告からおおむね1か月以内に指定口座へ振込されます。
申告が不要な人でも、医療費控除やふるさと納税などを活用したい場合は、電子申告で簡単に還付を受け取れるため、「面倒だからやらない」と思わず、積極的に利用するのが賢明です。
まとめにかえて:年金生活者こそ、「申告で損をしない」意識を
老齢年金を受け取っている人の多くは、確定申告をしなくても問題ありません。しかし、医療費控除や寄付金控除など、申告によって税金が戻るケースもあります。
また、年金以外の所得がある人は申告義務が発生することも。
「自分はどうか」を毎年きちんと確認し、必要なら確実に申告しておくことが大切です。 年金生活でも、税金を正しく理解し、無駄のない家計管理を心がけましょう。
参考資料
・国税庁「医療費控除を受ける方へ」
・政府広報オンライン「ご存じですか?年金受給者の確定申告不要制度」
・国税庁「確定申告書作成コーナー」
・国税庁「公的年金等の課税関係」
・国税庁「マイホームの取得等と所得税の税額控除」
・国税庁「災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除)」
・日本年金機構「令和6年分 公的年金等の源泉徴収票」