【西鉄バス】高卒で入社→運転士デビュー 難所の交差点を無事に曲がれるか 特集【キャッチ】

特集「キャッチ」です。ドライバーの時間外労働が制限されることによる2024年問題や運転士不足で、全国的にも路線の廃止や減便が相次ぐバス業界。西鉄では10年前から、長期的に運転士を確保するため高卒人材の育成に取り組んでいます。高校卒業から3年、21歳の運転士のデビューまでの道のりを追いました。

石川さん FBS福岡放送

17日、西鉄に新人バス運転士が誕生しました。福岡市出身の石川峻士さん(21)です。

■新人運転士・石川峻士さん

「自分が目標にしてきた運転士。」

記念すべきデビュー運行は、朝の通勤通学の時間帯です。お客さんの“一日”を預かり、バスを走らせます。

■石川さん

「ありがとうございました。ありがとうございました。」

新生活が始まるこの季節、若き運転士が新たな一歩を踏み出しました。

路上教習 FBS福岡放送

■石川さん

「気をつけ、礼、お願いします。」

ことし1月、石川さんは指導員の付き添いのもと、路上教習に臨んでいました。

■指導員

「ちょっと緊張しているんじゃないの?思いっきりさがないよ。」

公道は、人や車の飛び出しなど常に緊張と隣り合わせです。教習では安全確認の手順を体に染み込ませるため、目で確認したことをすべて言語化していきます。

■石川さん

「自転車注意。」

■指導員

「自転車注意。」

■石川さん

「歩行者よし。」

■指導員

「歩行者よし。」

運行に必要な車内アナウンスですが。

■石川さん

「ご乗車ありがとうございます。このバスは昭和通り経由・・・天神行きです。常に気を全体に使わないといけないので、結構疲れます。」

入社当時 FBS福岡放送

西鉄は慢性的な運転士不足に悩まされています。ことしはその影響で、全176路線のうち34路線が減便・廃止となりました。

長く働いてもらえる若い運転士を確保するため、西鉄が10年前に始めたのが、運転士になりたい高校卒業者を対象とする「養成自動車運転士」の採用です。

■西鉄 人財戦略担当・古賀純也さん

「高校生の採用が劇的な運転士不足解消につながるとまでは考えていないのですが、高齢化と運転士不足のどちらも一気に解決する手段としては、非常に意義があると思います。」

石川さんは3年前、「養成自動車運転士」として入社した1人です。西鉄の運転士を目指したのには、ある理由があります。

■石川さん

「ずっと福岡で育ってきて、西鉄バスを利用していた。その時に運転士に優しくしてもらい、西鉄バスの運転士になりたいと思いました。」

入社後は福岡市・天神のバスターミナルで接客スキルを磨き、並行して大型二種免許を取得。去年8月から、本格的にバスの運転教習を始めました。

実際の運行ルートで教習 FBS福岡放送

石川さんはこの日、訪れたのは、配属先となった福岡市東区のアイランドシティ自動車営業所です。西鉄のバス運転士の平均年齢は51.8歳で、石川さんのような若い人材は職場の雰囲気を明るくさせるといいます。

早く営業所の戦力にと、教習は続きます。実際の運行ルートを走り、路線やバス停を頭に叩き込みます。

■運転歴 約30年・深迫大輔さん

「クラッチ操作が雑になりよる。優しくつないであげて。加速していこう、加速していこう、流れに乗っていくよ。」

道路状況に応じた適切な判断も求められます。

■石川さん

「道は覚えられるのですが、バス停の名前や順番がごちゃごちゃになるので、自分で勉強して覚えられるようにしていきます。」

車線をふさぐ可能性 FBS福岡放送

この日は、ベテラン運転士でも避けたがる「難所」と呼ばれる場所へ向かいました。福岡市東区にある和白のバス停です。バス停を通過後、次の信号を右折する場合は、およそ50メートルの間に第1車線から第3車線に一気に移行しなければなりません。

交通量も多く発進のタイミングが求められ、もしスムーズに車線変更できなければ、バスがすべての車線を塞ぐことになります。

難所を走行 FBS福岡放送

■深迫さん

「3車線目、詰まっているね。2車線目を塞ぐことになるので待機。よし、右後方、大丈夫ね?少し動く、少し動く。自分が右に入りますというのを、後ろの車に教えながら入っていくよ。信号につかまると思うけん止まろうか。よっしゃ。」

デビューへ向け、教習はみっちり2か月以上続きました。

運行前の点検 FBS福岡放送

迎えたデビュー当日。

■石川さん

「ちょっと緊張しています。」

運行前の点検からすべて、石川さん一人で行います。記念すべき第一便は、福岡市東区の照葉から大濠公園へ向かう路線です。

■先輩運転士

「いつからデビューしたと。」

■石川さん

「きょうです。」

■先輩運転士

「全てが自分に責任がかかってきますからですね。いろいろあるったい。1人になったら。車の故障とか不具合が出たら全部、対処せないかんけんね。デビューの缶コーヒーを買ってあげようか。」

■石川さん

「ありがとうございます。」

■先輩

「気をつけて行かなんよ。」

状況を把握してアナウンス FBS福岡放送

そして、最初のバス停に向かいます。

■石川さん

「香椎浜南公園、白浜団地、都市高速天神経由、大濠公園行きです。」

すぐに車内は、通勤や通学のお客さんでいっぱいになりました。

■石川さん

「このバスは、名島公園を1分遅れで発車しています。この先の道路状況などによりましては、遅れる場合がございます。ご了承ください。」

冷静に状況を把握し、お客さんにさりげない心配りをみせます。

■石川さん

「ありがとうございました。ありがとうございました。」

ほぼ遅れなく、無事にお客さんを目的地へ送り届けました。

■乗客

「アナウンスが親切でした。特に高速道路。」

■石川さん

「激しい渋滞などなく、思うように行けてよかったです。この運転士に乗ってよかったと思ってもらえるように頑張ります。」

人手不足が進むバス業界。地域の足を支える新たな担い手が走り出しました。西鉄では、高卒の養成自動車運転士の採用を始めて、これまでに石川さんを含めて18人がデビューしていて、ことしも4人が入社したということです。

※FBS福岡放送めんたいワイド2025年4月23日午後5時すぎ放送