配当収入、売却益、株主優待…株式投資の3つのメリット、最も重視しているのは? 3600人の年代別・投資傾向が明らかに

約半数が「長期保有しつつ値上がり益で売却」, 「株主優待」重視が最も高いのは70代以上, 株式の平均保有期間は約5年, 「3カ月未満」の短期保有が最も多いのは30代以下, 日本の個人投資家は堅実な長期投資志向

配当収入、売却益、株主優待…株式投資の3つのメリット、最も重視しているのは? 3600人の年代別・投資傾向が明らかに

個人投資家5000人を対象に金融資産の運用状況やNISAなどの利用状況、さらに年収や保有資産額などまで幅広く質問した「個人投資家の証券投資に関する意識調査報告書」(日本証券業協会)が2025年9月に発表された。調査では株式投資についても質問をしており、個人投資家の投資方針や平均保有期間などが詳らかになっている。長期保有でじっくり取り組んでいるのか、配当や株主優待を重視しているのか。

約半数が「長期保有しつつ値上がり益で売却」

調査では、「有価証券の投資方針について、最も当てはまるものを教えてください」と尋ねている。そのうち株式については、「概ね長期保有だが、ある程度値上がり益があれば売却する」という回答が49.0%と約半数を占めている。

株式の投資方針(株式保有者)

約半数が「長期保有しつつ値上がり益で売却」, 「株主優待」重視が最も高いのは70代以上, 株式の平均保有期間は約5年, 「3カ月未満」の短期保有が最も多いのは30代以下, 日本の個人投資家は堅実な長期投資志向

出所:「個人投資家の証券投資に関する意識調査報告書」(日本証券業協会)

前回調査とほぼ同様の傾向で、多くの人が長期保有を基本としながらも適切なタイミングでの売却を視野に入れていることが分かる。

次に多かったのは「配当・分配金・利子を重視している(配当等の状況によっては売却する)」で21.4%。さらに「株主優待を重視している」という声も10.6%あり、両者を合計すると3割以上の投資家がインカムゲインや株主優待といった継続的なリターンを重視していることが明らかになった。

なお、選択は単一回答であるため、回答者は最も重視している点を1つ挙げたことになる。そのため、配当や株主優待との答えも長期保有に含まれると考えると、約8割が長期投資を目指していると判断できそうだ。

一方、「値上がり益重視であり、短期間に売却する」という短期売買志向の回答は10.6%。株主優待の重視と同率となっている。「特に決めていない」という投資方針が明確でない層も8.1%いる。

●前編「【個人投資家3600人の株式保有額ランキング】調査が明かす株式投資のリアル「主流はいくらか?」」

「株主優待」重視が最も高いのは70代以上

投資方針を年代別に見ると特徴的な傾向が浮かび上がる。まず「概ね長期保有だが、ある程度値上がり益があれば売却する」という方針は40代で最も高く53.2%、次いで60〜64歳が51.6%となっている。キャピタルゲインを狙って、計画的にある程度の株価水準を定めて利益確定を行っているのかもしれない。一方、70代以上では44.2%と他の年代と比較して低い。

なお70代以上では「配当・分配金・利子を重視している」との回答が25.3%と他の年代よりも高く、「株主優待を重視している」も12.4%と同様に高い。70代は多くが現役を退いた環境にあるだろう。キャピタルゲインよりも定期的な収入源としてインカムゲインを重視する傾向があるのは想像に難くなく、データでも示された格好だ。

また若い層の特徴としては、30代以下で「値上がり益重視であり、短期間に売却する」が14.6%と他の年代よりも高くなっている。年代的にリスクを取りやすく、短期的な利益を求める傾向があることが反映されているようだ。

株式の平均保有期間は約5年

株式の平均保有期間については、「10年以上」保有していると答えた投資家が28.1%と最も多く、長期保有志向が強いことが分かった。次いで「1年〜3年未満」が18.3%、「3年〜5年未満」が17.8%と続く。

株式の平均保有期間(株式保有者)

約半数が「長期保有しつつ値上がり益で売却」, 「株主優待」重視が最も高いのは70代以上, 株式の平均保有期間は約5年, 「3カ月未満」の短期保有が最も多いのは30代以下, 日本の個人投資家は堅実な長期投資志向

出所:「個人投資家の証券投資に関する意識調査報告書」(日本証券業協会)

なお、5年以上を合計すると45.7%。過半数近くが5年以上の長期投資の傾向にあるといえそうだ。

また、保有期間3年未満の合計は36.4%と約3分の1。調査ではいつから証券投資を行っているかについても聞いており、結果は「02年以前」が27.7%と最も多かった。つまり投資歴20年以上のベテランは3割ほど。一方で、直近3年以内(23年以降)に始めた人は14.4%。なお、覚えていないという人も10.4%いた。

平均の保有期間は62.4カ月、つまり約5年2カ月となっており、前回調査と同程度だった。この結果から日本の個人投資家の平均的な姿として、5年以上という比較的長期の視点で株式投資を行っているといえそうだ。

「3カ月未満」の短期保有が最も多いのは30代以下

保有期間を年代別に見ると、年代が高くなるほど保有期間が長くなる傾向にある。30代以下の平均保有期間は40.4カ月(約3年4カ月)だが、60〜64歳は74.8カ月(約6年2カ月)、70代以上は72.8カ月(約6年1カ月)となっている。

特に、保有期間が10年以上の割合は年代による違いが顕著だ。40代では17.7%にとどまるのに対し、60〜64歳では40.4%、65〜69歳では32.4%、70代以上では37.1%となっている。興味深いのは60〜64歳が以降の年代よりも高い点だ。65歳以上では、老後生活の資金にあてるため売却する人が増えるのかもしれない。

若い世代ほど投資年数がまだ短い人が多いため、相対的に他の年代より保有期間が短い傾向にあることは明白だ。しかし、それ以上に若い年代ではより短期間での売買傾向があるようだ。30代以下の保有期間を見ると、「2日〜1カ月未満」が4.6%、「1カ月〜3カ月未満」が6.9%と、他の年代より高い。

日本の個人投資家は堅実な長期投資志向

調査結果から、全体的に「長期保有しつつも適切なタイミングで売却する」という堅実な投資スタイルの人が多いことが分かる。特に配当や株主優待を最重視する層が合わせて3割以上いることは、単に株価の上昇を狙うだけでなく、継続的なリターンを重視したり、優待を楽しみに投資を行ったりしている層の厚さがうかがえる。また、平均保有期間が5年を超えていることからも長期的な資産形成を目的に株式投資をしている人が多いといえそうだ。

調査概要 調査名:「個人投資家の証券投資に関する意識調査」 調査主体:日本証券業協会 調査報告書公表:2025年9月 調査実施期間:2025年4月15日~19日 調査対象:日本全国の 18 歳以上の有価証券保有者 5000 人

Finasee編集部

「一億総資産形成時代、選択肢の多い老後を皆様に」をミッションに掲げるwebメディア。40~50代の資産形成層を主なターゲットとし、投資信託などの金融商品から、NISAや確定拠出年金といった制度、さらには金融業界の深掘り記事まで、多様化し、深化する資産形成・管理ニーズに合わせた記事を制作・編集している。

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