日本医師連盟から自民に5億円…維新議員の追及を「怒号」がかき消した 医療のムダ削減阻むものとは

〈医療の値段・第8部 改革の行方〉①

 医療費削減で現役世代の保険料引き下げを目指す維新が政権に入り、医療制度改革の議論が活発になっている。高市政権は党の有力支持団体とのしがらみにとらわれず医療費のムダを削れるのか。改革の行方を探る。(杉谷剛が担当します)

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◆「既得権団体とのしがらみがあるんじゃないか」

 今年3月、国会近くの衆議院第2議員会館会議室。自民、公明、日本維新の会の3党の幹部らが社会保障改革を話し合う初の実務者協議でのことだった。

 「既得権を持つ団体とのしがらみがあるんじゃないですか」。維新幹事長(当時)の岩谷良平は1枚のチャート図を出席者に配った。自民は元厚生労働相の田村憲久と後藤茂之らが、公明は医師出身の秋野公造らが出席していた。

◆「既得権団体とのしがらみがあるんじゃないか」, ◆「政策はゆがんでない」資料受け取りも拒否, ◆160人に提供…金額に差を付けるのが戦略, ◆利益を脅かす局面では地元議員へ働きかけ

岩谷良平氏=3月撮影

 図に描かれていたのは日本医師会(日医)の政治団体「日本医師連盟」(日医連)から自民党の政治資金団体「国民政治協会」や同党の国会議員らの側に、2022年に約5億2000万円が流れたという内容だった。

◆「政策はゆがんでない」資料受け取りも拒否

 うち約9000万円を提供された日医連の組織内参院議員・自見英子の側には、ほかに日医連の関連政治団体「国民医療を考える会」や、各地の医師政治連盟(医連)からも計約9000万円が提供された。政界へ流れた資金は、合計で約6億1000万円になると示していた。

 「1年に約6億円の金が入っている。こういうことがある限り、改革は進まないんじゃないですか」

◆「既得権団体とのしがらみがあるんじゃないか」, ◆「政策はゆがんでない」資料受け取りも拒否, ◆160人に提供…金額に差を付けるのが戦略, ◆利益を脅かす局面では地元議員へ働きかけ

日本医師会館

 岩谷がそう指摘すると、自公の側から「こんなの政局じゃないか。回収、回収」と怒号が飛び、「協議のテーマと関係ない。政策もゆがんでいない」と受け取りを拒否された。地方の医連マネーは自見以外の議員側にも提供されており、総額はさらに膨らむ。岩谷が懸念するように、政策がゆがむ恐れはないのか。

◆160人に提供…金額に差を付けるのが戦略

 先月下旬、2024年分の政治資金収支報告書が公開された。日医連は自民を中心に国民政治協会や約160人の国会議員らの側へ約3億9000万円を提供した。

 資金管理団体などで300万円以上を受けたのは12人計1億2210万円で、田村と後藤も含まれた。上位3人は日医連の組織内議員と候補だった。12人の側には地方の医連も計3226万円を提供した。田村の側は地元の三重県医連から1000万円、医師の今枝宗一郎(自民)の側は地元の愛知県医連から650万円の献金を受けた。

◆「既得権団体とのしがらみがあるんじゃないか」, ◆「政策はゆがんでない」資料受け取りも拒否, ◆160人に提供…金額に差を付けるのが戦略, ◆利益を脅かす局面では地元議員へ働きかけ

 日医連の委員長は歴代の日医会長が務める。医療関係者は「献金先と金額は厚労族を中心に、日医への貢献度や医師であるかなどを基準に委員長が決める」と話す。金額に差をつけながら多くの議員側に提供するのが日医連の戦略だ。

◆利益を脅かす局面では地元議員へ働きかけ

 学術団体と開業医の利益団体という二つの顔を持つ日医。診療報酬改定や自分たちの利益を脅かす政策が議論になると、日医連は都道府県医連に地元議員への働きかけを要請する。

 自民党の政務調査会の全体会議で、日医の要望や、政府案に反対する発言を多くの議員にしてもらい、政府や官邸に圧力をかける。議員を動かすのに力を発揮するのが「票とカネ」だ。

 日医連は「政治資金は法令に従い適正に処理し、その収支を報告しているところです」などと回答した。(敬称略)

 日本医師連盟(日医連) 都道府県の医師連盟から毎年10億円近い寄付を集め、3億〜5億円ほどを政界に提供している。参院に2人の組織内議員がいる。今年夏の参院選で、元日本医師会副会長の羽生田俊氏が出馬せずに引退し、副会長だった釜萢(かまやち)敏氏が初当選した。日医の会員は約17万8000人。日医連は4万人規模とみられる。

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