小泉進次郎防衛相は前のめりだが…「原子力の憲法」違反では?「原潜保有」に市民らが示した問題点と危機感
小泉進次郎防衛相が原子力潜水艦(原潜)の導入検討に意欲を示すなか、NGO「ピースボート」などは9日、国会内で「日本の原潜保有問題を考える院内集会」を開いた。国会議員ら約50人が参加し、「重大な問題だ」だとして、強い危機感を共有した。
◆ICAN・川崎哲氏「専守防衛と合致するのか」
ピースボートの共同代表で核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)の国際運営委員を務める川崎哲(あきら)氏は、小泉防衛相の「原潜保有の議論を排除しない」との方針について、「敵基地攻撃のためのミサイルの能力の精度や攻撃性を高めるという観点から、これが出ている」と指摘。

院内集会で発言するピースボートの川崎哲共同代表(左)=9日、国会内で(佐藤哲紀撮影)
「そもそものベースに立ち返って、これが専守防衛と本当に合致するのかということを、しっかりと捉えなければいけない」と呼びかけた。
◆原潜1隻の調達費「推定1兆円を超す」
原潜の実情に詳しいNPO法人「原子力資料情報室」の松久保肇事務局長による基調講演では、保有コストの高さや放射性廃棄物の処理が避けられないといった問題点が示された。

院内集会で基調講演をする原子力資料情報室の松久保肇事務局長(右)=9日、国会内で(佐藤哲紀撮影)
松久保氏は保有コストについて、日本の通常動力型の潜水艦の調達費が1隻あたり約1000億円なのに対し、米国の新型原潜1隻の調達費は推定1兆円を超えると指摘した。
また、「原子力の憲法」と言われる原子力基本法について、原子力を殺傷力や破壊力のある核兵器に使うことはもちろん、原潜の推進力に利用することも禁じている―としてきた政府の統一見解を踏まえ、「小泉防衛相の方針は原子力基本法違反となるのではないか」と疑問を呈した。
◆横須賀市民「事故が起こったら大変な被害が」
小泉防衛相の地元・神奈川県横須賀市の市民団体「原子力空母の横須賀母港問題を考える市民の会」の共同代表を務める呉東正彦弁護士も発言した。

8日、参院本会議で答弁する小泉進次郎防衛相=佐藤哲紀撮影
呉東氏は、仮に日本が原潜を導入した場合、海上自衛隊横須賀基地が母港になる可能性があるとして、「もし事故が起こったら大変な被害をもたらす存在なのに、そうした対策も全く立てられていない」と懸念を表明。「日本の国益として考えてみる必要がある」と訴えた。
◆「原子力=次世代の動力」に異論
防衛省の有識者会議は9月にまとめた報告書で、原潜を念頭に「次世代の動力」を活用した潜水艦の保有に向けた研究・開発を提言。自民党と日本維新の会が10月に交わした連立合意書には、原潜保有に関する政策の推進が盛り込まれた。

院内集会で基調講演をする原子力資料情報室の松久保肇事務局長(右)=9日、国会内で(佐藤哲紀撮影)
原潜保有の議論を巡っては、立憲民主党の宮川伸衆院議員が11月に出した質問主意書で、既に70年以上使われている原子力は「次世代の動力」に該当しないのではないかと政府にただした。
政府はこれに対し、「現時点で、政府として決定していることはなく、特定の動力を念頭に具体的な検討を行っているものではないため、答えるのは困難」とする答弁書を閣議決定した。(坂田奈央)
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