100歳以上の高齢者から学んだ、健康長寿を実現する4つの生活習慣

ステイシー・アンダーセン氏は、100歳を超える長寿の人たちを20年以上にわたって研究している科学者だ。
- 科学者のステイシー・アンダーセン氏は、20年以上にわたって、100歳を超える長寿の人たちを研究している。
- 人間の寿命に関しては、食生活などの生活習慣が果たす役割が大きいというのが、アンダーセン氏の見解だ。
- 同氏自身も、果物や野菜をたくさん食べ、毎晩8時間以上眠る健康的な生活を心がけている。
20年以上にわたり、100歳を超える長寿の人たちを研究してきたある科学者が、健康に長生きするための4つの秘訣を明かしてくれた。
この人物は、ボストン大学医学部に所属する行動神経科学の研究者、ステイシー・アンダーセン(Stacy Andersen)氏だ。同氏はまた、100歳を過ぎても健康に暮らしている高齢者の生活を調査する「ニューイングランド・センテナリアン・スタディ(New England Centenarian Study:Centenarianは「100歳以上の人」の意味)」の共同責任者も務めている。
アンダーセン氏は、全米を回って100歳以上の高齢者が住む家を訪ね、家族にも面会してきた。さらにこうした調査では、彼らがこれほどまでに長生きした理由を突き止めようと、高齢者と朝食の食卓を囲むことも多かったという。
「我々の目標は、すべての人に100歳まで生きてもらうことではなく、100歳以上の長寿を誇る人たちと同じように生きてもらいたいということだ。つまり、真の目的は健康寿命を延ばすことだ」と、アンダーセン氏はBusiness Insiderの取材に語った。同氏が言う「健康寿命(healthspan)」とは、単なる平均寿命とは異なり、健やかに生活できる期間を指す言葉だ。
105歳以上というような極端な長寿の場合は、70%はその人の遺伝的特性によるものと考えられるとアンダーセン氏は述べる。しかし、80代の終わりから90代初めまで生きられるかについては、健康的な生活習慣が最も重要な要素のように見受けられるという。
アンダーセン氏は「これをすれば必ず長生きできる」というような単一の方法があるわけではないとしながらも、「よく知られ、十分な裏付けのある、健康に良い行動様式」が、健康に長生きするためにはベストなアプローチだと述べる。
さらに同氏は、自身の研究や、数百人の100歳以上の高齢者と面会した調査に基づき、自身の生活にも取り入れている、4つの健康習慣を教えてくれた。
その1:毎日5つの色の食材を食べる

さまざまな果物や野菜を食べることで、幅広い栄養素を摂ることができる。
アンダーセン氏は、幅広い栄養素を摂るために、毎日5つの色の果物や野菜を食べるよう心がけているという。
「摂取するものの幅を広げることができるし、毎日このタスクを完了したという充実感も味わえる」とアンダーセン氏は語る。
果物や野菜、豆類、ナッツ、脂身の少ない肉を食べることは、健康長寿の実現に不可欠な要素だと同氏は言い、こうした食生活の例として地中海式ダイエットを挙げた。
イタリアやギリシャ、トルコなど、地中海沿岸の国々に暮らす人たちの食事パターンをもとにした地中海式ダイエットは、「USニューズ&ワールド・レポート」でも、8年間連続で最も健康的な食事法にランキングされている。
2023年に行なわれた大規模調査では、40代のころに、不健康な食生活から、地中海式ダイエットに似た、食材を自然に近いまま食べるよう心がける食生活に転換した場合、平均余命が10年伸びるケースもあったことが判明している。
その2:毎日、さまざまなタイプの運動をする
アンダーセン氏は、何らかの形で毎日体を動かすことを目標にしている。運動の種類もさまざまなものを取り入れるようにしていて、飼っている犬を連れて長いハイキングに出かけることもあれば、ランニングマシンでひたすら走ることもあるという。
100歳以上の高齢者は活動的な人が多いとアンダーセン氏は指摘する。その多くは、90代になっても自立した生活を営み、他の高齢者と比較しても自動車の運転を続ける期間が10年ほど長く、仕事も5年長く続けているという。
アンダーセン氏が研究した100歳以上の高齢者において、最も一般的な運動はウォーキングやストレッチだが、こうしたエクササイズ以外にも、毎日の家事やガーデニング、庭仕事などの「見えない運動」をしているケースがあるという。
長生きと活動的な生活様式については、十分に関係があることが定説となっている。ケンブリッジ大学の研究チームによって行なわれた2023年の調査では、1日11分間の運動で、ガンや心臓血管関連などの慢性病で死ぬリスクが低下するとされている。
その3:質の高い睡眠を確保する

睡眠は、脳にとっての「パワー・クレンジング」だとアンダーセン氏は指摘する。
アンダーセン氏は、8時間の質の高い睡眠を継続してとることを最優先事項としている。
現在の睡眠に関する指針では、7~9時間の睡眠をとることを強調する傾向にある。しかし、最近になって新たに登場した科学理論では、決まった睡眠スケジュールを厳守することの方が重要である可能性が示唆されている。
最適な睡眠スケジュールは、人によって異なる。また、何時間眠ったかという数字よりも、朝起きた時にすっきりとした気持ちで目覚められることの方が大切だとアンダーセン氏は指摘する。
「朝起きた時に、『さあ、1日を始めよう』という心の準備ができているかという問題だ」とアンダーセン氏は補足した。
さらに、眠っている時間は、「我々の脳にとって『パワー・クレンジング』のようなものだ」と同氏は語る。具体的には、アルツハイマー病をはじめとする神経変性疾患に関わる脳内のタンパク質の除去に、睡眠が一役買っているという。
その4:新たなスキルを学んで、脳に刺激を与える
アンダーセン氏はセーリングを始めたが、認知能力と身体能力の両面で、自分にとって良いチャレンジになっていると語る。
「私はみんなに向けて、『どんなことでも、ずっとやりたいと思っていたことがあるなら、思い切って挑戦しよう』と勧めている」とのことだ。例えば、同氏が面会した100歳以上の高齢者の中には、かなりの年齢になってから絵を描くようになった人が複数いたという。
脳や注意力を働かせる必要がある課題に取り組むと、神経回路が強化され、さらに新しい回路も形成される。脳の健康のためには、これが何より優れた方法だと、アンダーセン氏は断言する。一方で、「クロスワードパズルを解くのは、記憶している情報を引き出す行為なので、これだけではあまり効能は期待できない」とのことだ。
エジンバラ大学の研究チームによる、学術誌『PLOS One』に掲載された2021年の論文では、わずか1週間、集中して言語を学ぶだけでも、集中力や、複数タスクを切り替える能力に向上が認められたという。
この研究では、18歳から78歳までの参加者33人が言語を学んだ。一方、対照群として、言語学習が内容に含まれない集中講座を受けた34人についても、認知機能の向上が確認されたが、言語を学んだグループと比べると、その程度は顕著とは言えなかった、と論文著者たちは述べている。
※本記事は、2025年1月1日に初出した記事の再掲です。