「178万円の壁」への引き上げ、住宅ローン控除の延長、出産費用の保険適用…2026年上半期の【お金のイベントカレンダー】
- 上半期(1月~6月)のお金のイベントを一覧表で確認
- 1月:所得税「178万円の壁」への引き上げと住民税の減税
- <基礎控除改正後の控除額>
- 給与所得控除の改正
- 【住民税の改正】非課税ラインが「110万円」から「119万円」へ
- 1月:住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)の延長と「省エネ基準」の重要化
- 【新築住宅・新築扱い(買取り再販含む)】減税対象となる借入限度額
- 【既存住宅(中古)】減税対象となる借入限度額
- 2月〜3月:会社員・公務員も「確定申告」で所得税が戻るチャンス!
- 医療費が「10万円」を超えたら医療費控除を! 「市販薬」でも節税できる?
- 医療費控除(家族全員分を合算して10万円が目安)
- セルフメディケーション税制(市販薬を1.2万円以上買った場合)
- 4月:出産費用の保険適用と「実質無償化」の始動
- 5月:自動車税納付時期。これからは「環境重視型」への転換
- 2026年度(令和8年度)の変更点
- 6月:住民税の切り替え時期! 通知書で「ふるさと納税」の控除を最終確認
- 「住民税決定通知書」が届いたら必ずチェック!
- 2026年は家計に大きな影響を与える制度改正が相次ぐ

「178万円の壁」への引き上げ、住宅ローン控除の延長、出産費用の保険適用…2026年上半期の【お金のイベントカレンダー】
2026年は、長引く物価高にどう立ち向かうかが家計の命運を分ける年になります。2025年(令和7年)11月分の消費者物価指数では、総合指数が前年同月比で2.9%上昇、生鮮食品およびエネルギーを除く指数も3.0%上昇しており、生活のあらゆる場面でお金の重みが変わっていることを示しています。
こうした「インフレ時代」を生き抜くには、社会の動きを先読みし、攻めと守りの両面から家計を整えることが不可欠です。
今回は、2026年上半期に予定されている制度変更や家計の重要トピックを時系列でまとめました。新しい1年の資産を守り育てるためのヒントとしてぜひご活用ください。
上半期(1月~6月)のお金のイベントを一覧表で確認
上半期(1月~6月)のお金のイベントを一覧表で確認してみましょう。

筆者作成
なお、税制改正大綱は現時点では案であり、国会で審議されたのちに法制化されます。上記から変更の可能性があることを踏まえて、お読みください。
1月:所得税「178万円の壁」への引き上げと住民税の減税
2026年度から、大きな注目を集めている「178万円の壁」への対応を柱とした、所得税と住民税の大規模な減税措置が始まります。
基礎控除の改正
2025年の基礎控除は原則(本則)58万円です。2026年からは、基礎控除を物価上昇に連動して引き上げる仕組みが導入され4万円上乗せされて62万円となりました。また、もともと特例として、年収 850万円以下に対して基礎控除額に「5~37万円」を上乗せしていました。
今回の改正案では、2026・2027年(令和8・9年)分として、年収 850万円以下に対して一律42万円の上乗せを実施することになりました。
本則と特例(基礎控除額の上乗せ)をあわせた基礎控除額は、以下のとおりです。給与のみの年収ベースでみると、年収665万円以下であれば最大104万円の基礎控除が受けられます。ただし、104万円の基礎控除は2026・2027年(令和8・9年)の2年間のみ対象です。
<基礎控除改正後の控除額>

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給与所得控除の改正
2026年(令和8年)分以後は、所得税・個人住民税の給与所得控除(最低額)が65万円から69万円に引き上げられました。さらに、給与所得控除(最低額)の特例が創設され、2026・2027年(令和8・9年)分については「5万円」引き上げられます。結果、給与所得控除(最低額)は、74万円に拡充されました。
【住民税の改正】非課税ラインが「110万円」から「119万円」へ
所得税の改正に合わせ、自治体に納める「住民税」でも負担軽減が実施されます。住民税の計算に使われる「給与所得控除」が現行の65万円から74万円へと引き上げられます。住民税の基礎控除(45万円)と合わせることで、課税が始まる年収ラインが従来の110万円から119万円へと引き上がります。
2027年度(令和9年度)の住民税から適用となります。なお、給与所得控除の引き上げ額9万円のうち5万円分については、2年間の時限措置となります。
住民税の「非課税世帯」の対象が広がるほか、課税対象となる方も所得割の負担が軽減されます。低所得層から中間層にかけて、家計の固定費である税負担を実質的に抑える効果があります。
1月:住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)の延長と「省エネ基準」の重要化
「住宅ローン控除」とは、年末時点のローン残高の0.7%を、計算された所得税から直接差し引ける(税額控除)制度です。
・所得税で引ききれない場合:翌年分の住民税からも差し引くことができます。
・住民税からの控除限度額: 「その年の所得税の課税総所得金額等の5%」または「最高9万7500円」のうち、いずれか少ない額が上限となります。
今回の改正では、住宅ローン控除の適用期限が2025年(令和7年)末までから2030年(令和12年)末までと5年延長されます。その上で、2026年(令和8年)から2030年(令和12年)は、住宅の性能や世帯の状況に応じた変更が行われます。
省エネ基準を満たす既存(中古)住宅は、認定住宅やZEH(ゼッチ)水準、省エネ基準適合住宅である既存住宅を購入した場合、住宅ローン控除の対象期間がこれまでの10年から13年に延び、住宅ローン控除の対象となる借入限度額の上限額が引き上げられます。
さらに、18歳未満の子がいる世帯や、夫婦のいずれかが40歳未満の世帯に対しては、新築住宅を建てる際の借入限度額の上乗せが維持されます。
子育て世帯等においては、現状、住宅の登記簿上の床面積は原則50㎡以上です。ただし新築に限り、合計所得1000万円以下の場合40㎡以上でも住宅ローン控除の対象でした。今後は、40㎡以上は継続し、既存住宅(中古)にも拡大されます。なお、住宅ローン控除期間中に合計所得が1000万円を超える年については適用されません。
【新築住宅・新築扱い(買取り再販含む)】減税対象となる借入限度額

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【既存住宅(中古)】減税対象となる借入限度額

筆者作成
注意点としては、土砂災害警戒区域などの「災害レッドゾーン」で新築する住宅(建て替えを除く)については、住宅ローン減税の適用対象外となる点です。また、省エネ基準を満たさない住宅についても、原則として控除が受けられなくなります。
今回の改正は、物価や物件価格の高騰に直面する子育て世帯に対し、「良質な中古住宅」という選択肢を強力に後押ししています。これから住宅購入を検討される方は、単に価格や広さだけでなく、「省エネ性能」や「立地場所(災害リスク)」が、将来の減税に大きくかかわることを知っておきましょう。
2月〜3月:会社員・公務員も「確定申告」で所得税が戻るチャンス!
確定申告は、前年(2025年分)の所得と所得税を計算し、正しく納税するための手続きです。自営業者向けと思われがちですが、会社員や公務員にとっても「払いすぎた税金が戻ってくる(還付)」大切なイベントです。
【申告期間】
2026年2月16日(月)~ 3月16日(月)まで ※この期間中に、2025年1月〜12月の所得について申告します。
【こんな人は確定申告をしましょう(還付の可能性あり)】
年末調整では対応しきれない以下のケースに該当する場合、確定申告をすることで税金が還付されます。
・医療費が多くかかった人:本人や家族のために支払った医療費が年間10万円(所得200万円未満の人は所得の5%)を超えた場合(医療費控除)。
・2025年の途中で退職した人:再就職せず、勤務先で年末調整を受けていない場合。
・家族の保険料を支払った人:扶養家族の国民年金保険料や国民健康保険料を代わって支払った場合(社会保険料控除)。
・控除の申請を忘れた人:年末調整で生命保険料控除や地震保険料控除などの書類を出し忘れた場合。
・災害・盗難の被害に遭った人:不慮の事態で資産に損害を受けた場合(雑損控除)。
【副業・ダブルワークの方は「義務」として要チェック】
給与以外に収入がある場合は、以下の条件で確定申告が「義務」となります。
・副業所得が20万円超:副業の収入から経費を差し引いた「所得」が20万円を超える場合。
・2カ所以上から給与を得ている人:メインの勤務先以外での給与(ダブルワークなど)が20万円を超える場合。
2026年の申告に向けて、2025年分の「源泉徴収票」はもちろん、副業先からの「支払調書」、医療費の領収書、経費の記録などを今からまとめておきましょう。最近ではマイナンバーカードを利用したスマートフォンでの「e-Tax(電子申告)」が便利で、還付金の入金もスピーディーです。
医療費が「10万円」を超えたら医療費控除を! 「市販薬」でも節税できる?
自分や家族のために支払った医療費が一定額を超えた場合、確定申告をすることで所得税の還付や住民税の軽減が受けられます。
医療費控除(家族全員分を合算して10万円が目安)
2025年1月1日から12月31日までに支払った、自分と「生計を一にする家族(※)」の医療費の合計が10万円(その年の所得が200万円未満の人は所得の5%)を超えた場合に利用できます。計算式は、「実際に支払った医療費の合計-保険金などで補填された額-10万円」です(最大200万円まで)。
【対象となるもの】
医師による診療・治療費、治療目的の医薬品購入、通院費(電車・バス・急ぎのタクシー)、あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師による施術費など。
※:「生計を一にする」家族であれば、扶養に入っていない共働きの配偶者や、離れて暮らす仕送り中の学生・親の分も合算可能です。
クレジットカード払いの場合、2025年中に決済が終わっていれば、実際の引き落としが2026年になっても「2025年分」として控除対象になります。領収書や利用明細を大切に保管しておきましょう。
セルフメディケーション税制(市販薬を1.2万円以上買った場合)
医療費控除ほど大きな支出はなかったけれど、日頃からドラッグストアで市販薬をよく購入している方はこちらがおすすめです。
【対象となるもの】
健康診断や予防接種などを受けている人が、対象となる市販薬(スイッチOTC医薬品)を年間1万2000円以上購入した場合。パッケージに識別マークが付いているほか、レシートに「★」などの印がついていることが多いです。計算式は、「対象医薬品の購入金額-1万2000円」です(最大8万8000円まで)。
医療費控除とセルフメディケーション税制は併用できません。
・入院や高額な治療があった場合は「医療費控除」
・通院は少ないが、ドラッグストアで風邪薬や痛み止めをよく買った場合は「セルフメディケーション税制」
控除額が大きくなる方を選んで申告してください。
4月:出産費用の保険適用と「実質無償化」の始動
2026年4月から、正常分娩(普通分娩)を健康保険の適用対象とし、基本的な出産費用の自己負担をなくす制度が始まる予定です。
これまでは「出産育児一時金」で不足分を自費で補うケースが多かったですが、窓口負担が大幅に軽減されます。浮いた資金を育児用品や教育費に回せるようになるため、若い世代の家計にとっては大きな安心材料となります。
5月:自動車税納付時期。これからは「環境重視型」への転換
自動車税は、毎年4月1日に自動車車検証の名義人(所有者)に対して自動車税の納付義務が発生し、5月上旬に納付書が届きます。納付期限は5月31日です。
2026年度(令和8年度)の変更点
2026年度からは、車を新しく購入する際の「初期費用」が抑えられるようになります。
【環境性能割の廃止】
これまでガソリン車やハイブリッド車(HV)の購入時に、燃費性能に応じて0%~3%課されていた税金が、2026年度から廃止(2年間の停止)されます。これにより、購入時の負担が数万円単位で軽減される見込みです。
【エコカー減税とグリーン化特例の延長】
車検時の重量税を軽減する「エコカー減税」は、2028年4月末まで2年間延長されます。ただし、対象となる燃費基準がこれまでより厳しく引き上げられるため、より高性能なモデルを選ぶことが節税のポイントとなります。また、自動車税を軽減する「グリーン化特例」も2年延長となります。
2028年度以降は、電気自動車(EV)はバッテリーを搭載しているため車体が重く、道路への負荷が高いことを理由に、課税が強化される方向にあります。長期的には「環境に良くても、重い車は相応の負担を求める」という時代へ変わることを念頭においておきましょう。
6月:住民税の切り替え時期! 通知書で「ふるさと納税」の控除を最終確認
6月は、前年の所得に基づいて計算された「住民税」の納付が始まる月です。それと同時に、昨年行った「ふるさと納税」が正しく処理されているかを確認する重要なタイミングでもあります。
住民税の仕組み
住民税は、毎年1月1日に住んでいる自治体に納める税金です。前年(2025年)の所得をもとに税額が決まり、6月から翌年5月までのサイクルで支払います。
【会社員・公務員(特別徴収)】
毎月の給与から天引きされます。6月の給与から新しい税額に切り替わります。
【自営業・フリーランス(普通徴収)】
自治体から届く納付書を使って、年4回に分けて自分で納付します。
「住民税決定通知書」が届いたら必ずチェック!
6月に自治体から届く(会社員の方は勤務先から渡される)「住民税決定通知書」は、単なる通知ではなく、ふるさと納税の手続きができているかどうかを答え合わせするシートです。2025年にふるさと納税を利用した方は、通知書内の「寄附金控除」または「税額控除額」の欄を必ず確認してください。
【チェック方法】
控除額が、「2025年の寄附総額-2000円」とほぼ一致していれば、正しく控除が行われています。
【もし数字が違っていたら】
ワンストップ特例の申請漏れや、確定申告のミスが考えられます。放置すると自己負担が増えてしまうため、早めに市区町村の税務窓口へ相談しましょう。
なお、令和9年(2027年)の寄付から、所得が高い人ほど控除額が多くなって高額の返礼品を受け取れるのは不公平だという指摘を踏まえ、給与収入が年間1億円程度以上の人を念頭に住民税の控除額に193万円の上限を設けられる予定です。
2026年は家計に大きな影響を与える制度改正が相次ぐ
2026年は、「178万円の壁」への対応を柱とした大規模な減税や、住宅ローン控除の延長、出産費用の保険適用など、家計に大きな影響を与える制度改正が相次ぎます。
長引く物価高に立ち向かうためには、新たな制度を活用することに加え、確定申告や住民税のチェックといった「守り」の行動も行うことが重要です。
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