【元銀行員が解説】老後、「お金に困っていない人」がやってきた6つのこと
年金だけでは安心できない時代、“お金に困らない人”の戦略

【元銀行員が解説】老後、「お金に困っていない人」がやってきた6つのこと
「老後にお金で困らない人たち」は実際に多くいます。
しかし彼らは特別な才能を持っていたわけではなく、むしろ日々の「ちょっとした行動」を積み重ねてきた人たちであるケースがほとんどです。
実は、「安心して老後を過ごせる人」には共通していた行動パターンがいくつかあります。
この記事では、実際の貯蓄額データを交えながら、老後にお金で困らないために“やってきたこと”を6つの段階に分けて整理します。
今からでも始められるヒントとしてぜひご活用ください。
※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
目標を明確にし、“数値化”してきた
安心して老後を迎えている人は、まず「いくら必要か」「いつまでに」「何を使って貯めるか」を数字で明確にしています。
たとえば、「退職後25年間、毎月15万円を使うなら…」という試算を立てるなど。
実際、年齢が高くなった世帯では貯蓄の水準にかなりのばらつきがあります。
ここで、最新の貯蓄データを確認してみましょう。
J-FLEC 金融経済教育推進機構が実施した「家計の金融行動に関する世論調査 二人以上世帯(2025年)」のデータによれば、60歳代世帯の金融資産は中央値1400万円・平均値は2683万円と差が見られます。
※調査の貯蓄額には、日常の支出や口座引き落としのための普通預金残高は含まれていません。
60歳代の貯蓄額(平均値・中央値)
・平均値:2683万円
・中央値:1400万円
70歳代の貯蓄額(平均値・中央値)
・平均値:2416万円
・中央値:1178万円
このように、「平均以上なら安心」というわけではなく、むしろ多くの人が “中央値レベル” で苦戦しているという現実も浮かび上がっています。
収入だけでなく“支出・固定費”を見直してきた
「年金収入だけで何とか老後の生活を支えよう」と考えている方は多いかもしれません。
しかし、「老後にお金に困らない人」はむしろ支出面・特に固定費を早期に見直していました。
住宅ローンの返済時期を把握して早めに完済した、通信・保険・サブスクを整理した、車維持費を削減した等。
その中でも特に老後の家計を大きく圧迫するのが「住宅ローンの残債」です。総務省のデータで、持ち家世帯の住宅ローン有無別の貯蓄・負債を確認しましょう。

持家世帯の住宅ローンの有無別貯蓄・負債現在高
持家世帯(住宅ローン返済あり・なし世帯合計)(世帯主の平均年齢51.5歳)
・貯蓄現在高:1662万円
・負債現在高:1215万円
住宅ローン返済世帯(世帯主の平均年齢46.9歳)
・貯蓄現在高:1204万円
・負債現在高:1984万円
住宅ローン返済なし世帯(世帯主の平均年齢56.6歳)
・貯蓄現在高:2169万円
・負債現在高:364万円
住宅ローン返済中の世帯は負債が貯蓄を上回り、家計が厳しい状況にあることが明らかになっています。
もし定年退職後もローン返済が続くことになれば、年金収入の大半を住居費に充てざるを得ず、家計は赤字になってしまいます。
ローンは早めに完済できるようにスケジュールを組むなど、あらかじめ備えておくことが重要です。
収支バランスを整えることで、貯蓄スピードが格段に違ってきます。
早めに“働き方・収入源”を多様化してきた
収入が1本だけだと、退職後や体調変化・景気変動でリスクが出やすくなります。
お金に困らない人は、会社員のうちに副業やスキル転換をしておく、退職後もアルバイトやパート、サイドビジネスで収入を確保する道を作ってきています。
以下は副業をしている人、また追加就業希望者の割合を示したものです。

副業がある者及び追加就業希望者
非農林業従事者(有業者のうち本業の産業が「農業、林業」及び「分類不能の産業」以外の者)のうち副業がある人は2022年時点で305万人、非農林業従事者のうち追加就業希望者(現在就いている仕事を続けながら、他の仕事もしたいと思っている者)は493万人と、どちらも増加傾向にあります。
退職金や年金だけに頼らず、自分で“もう1本の収入の柱”を築いていた方が安心できる、と考える人が増えていると言えるでしょう。
資産(貯蓄・投資)を“長期視点”で育ててきた
「貯蓄した額が1000万円あるから安心」というわけではなく、そのお金をどう“運用・維持”していくかが鍵です。
お金に困らない人は、早い時期から手元余裕資金を預貯金としつつも、余裕が出てきたら長期投資(積立型投資信託、確定拠出年金 iDeCo など)に切り替える準備をしてきました。
以下はシニア層の金融資産の内訳です。
資産全体の6割が預貯金に偏ってはいるものの、年齢が若いほど分散投資に対する意識が高いことがうかがえます。

シニア層の金融資産の分布
資産分散して「一つがダメでも他が支える」仕組みを作っておくことで、老後に急な出費があっても慌てない体制が整えられます。
また、財形貯蓄や企業年金制度など、勤務先を通じて計画的に積み立てを行っていた人も多く、これが老後の生活資金を支える柱になっています。
先ほど示した「J-FLEC 金融経済教育推進機構が実施した「家計の金融行動に関する世論調査 二人以上世帯(2025年)」より、
60歳代の貯蓄額(平均値・中央値)
・平均値:2683万円
・中央値:1400万円
70歳代の貯蓄額(平均値・中央値)
・平均値:2416万円
・中央値:1178万円
というデータがありますが、実はこのデータは“貯め終えた状態の平均”であるとも読み取れます。
平均値と比べて中央値は低いため、準備期間を長く取ることが安心につながります。
健康・生活習慣リスクも管理してきた
老後にお金で困らない人は、医療費・介護費・住まいのメンテナンス費など「お金がかかる可能性があるリスク」についても備えてきました。
例えば、定期的に健康診断を受けて医療費を抑える習慣、住宅のバリアフリー化や防災対策、万一の保険見直しなどです。
以下は特定健診を受けた人の割合を示した表です。

特定健診の実施率
40〜74歳を対象にした特定健康診査の実施率は2023年度は59.9%にのぼり、半数以上の人が検査を受けているという状況です。
また、年々増加傾向にあり健康に対する関心の高まりも明らかになっています。
このように、「受診して早期発見・早期対応する」ことが多くの人にとって現実的な行動であり、医療費・介護費といった将来の“お金がかかるリスク”を軽減するための一つの有効な手段と言えそうです。
定期的に見直し・軌道修正をしてきた
老後にお金で困らない人ほど、「一度設定したら終わり」ではなく、定年・転職・子どもの独立・住宅ローン完済などの節目ごとに家計・資産・生活習慣を点検・修正しています。
例えば、子どもが独立した後には教育費など大きな支出が減る一方で、夫婦二人の生活費・住まいの維持費が相対的に占める割合が増えるため、貯蓄ペースや運用比率を見直す/老後の住まいを小さくしたり売却・賃貸に切り替えたりといった行動を取る人も多く見られます。
以下はライフステージ別に住まいの面積を現した表です。

ライフステージ別の住まいの面積
夫婦のみで生活する住まいは子どもと一緒に生活している住まいと比して面積が小さく、構造が異なる傾向が明らかになっています。
「住み替え」も考えながら、自身に合った生活をすることもこの先大切になっていくでしょう。
こうした “節目で振り返る習慣” を持つことで、家計のズレにいち早く気付き、急な出費が発生しても慌てずに対応できる余裕を整えているのです。
行動を積み重ねた人が、老後“お金で困らない”
ここまでご紹介したように、「老後にお金で困っていない人」たちは、特別な才能や大金持ちというわけではなく、むしろコツコツと努力をしてきた人たちです。
「平均だから安心」というわけではなく、自分の位置を知り、準備を進めていくことが何より重要です。
これらの行動を今からでも取り入れることで、「お金で困らない老後」への一歩を踏み出せます。
ぜひ、ご自身の状況を振り返りながら、少しずつ行動に移していきましょう。
参考資料
・J-FLEC 金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査[二人世帯調査](2024年)」
・総務省統計局「家計調査年報(貯蓄・負債編)2024年(令和6年)貯蓄・負債の概要」
・総務省「令和4年就業構造基本調査結果」
・厚生労働省「2023 年度特定健康診査・特定保健指導の実施状況について」
・内閣府「令和7年版高齢社会白書 第2節 高齢期の暮らしの動向」
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