「社長、それは完全にブラック企業です」新日本プロレス棚橋弘至が社員にツッコまれた「会社の貼り紙」

棚橋弘至・新日本プロレス選手権第11代社長 Photo by Shogo Murakami

新日本プロレスのエース棚橋弘至が、2026年1月4日の東京ドーム大会で現役選手を引退し、同社社長に専念する。「疲れたことがない」が決めゼリフの棚橋に、心と体の鍛え方を教えてもらった。(ダイヤモンド・ライフ編集部)

「疲れたことがない」棚橋の

心と体を鍛える習慣とは?

――社長業も始められてからは、試合がなければ平日の朝にオフィスに出社されて、定時まで会議などをこなして、その後にプロレスラーとしてのトレーニングをされているとか。超多忙ですね。

 疲れてないですよ!今日も朝8時から道場で撮影があって、その後に出社して、取材が続いて。夜7時からは週刊プロレスの連載20周年記念イベントです。さすがに今日はトレーニングはお休みして、打ち上げに出ようかな(笑)

――ワーク・ライフ・バランスという言葉が再び注目されていますが、ご自身には関係ない?

 うーん、好きなことを仕事にしているので。自分の仕事にやりがいを感じて、好きになれるかどうかも、仕事で成功する1つの鍵なんじゃないかなと思います。

 僕はバランスが取れてなくても何ともないけど、社員はもちろん、休むべきですよ。やりがいを持って仕事してほしいからこそ、休める時は積極的に休んでほしい。

――「疲れたことがない」が決めゼリフの棚橋選手には、ある意味で逆風が吹いていますかね?

 実は、社長に就任した時に「疲れない」っていう張り紙を会社の壁に貼ったんです。そしたら、「社長、それは完全にブラック企業です」「社長はご自由にどうぞ」と言われてしまいました(笑)

 でも、僕だって体が重くてやる気が出ない時はありますよ。けれど、気づいたんです。疲れって、目には見えないものですよね。つまり疲れを判断するのは自分自身。自分に嘘は付けないので、きちんと向き合おうという精神論というか、哲学は大切にしています。

――それでも疲れてしまった時は、どうしているのですか。良いスイッチに切り替える習慣はありますか?

 好きなことに没頭することですね。僕の場合は、大好きな特撮ものを見まくる。それから、好きなものを食べまくる「チートデー」を設けています。アイスクリームのハーゲンダッツを一気に3個買えれば、幸せですね。1番のおススメはマカデミアナッツかな。

「切り替えの技」を持つのはすごく大事。ネガティブな気持ちを引きずらないことが、仕事の生産性に一番必要です。それはプロレスから学んだこと。試合して負けたとか、盛り上げ切れなかった時はめちゃくちゃへこむんですよ。へこんだ気持ちのままだと、家に帰っても家族とぶつかってしまう。巡業先でも気持ちよく眠れなくて、次の試合に悪影響が出ます。なので、気持ちをリセットするんです。

いったん心にしまっておいて

悔しかった気持ちを引き出す

――具体的なコツはありますか?

 基本的に僕は落ち込む時間がもったいないと思っているので、自分に「おまじない」をかけます。指を顔の前で回して、ぱちんと鳴らして、「わ〜すれろ」ってね。

棚橋弘至 Photo by Shogo Murakami

棚橋弘至 Photo by Shogo Murakami

 とはいえ、完全に忘れてはいません。「心にしまう」んです。いったん心にしまっておいて、同じシチュエーションや対戦相手になった時に、悔しかった気持ちを引き出してエネルギーにする。今回は負けないぞ、と。

 新日本プロレスは年間150試合もしていて、全国各地を巡業します。特に地方会場に来てくれるファンは、年に1~2回のチャンスを本当に楽しみにしている。なので、100パーセントのパフォーマンスを出したい。「昨日負けたから」とかは関係ない。どの試合も全力を出す、そのために切り替えるっていうのが僕のポリシーですね。

――心の鍛え方に続いて、体の鍛え方も教えてください。アラフォー、アラフィフ世代の一般人でも真似できる日々のトレーニング法はありますか?

 まず、初級はウォーキング。僕も毎日必ず30分は歩いています。体脂肪を燃やすには、家の周りをぐるっと2周くらいでもいいので、朝食前に歩くことが大事。胃の中に何もない状態だと、体脂肪がエネルギーに使われやすい。朝食を先に食べてしまうと、朝食分のエネルギーが回ってしまうので。

 日光を浴びるのも大事ですね。オフィスワークの人は、日光を浴びる時間が少ないです。日光を浴びると体内時計が整うので、夜はきちんと眠くなって良い睡眠が取れます。

 中級は、自宅で簡単な筋トレをしましょう。自分に合った強度の腕立てとスクワットをやってみる。さらに出来るなら、ジムに登録する。今は24時間のジムが増えているので、生活スタイルに合わせて通いやすくなっています。

――最近は「男性の更年期」も話題になりますね。

 簡単でも筋トレをやると、男性ホルモンの分泌が起きるので、オスとしての強さが復活します。シメは、プロテインを飲むこと。必須アミノ酸を効果的に取ることで、よりエネルギッシュな生活を送れます。

 上級は、年間300日ワークアウトを目指しましょう。胸、背中、腕、肩、足の筋トレを週5日。1カ月に25日×12カ月で300日です。まあ、これは僕のメニューなので、くれぐれも無理しないでくださいね!

たなはし・ひろし/新日本プロレスリング第11代代表取締役社長。1976年、岐阜県大垣市生まれ。キャッチコピーは“100年に一人の逸材”“エース”。立命館大学法学部在学時にレスリングを始め、卒業後の1999年に新日本プロレスへ入門、同年10月にデビュー。2003年に初代U―30無差別級王者となり、初のタイトル戴冠。06年、IWGPヘビー級王座を初戴冠。以降、同王座を8度戴冠(歴代最多記録)。第56代王者時代には当時の連続最多防衛記録となるV11を達成。『G1 CLIMAX』は3度の優勝。23年12月、新日本プロレスリング第11代社長に就任。24年10月に、26年1月4日での現役引退を発表した。 Photo by Shogo Murakami

Key Visual by Noriyo Shinoda, Hitomi Namura