「オルカン」がトップ10から消えた? 代わりに浮上した「ゴールド」「メガ10」「テック・トップ20」は2026年のトレンドか?

「オルカン」がトップ10から消えた!? 代わりに浮上した「ゴールド」「メガ10」「テック・トップ20」は2026年のトレンドか?

各販売会社が公開するデータをもとに、編集部独自の分析で投資信託の売れ筋を考察する連載。今回は、松井証券のデータをもとに解説。

松井証券の投信売れ筋ランキングの2025年12月のトップ2は前月第3位から「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」が上がった。前月トップだった「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)」(愛称:世界のベスト)は第2位に後退し、前月第2位だった「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(愛称:オルカン)はトップ10圏外に落ちた。第3位には前月第7位から「三菱UFJ純金ファンド」がジャンプアップし、第4位には前月第8位だった「iFreeNEXT FANG+インデックス」が上がった。そして、トップ10圏外から「ニッセイ・S米国グロース株式メガ10インデックスファンド<購入・換金手数料なし>」(愛称:メガ10)が第6位に、「一歩先いくUSテック・トップ20インデックス」が第7位に、そして、「ニッセイNASDAQ100インデックスファンド<購入・換金手数料なし>」が第9位、「eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)」が第10位にランクインした。

「オルカン」が売れ筋トップ10から陥落した理由

松井証券の売れ筋トップ10ランキングから三菱UFJアセットマネジメントが設定する「オルカン」が姿を消したのはなぜだろう? 世界の株式市場は、2025年12月に米国「S&P500」や「NYダウ」が史上最高値を更新した他、英国「FTSE100」、そして、国内の「TOPIX(東証株価指数)」が史上最高値を更新するなど、先進国株式市場を中心に世界的な株高になっていた。その勢いは、2026年が始まるとともに、米「S&P500」「NYダウ」、英「FTSE100」にドイツ「DAX」、そして、インドの「SENSEX30」、さらには国内の「TOPIX」に「日経平均株価」まで史上最高値を更新する動きにつながった。新興国も含めた世界的な株高の流れを追いかけるのであれば、「オルカン」は有力な投資の選択肢であるはずだ。しかし、「S&P500」インデックスファンドや「純金ファンド」、「FANG+インデックス」が評価されて順位を上げる中、「オルカン」はトップ10からすべり落ちてしまった。

その理由の1つは、「オルカン」が連動をめざす「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)」が過去3年間にわたって大きく値上がりしたため、4年目にあたる2026年は高値調整で下落してもおかしくないと考えられたことだろう。「MSCI ACWI」の日本円ベースの騰落率は2023年に31.22%、2024年に31.56%、2025年は22.55%と3年連続で大きな上昇率を残した。2011年からの15年間で4年間連続して上昇したことがないこともあって、2026年は上昇が一服してもおかしくないとも考えられる。このため、投資家の多くが「オルカン」とは別のファンドを選んで投資したと考えられる。

「オルカン」以外のファンドとは、たとえば、ランキングを上げた三菱UFJアセットマネジメントの「三菱UFJ純金ファンド」、また、大和アセットマネジメントの「iFreeNEXT FANG+インデックス」などだ。あるいは、新たにトップ10にランクインしたニッセイアセットマネジメントの「メガ10」や「ニッセイNASDAQ100インデックスファンド<購入・換金手数料なし>」、また、大和アセットマネジメントの「一歩先いくUSテック・トップ20インデックス」、三菱UFJアセットマネジメントの「eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)」にも新しい資金が向かった。

「オルカン」に代わるファンド候補の特徴は?

「オルカン」に代わって人気を高めたファンドは、「オルカン」と比較すると価格変動リスクが高いファンドになっている。たとえば、「三菱UFJ純金ファンド」は金価格に連動するファンドだが、数千の株式に分散して投資する「オルカン」と比較して「純金」の価格変動率は大きい。たとえば、2025年11月末時点の過去5年間のファンドのリスク(標準偏差)は、「オルカン」の年率13.32%に対して「三菱UFJ純金ファンド」は同17.00%だ。

また、「iFreeNEXT FANG+インデックス」と「メガ10」はわずか10銘柄で構成されたインデックスに連動するファンド。「オルカン」が連動をめざす「MSCI ACWI」は全世界の市場から2500銘柄以上をピックアップして構成銘柄としている。分散効果を考えれば、「オルカン」に比べてファンドの価格変動率は大きくなる。同じように「一歩先いくUSテック・トップ20インデックス」は連動する指数が20銘柄で構成されていること、加えて、「米国」の「テクノロジー株」と投資対象を限定していることから、それだけ価格変動リスクは大きくなる。

「ニッセイNASDAQ100インデックスファンド<購入・換金手数料なし>」はインデックスの構成銘柄数が100に拡大するものの「オルカン」と比べればリスクは高い。例外は「eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)」で、過去5年のリスクが年率10.77%と「オルカン」よりも低くなっている。日本のみに投資するという点では新興国を含む全世界に投資する「オルカン」よりも地域のリスクを負うことになるが、「オルカン」が抱えている為替変動リスクはない。

このように「eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)」を除くと、「オルカン」に代わって人気を高めたファンドは、リスクが高いファンドばかりになっている。これは、世界の株式市場が3年連続で値上がりし、多くの市場で史上最高値を更新するほどの高値圏にあるという現状を考えれば、「上がるから買う・買うから上がる」というような高値圏における過度なリスクテイクを感じさせる動きだ。運用実績の短いファンドも多いことから、今後の値動きにはしっかり注意を払っていきたい。

執筆/ライター・記者 徳永 浩

Finasee編集部

「一億総資産形成時代、選択肢の多い老後を皆様に」をミッションに掲げるwebメディア。40~50代の資産形成層を主なターゲットとし、投資信託などの金融商品から、NISAや確定拠出年金といった制度、さらには金融業界の深掘り記事まで、多様化し、深化する資産形成・管理ニーズに合わせた記事を制作・編集している。

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