三井不動産が仕掛ける、日本橋の新通勤手段「EV旅客船」に乗ってきた…豊洲〜日本橋を20分、4月から

三井不動産が電動船を使った定期航路を開設する。
不動産大手の三井不動産が、2026年4月に日本橋〜豊洲間に定期航路を開設し、電動旅客船を使った事業を開始する。1月28日に発表した。民間企業が電動船を使った定期航路を開設するのは日本初。同社が日本橋エリアで進める再開発計画「日本橋リバーウォーク」に連動させ、ビジネスパーソンの通勤やインバウンド客向けの観光用途での利用促進を狙う。
電動船の設計・建造を手がける企業の担当者は「街中利用での小型船では電動船の実用性がある」と事業の意義を強調する。
「船旅通勤」豊洲から日本橋を片道20分で
東京都都市整備局が2023年10月から開始していた「船旅通勤」(豊洲〜日本橋、五反田〜天王洲アイルなど)が2026年3月末で終了するのに伴い、同事業に協力会社として関わっていた三井不動産が「&CRUISE」(アンドクルーズ)の名称で開始する。
使用する船舶は全長17メートル、型幅4メートル、重量17トン。船員を含め最大62人が乗船可能だ。東芝製のチタン酸リチウムイオンバッテリー240個で駆動し、総電力量は小型船舶では最大規模となる約300KWhを誇る。日本橋の船着場に接岸するまでに橋の下を通過しなければならない関係上、船内の高さは1メートル90センチメートルと控えめだ。大柄な人にはやや窮屈に感じる可能性がある。
同事業では、豊洲(ららぽーと豊洲)〜日本橋間を片道約20分で結ぶ。2隻体制で1日約30便定期運行する計画だ。運賃や運航時間帯は、今後、決まり次第発表するとしている。

日本橋と豊洲を約20分でつなぐ。
事業主体は三井不動産だが、船の運航は観光汽船興行(東京都中央区)、船舶の設計・建造は大洋電気(東京都千代田区)、造船はエルモ(三重県伊勢市)がそれぞれ手がけた。東京都の「東京都舟運活性化事業費補助金」から1億円の助成を受けて建造したが、三井不動産の七尾克久氏(日本橋街づくり推進部長)によると「詳細は公表していないが総建造費の半分も賄えていない」といい、実際の建造費は2〜3億円とみられる。

船内の高さは約2メートル弱だ。
三井不動産の担当者によると、ららぽーと内から給電を受け、急速充電器4機でフル充電に約3時間、1度のフル充電で約8時間運航可能だという。大洋電気の竹内晃マリンエンジニアリング部長は「急速充電しても劣化しにくく、充電の安定性に優れた東芝製を採用した」と解説する。

充電規格は「テスラ式」ではなく「CHAdeMO方式」を採用。
将来的に築地や羽田航路も視野。観光ニーズ強化
三井不動産によると、まずは日本橋〜豊洲間で運航し、通勤や観光用途の需要に対応する狙いがある一方で、訪日客の増加を念頭に将来的には築地にも航路を拡大し、築地・豊洲の新旧市場をつなぐことも目指す。長期的な視点で羽田空港付近に直接乗り入れ、インバウンド客の観光需要を強化する構想もあるという。

出典:三井不動産の配布資料
三井不動産日本橋街づくり推進部の市ノ澤伸幸氏は「豊洲・築地の新旧市場を拠点にさらなるネットワーク拡大を図り、観光だけでなく、買い物や通勤利用といった日常使いとしても利用してもらえることを目指していきたい」と意気込む。

三井不動産日本橋街づくり推進部の市ノ澤伸幸氏。
豊洲市場行きの見学ツアーを企画し船内で簡単な立食付レセプション開催や、東京の夜景ツアーなど団体客のチャーター利用にも対応する方針だ。
運賃については未定だが、市ノ澤氏は「ご承知の通り、高額な運賃が取れる事業ではないため、事業そのものについてはさほど儲からないと考えている」と語った。