「いじり」が私たちを動かした ハラスメント防止へ、駒場学園高の卒業生がワークショップにこめる思い
駒場学園高校(東京都世田谷区)の卒業生らが、教育現場や職場のハラスメント防止を目指す団体「ユニリング」を立ち上げ、啓発を続けている。母校やイベント会場で、どんな言動がハラスメントに当たるかを学ぶワークショップを開催。一見するとハラスメントと認識されにくい事例も盛り込み、無意識のうちに加害者にならないよう呼びかけている。(佐藤航)
◆高校時代に抱いた違和感
「会社のレクリエーション活動で、Cさんは同僚Dさんに『せっかくの機会だから楽しもうよ!』と強く誘った。しかし、Dさんは人前で活動するのが苦手で、静かに過ごしたいと考えていた」
これは、ユニリングが作った「エンハラ(エンジョイハラスメント)」の具体例。良かれと思って誘うことも、しつこく繰り返せば相手のストレスになる恐れがある。ワークショップでは、こうした例を示したワークシートを参加者に配り「どの点がハラスメントに該当するのか」「未然に防ぐにはどうするか」などについて話し合う。

起業イベントでワークショップの内容を説明する「ユニリング」の2人=東京都千代田区で
ユニリングは2023年春、駒場学園高2年だった寺井葉南(はな)さん(18)、石橋舞優(まゆ)さん(18)らが立ち上げた。出発点は、社会課題の解決に向けた起業を疑似体験する授業。1年間の授業が終わった後も活動を続け、この春に大学に進んでからも、高校に残る後輩1人とともに団体を運営している。
ハラスメントに着目したのは、2人が高校時代に抱いた違和感がきっかけだった。教員や部活指導者から生徒へのハラスメントだけでなく「生徒が教員をからかう」「仲のいい友人同士の『いじり』」といった他愛(たわい)のない会話も、場合によっては人を傷つけることがあるのではないか―。
◆フォトハラ、プロハラ…「嫌」は人それぞれ
「ハラスメントは明確な基準がなく、自分自身も知らない間にしてしまう可能性がある」と寺井さん。石橋さんも「ハラスメントを自分のこととしてとらえ、学ぶことが防止になる」と考え、啓発の団体を立ち上げることにした。

教育現場などのハラスメント防止を目指す団体「ユニリング」を立ち上げた寺井葉南さん(左)と石橋舞優さん=神奈川県藤沢市で
ワークショップで使うワークシートには、セクハラやパワハラといった代表例や冒頭の「エンハラ」など、10以上の類型を盛り込んだ。人を無断で撮影して交流サイト(SNS)に投稿する「フォトハラ」、複数人によるプロジェクトで不公平な役割分担を強いる「プロハラ」など、ユニークなケースも掲載。ワークショップはこれまで、学校内で後輩向けに開いたほか、起業イベントでも幅広い世代に参加してもらった。
今後は他の中学校や高校での開催を模索し、将来的には団体の法人化も視野に入れる。2人は「ハラスメントは教育現場だけの問題ではない。ゆくゆくは企業向けなどのワークショップも考えたい」と話している。
◆ユニリングがワークシートに掲載したハラスメント
プロハラ 複数人のプロジェクトで、一部に負担を押しつける
マタハラ 妊娠や出産を理由に、従業員や同僚を不当に扱う
モラハラ 倫理や道徳に反した、言葉や態度での嫌がらせ
カスハラ 客の立場を利用して理不尽な要求をする
フォトハラ 人の無断撮影や写真の交流サイト(SNS)への投稿
エンハラ 本人の気持ちを無視し、仕事や遊びを楽しむよう強要する
エアハラ エアコンの使用禁止など、空調や環境に関する嫌がらせ
マリハラ 単身者に交際や結婚(マリッジ)をしつこく勧める
エイハラ 年齢(エイジ)や世代の違いを理由にした差別

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